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VRMMOでものづくり始めました  作者: SAK


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101/114

妖精の里

「おっはよーコウ! フェアリーシロップできてるよー!」

「ありがとうエファ、それじゃあ頂こうかな」


 MPが100も回復するアイテムを贅沢に食べるのはいいな……あ、ちゃんとアイテムの自動作製機能でMPは減らした状態にしてるので、もったいないお化けは出ないぞ。

 ……そういえば、一回でどれだけのフェアリーシロップを作れるんだろう?


「エファ、一日にどれぐらいの量のフェアリーシロップを作れそう?」

「うーん、レイお姉ちゃんがある程度は瓶詰めするから、残ったぶんだと10人分ぐらいかな?」

「そんなに」


 ……マジックポーションでは回復量が足りないなあと思ってたら、まさかの上位互換が大量に手に入るとは……。しかも、蜜の残り分だけで10人分。

 レイの蜜はクイーンビーにあげる分も確保しないといけないから、増産は難しそうかな。それでも10個も手に入るのはありがたい。


 ……そしてふと思ってしまう。

 フェアリーシロップを使ったポーション的なものは造れないものか、と。

 現状ではMP100回復は貴重だから、ある程度貯めておきたいという気持ちと、新しいアイテムを造れないかという気持ち。気持ちが二つある……。


 でも、フェアリーを仲間にする人が増えたらフェアリーシロップの流通量も増えるだろうし、ここは新しいアイテム開発に回すのが吉かだろうか。ものづくりが楽しいからこのゲームやってるんだしね。

 よし、次の10個は開発に回そう!


「あ、ボクのフェアリーシロップ、みんなに人気なんだー。毎日食べたいって言われちゃった! てへへ」


 ……前言撤回。みんなの分の5個は食べてもらって、残りの5個を開発に回そう。

 それにしても、エファはここに来たばかりなのにみんなと打ち解けてるな。コミュニケーション能力が高いのかも。

 でも、そうしたらどうして妖精たちは普段は隠蔽魔法で隠れているんだろうか?


「エファ、そういえばどうして普段は姿を隠してたの? 悪戯するため?」

「うーん、それもあるんだけど、ボクたちって小さいから打たれ弱いんだよね。だから、蜜を採取する時以外は姿を隠して、モンスターに見つからないようにしてるんだよ」

「なるほど……」


 確かにプレイヤーの素体でも防御関係のステータスは軒並み最低クラスのか弱いステータスだったな……。

 魔力と速さ特化だから先手を取って一気に制圧できれば強そうではあるか。


「まあ、やろうと思えばみんなで後ろからマジックアローを撃てば倒せるけど」

「伏兵ってレベルじゃない……」


 そうか、集団行動して全員で一斉に魔法を撃てば、魔防の低いモンスターはいちころだな。

 動く伏兵って脅威過ぎる……。もし敵対してたら俺たちもそうなってたんだろうな。

 基本的にやることが悪戯で助かった……。


「ところでエファのスキルを見せてもらってもいい?」

「いいよー。コウなら恥ずかしい所も見せちゃう! なーんてね」


 俺は冗談を言っているエファのステータスを開いてスキルを確認する。


【MP消費効率化Lv2 (パッシブスキル):MPの消費量を1/3にする(端数切り捨て)】

【マジックアローLv2 (アクティブスキル):魔力で矢を造って攻撃する。風属性。消費MP10】

【隠蔽魔法Lv5 (アクティブスキル):30分の間、身に着けているものなどを含めて透明にする。透明にする相手は選択可能。何かに触れる、触れられると強制的に解除される。消費MP50】

