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VRMMOでものづくり始めました  作者: SAK


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隠しダンジョン攻略

 有志が隠し階段の先のダンジョンを調べ、多くのプレイヤーが状態異常無効化鉱石を掘り出し、俺や生産職が水属性の武器を揃え……着々と攻略準備は整っていった。

 次の日曜の朝9時から本格的な攻略に移るようで、それまでは俺はトレントの島の村に常駐してマーメイドクイーンさんに加護武器の作製をお願いしているのだが……。


「コウ、今日もウォータースライダーを頼めるか?」

「「「れー?」」」

「分かりました、それでは準備しましょう」


 マーメイドクイーンさんたちが外での大掛かりなウォータースライダーを気に入ったのか、いつの間にかダンジョン内から外の浜辺へと引っ越してきたのだ。

 そのため、毎日のようにウォータースライダーを設置することになっている。……この前は『たまにやるからこそ楽しめる』とか言ってたじゃん! 前言撤回が早すぎる!

 ……でも、楽しいことを覚えたら延々とやっていたいって言うのは理解できるんだよなあ……俺もパズルゲームを何時間もプレイしていた時代もあったし……。ゲームは一日一時間。……では足りない。


 でも、ウォータースライダーを設置すると、魔石を渡すよりも多くの加護武器を造ってもらえるから、攻略には有利なんだよなあ……そういう意味では毎日のように設置するのもやぶさかではない。


「やほー、遊びにきたよー」

「シルフィーさん、毎日のように来てますね……」

「だって楽しいんだもーん。あ、お礼が欲しいってならあげるよー」

「むう……それでは、頂けるなら頂いておきましょうか」

「それなら武器を出して出してー」

「……もしかして、加護ですか?」

「そういうことー。私が加護を与えるなんて初めてだよー。きゃー、私の初めてをコウに奪われちゃったー」

「言い方」


 周りにマーメイドクイーンさんやライアたちがいる中でのそういう発言は止めて頂きたい。絶対後から弄られるので。


「まあそのツッコミはこっち置いといてー」

「……はい、武器ですね」

「そうそう、早く加護を付けて遊びたいからー」

「本音がダダ洩れ過ぎる……。あ、加護は本当に一番弱いのでお願いしますね?」

「しょうがないにゃあ……それー」


 シルフィーさんが武器に呪文を唱えると武器が光り出し、やがて収束していく。見慣れた光景なんだけど、普通はこんなに加護武器ってもらえないはずだよね……。


「よーし、終わったし遊んでくるー」


 シルフィーさんは服を脱ぎ捨てると、すぐにウォータースライダーの天辺まで登って行った。ちなみに中には水着を着ているので裸ではないから安心だ。

 俺は脱ぎ捨てられた服が風で飛んで行かないように箱にしまうと、シルフィーさんの加護武器のステータスを見てみることに。


【シルフハンマー(風の加護):ランクA、風属性+120、火属性-120、攻撃+220、速さ+52、武器重量-50%、シルフの加護を受けたハンマー。シルフは妖精なので、シルフハンマーだと小さいハンマーと勘違いされるのではと名付けの際に思ったが、その辺は気にしないことにする。風の加護があるため、普通の武器よりも重量が軽くなる。……自分も風の加護を受けたら体重減らないかなあ……】


 なんか切実な願いが書かれてるな……短冊じゃないんだから……。


 さておき、武器重量-なんて補正初めて見たんだけど……本当に軽いのだろうか?

 試しに普通のハンマーをアイテムボックスから取り出し、シルフハンマーと振り心地を確認してみよう。


「まずは普通の……よっと!」


 ハンマーを横から後ろまで振りかぶり、そのまま薙ぐ。

 ハンマーの重さがかなりあるので、自分の身体も若干引っ張られる。


「次にシルフハンマー……って、軽い……」


 手に取ってみると、本当に重量が半分になっているようで、かなり軽い印象を受ける。

 実際に振ってみると、その軽さからかなりの勢いで振れるのが分かる。

 これはかなり使いやすいな……でも……。


 重量が半分なら、攻撃した時の威力も抑えられそうな予感が……。


 まあ、その辺はチェンジウェポンを駆使すればどうとでもなるし、許容範囲か。

 攻撃力も高いし、そのまま地属性のモンスターに使うのもアリだな。砂漠では火属性-が大きいから使うことはないだろうけど、もし地属性の強いモンスターが出てきたらかなり有利に戦えそうだ。


「……さて、俺も休憩がてら遊ぼうかな。まずはライアと一緒にウォータースライダーに行こうか」

「きゅーっ♪」


 こうして、時々息抜きをしながらも着々と準備を進めていき……。




**********




「それでは作戦開始です!」


 次の日曜日。遂に隠し階段の攻略作戦が開始される。

 俺は自分が……というよりはマーメイドクイーンさんが造った加護武器を攻略組に均等に配分し、いつも通り後方支援組として活動することに。


 今日までの先行組の活動で、現在5階層の途中まではマッピングが完了している。問題はその先だ。

 ピラミッドと同じく罠が多く設置されており、マッピングが完了していない階層は迷いやすい。

 更に、6階層以降は新規モンスターが出る可能性もあり、気が抜けない状況が続くだろう。


 俺たちはリアルタイム配信を見ながら、何か気になる点がないか探している。浅い層に仕掛けがあって、それを作動させなければ先に行けない可能性もあるしね。


 ……ただ、そういうものはなく、先行しているタケルのパーティーが6階層に突入する。


『……ん? かなり広い部屋だな……ボス部屋か?』

『タケル、来るぞ!』

『おーおー、こんな大勢での歓迎とは……迎え撃つぞ!』

『応!』


 第6階層は中ボス部屋のようだ。

 開けた空間の周りに石が積み上げられて壁になっていて、闘技場のような印象を受ける。

 扉のようなアーチ状になっているところから、次々とモンスターが湧いて出てくる。

 スネーク、スコーピオン、ラミア、リザードマン、デザートウルフ。モンスターのバーゲンセールだな……。


 ……ん? 今、石の壁の上に誰かがいたような……。


『おい、今何かいなかったか?』

『確かに……褐色の毛並みをした獣人のような……』


 どうやら他の人もそう思ったらしく、次々にコメントが書き込まれていく。

 しかしタケルたちには周囲の調査をする余裕はない。多数のモンスターによる波状攻撃が仕掛けられているからだ。


『ちっ、数が多いな。魔法で足止めを頼む』

『了解!』


 タケルのパーティーの魔法使いが水魔法を敵の戦列の中央に撃ちこむ。水に弱いモンスターたちはそれでかなりの数が減るのだが、気にせず突進を続ける。


『……操られてるってのは厄介だな。怯みさえしねえか』

『そうですね。それに、的確にこちらの穴を狙ってきます』


 普通のモンスターならヘイトの高いプレイヤーを狙うのだが、操られているモンスターは徹底的に防御の低い後衛を狙ってくるようだ。

 ただ、それも分かっているなら対処もしやすい。


『陥没! ……からの隆起!』


 後衛狙いのモンスターたちが一斉に陥没スキルでできた穴に落ちていく。更に、その穴の手前を隆起スキルで隆起させて壁を造る。


 ペットモンスターを連れていないな……と思ったら、こういう戦術を咄嗟に使うためかあ。勉強になるな。


 そして、穴に落ちたモンスターは水魔法で一斉に攻撃、それ以外のモンスターはタケルが双剣で各個撃破していく。マーメイドクイーンさんの加護武器だけあって、1~2撃でモンスターを軽々と屠っていく。



 その後、他のパーティーも合流し、第6階層は制圧できた……と思ったのだが。


『ん……? 鉄格子が開いて……』

『おい、あれは……!』


 闘技場にある鉄格子が開き、出てきたのはバステトの集団。その数は6人。

 まさかここでフィーリアと同じ種族が出てくるとは……。


『……しまった!』


 バステトが魔法を唱えると、前衛と後衛の間に炎の壁が出現する。ファイアウォール……みたいなものだろうか。

 そして、バステトたちは猫だから身のこなしが軽く、炎の壁を跳躍で突破することができる……つまり。


『ぐっ! ……くそっ!』


 前衛と後衛の連携が完全に断たれた状態で、後衛にバステトたちが押し寄せる。

 バステトたちは後衛に一撃を加えると、すぐにファイアウォールの外に退避する。

 そして、次は別の角度から飛び込んでこちらを翻弄してくる。


『オイオイオイ、ずりーわあいつら』

『まあこっちもこっちで地形変化使ってるしな……おあいこよ』

『しかしこれ、どうやって突破するんだ? ファイアウォールを使われる前に集結しないとダメだったのか?』


 炎の壁のせいで視界が悪く、更にバステトの動きが全く分からないからな……。

 見下ろし型のアクションゲームなら一発で動きが分かるのに……。



 ……いや、そうか!


『タケル! 配信カメラの位置を見下ろしにできるか!?』

『……ああ、そういうことか! よし、全員、配信動画で敵の位置を把握しろ!』


 タケルが配信カメラの位置を見下ろしに変更する。

 すると、上空からの撮影になり、バステトの動きが一目瞭然になる。


 ……さすがにちょっと卑怯な気がするけど……使える物は何でも使わないとね!


『なるほどな、その発想はなかったわ』

『これがイーグルアイってやつか』

『なんかこの後にナーフされそう』


『……?!』


 急に位置を把握されて反撃され始めたバステトたちは困惑しているようだ。

 しかし、複数人で同時に襲い掛かるなど、すぐさま状況に対応してくるあたり、適応力が高いな。


 だが、思いもよらない反撃にかなりのダメージを受けたのか、徐々に弱っていき、最終的には合流した前衛に倒されることになる。


『よし、これで最後か。……いやぁコウ、ナイスな判断だったぜ』

『見下ろし型のアクションゲームなら……って思ったけど、正解だったかな』

『ははっ、ゲーマーらしい考えだ。……っと、回復した後に攻略に戻らないとな』


 バステトたちを殲滅した攻略組は準備を整えた後に、闘技場の奥にある階段から第7階層へと降りていく。

 さて、次はどんなモンスターが待ち受けているのだろうか。そして、さっき見えた褐色の獣人は……。




**********




『……まさかここまで攻め込まれるとはな……』


 先で待ち受けていたのは、ライオンの頭と褐色の毛並みを持つ、筋骨隆々な女性の獣人だった。

 今までのモンスターの中で唯一喋っているので、おそらくこのモンスターが他のモンスターを操っていたのだろうか。


『我が名はセクメト。愚かな人間どもよ、我が相手になろう!』


 セクメトは確か伝染病をもたらす神だったかな……操るのが状態異常だとすると、伝染病を状態異常と紐づけての設定だろうか。


 そして、伝染病だけでなく、破壊神とも呼ばれているはずだが……。


『やべえ……やべえよ……』

『ああ、破壊神って呼ばれているだけあってヤバい強さだろうな』

『いや、あの筋肉……やべえぐらい美しい……崇拝したい……』


 驚くところそこ?!

 しかし、他の一部の人たちも同じように魅入られているようだ。


『筋肉もいいけど、ふさふさの毛並みに隠されていても分かるぐらい主張する大きさの胸もいい……』

『分かる』

『我が腕の中で息絶えるが良い……されたい……』

『スヤァ……』


 ……などとチャットが盛り上がっている中、戦いの火ぶたは切られていた。


『ふんっ!』


 セクメトがタケルたちの所に飛び込んで腕を地面に振り下ろすと、石が砕け散り周囲へと飛び散る。

 ……これは正にレベルを上げて物理で殴ってくるパワーキャラだな……。


 しかし、これほどまでに力強いなら、どうして操って支配するという方法を使っていたんだ……? 力で従えた方が効率的な気もするが……。

 ピラミッドの時も、裏でこそこそしながら操ったモンスターをけしかけずに、堂々と殴ってきた方が良かったような気がするし、何か引っかかるな……?


 しかし、今はそれを考えている時間はない。どうやってこのセクメトを攻略するか、だ。


 こうして、隠しダンジョンの攻略が佳境に入ったのだった。

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― 新着の感想 ―
バステトにはマタタビ香が特攻になりそうな気がする
真ボスはセクメトさんだった?セクメトって破壊と治癒の女神よね? 人類を滅ぼしかけたとかなんとか。疫病を治す守護神としても崇拝されているけれど。 オシリス神とかアヌビス神とか出てこなくて良かったと思って…
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