【魔素取り込み (ユニークスキル):空気中の魔素を取り込むことで、毎分MPが2回復する】


 うわあ。めちゃくちゃ魔法特化だ。

 常にMPが回復するうえに消費も抑えられるから、常に姿を消していても大丈夫なのか……。


 ちなみにスキルレベルが高いのは、NPCの場合はそのままのLvで加入するからだ。

 ペットモンスターだとLv1に戻るから、これはありがたい仕様だな。一緒に戦って成長していくのも楽しいんだけど、即戦力にはもってこいだ。


「ちなみにこれ、俺にも隠蔽魔法をかけられるの?」

「うん、もちろんだよ。えいっ」

「うわっ?!」


 ……魔法をかけられたものの、自分では自分の姿が見えるようで、本当に消えてるのかは分からないな……。

 ちょっと試しに誰かを呼んでみるかな? あ、ちょうどいいところにライアがいる。


「ライアー」

「きゅー?」


 俺はライアに声をかけるが、俺の声がするのに姿が見えないのか、ライアはあたりをキョロキョロ見ている。どうやら本当に消えているようだ。


「きゅー……きゅ?!」

「うわっ!?」


 不思議に思ったライアがこちらに近づいてきて、俺とぶつかって転びそうになり、慌てて支えようとして地面に押し倒される形になる。


「きゅ? きゅ?」

「ご、ごめん。ちょっとエファの魔法を試してたんだ……」

「これでちゃんと消えてるって分かったー? でも、えっちなことに使っちゃダメだよー?」

「使わないってば!」


 しかし、これを使えばモンスターに奇襲をかけることが可能だな。

 消費MPは重いものの、いきなり致命的な一撃も入れられるだろうし、使い勝手はよさそうだ。


「……それじゃ、そろそろ妖精の里に行ってみたいんだけど、大丈夫かな?」

「もっちろん! アテナたちも呼んで一緒にいこー! みんなに家を造ってくれるんだよね!」


 こうして、ちょっとしたドタバタはあったものの、妖精の里に行くことになった。




**********




「ここだよここー!」

「あれ? ここは……」


 エファに連れてこられた所は、俺が枝にリボンを巻いて目印にしていた木。

 ……そういえばリボンが邪魔だって言われてたけど、もしここが棲み処なら確かに邪魔だよなあ……。


「そうそう、コウがリボンを置いてってくれたとこ!」

「め、目印だったんだけどなあ……」

「ふーん、そうだったんだ。でも、あのリボンかわいくて良かったよ!」

「それならよかったんだけど……もしかして、ここが妖精の里で、隠蔽魔法を使って隠蔽しているとか……」


 アルラウネさんたちの森でも同じようなことをしていたので、おそらくここもその類なんだろうと思っていたのだが。


「ううん、違うよ。ここから入るの!」

「ここから……?」

「うん、ちょっと待ってね。────……!」


 エファが人間の言葉とはまた別の言葉を発する。

 何かの呪文なんだろうか……? そう思っていると、不意に光があたりを包み込んだ。


「これは──」


 俺たちは光量に耐え切れずに目を閉じる。




 ……そして、光が収まって目を開くと、大木が円のように立ち並ぶ広場に立っていた。

 ポータルで移動している時のような感覚があったし、もしかして転移魔法か何かだろうか。

 そんなことを考えていると、急に里に来た俺たちに驚いたのか、妖精たちが集まってくる。


「わー、人間だー」

「エファちゃんたちが一緒にいる……ってことは、例の人間さん?」


 れ、例の人間?

 確かに俺たちの仲間になった3人の妖精以外の7人は里に帰っていったけど、その子たちから何か聞いてるんだろうか?


 ……ん? 集まってきた妖精たちの中に、一人だけ身長が他の子の2倍はある妖精がいる。

 もしかして、彼女が妖精の上位種でこの里の長なのだろうか?


「……ふむ、あなたたちがこの子たちが言っていた、エファと仲良くなった人間ですか。私はティターニア、この妖精の里の族長になります」

「あ、ティタちゃん! あのねあのね、コウたちがいいもの造ってくれるんだって! だから連れてきたの!」

「てぃ、ティタちゃん……?」


 エファがこういう子なのは分かっているけど、まさか族長にまでそういう物言いなのか……。

 妖精たちは自由な子が多いと思ってたけど、ここまでとは。


「……も、もぉ……エファちゃん、せっかく私が威厳を出そうとしてたのにー!」

「あ、ごめんごめーん。そういえばそうだったね」

「え、ええと……?」


 いったい何が何やら。ティターニアさんは族長であることに間違いはないはずなのだが……?


「実はね、ティタちゃんは身体が大きいから族長に選ばれたの」

「そ、そうなんです……向いてる人は他にいると思うんですけど、みんなに『大きいと威厳があるよ!』って言われて、それでなし崩し的に族長になっちゃってですね……」

「た、大変だったんですね……」


 ええ……そんな選び方ある?!

 確かに俺もひときわ大きいから上位種で長なのかな? って思ったけどさあ!


「……ということで、改めましてティターニアです。よろしくお願いします」

「こ、こちらこそ。あ、こちらは友好の品にと思いまして、クイーンビーのハチミツと、アルラウネの上位種の蜜になります」

「えっ」

「「「「「アルラウネの上位種の蜜?!?!?!?!?!」」」」」

「コウ、なんでボクにそのこと言ってくれなかったの!?」

「え? え?」


 俺はただ単に、アルラウネの蜜が好きだから、アルラウネさんの蜜なら贈り物に最適かなと思っただけで……。


「ええと、私から説明しますと……アルラウネの上位種の蜜は、私たち妖精の進化につながるものなのです」

「そーなの! だからボクも食べたい食ーべーたーいー!」

「なるほど……確かにそれだけ驚かれるのも無理はないですね」


 しかし、妖精の進化って魔石じゃなくてアイテムなんだ。

 モンスターではないから進化条件が違うとかなんだろうか? それに、この里には妖精の上位種みたいな人がいないから、上位種と会うことが進化条件の一つであるモンスターともまた違うんだな。

 ……こうなってくると、エルフが進化したらハイエルフになったり、ドワーフが進化するとエルダードワーフになったりするんだろうかという疑問も出てくる。

 でも、まずはこの場を落ち着かせないと。


「ええと、アルラウネの上位種の蜜でしたら、知り合いにアルラウネの上位種がいますので、ある程度は融通ができると思います。おそらく、この里の全員分は大丈夫かと」

「よ、よろしいのですか? そのような貴重なものを……」

「はい、エファが仲間として一緒に行動してくれますので、それのお礼とさせてください」

「ありがとうございます……! それではエファちゃん、一番に食べて進化して、コウさんのお役に立ってください」

「うん!」


 俺はビンの蓋を開けてエファに蜜を掬ってもらい、エファがそれを口にする。

 すると、モンスターが進化するときと同様に、エファが光に包まれていく。



「なんか力がわいてくる! パワー!」


 エファはそう言っているものの、見た目の変化はない。

 ……そう思っていたのだが。


「ほら見て見てこの羽! キレーな緑色!」


 そう言われて他の妖精を見ると、全員が無色の透明な羽であることに気付く。

 なるほど、妖精は進化すると羽の色が変わるのか。


「じゃあ次はティタちゃん! 族長だからね!」

「わ、分かりましたから、そう蜜を手に持ってグイグイ来ないでください……」




 その後、蜜が尽きるまで進化は続き、気が付けばそろそろ夕方になる時間だ。


「……少し足りなかったようですね、次に来るときは追加で持ってきますので、進化がまだの方はお待ちください」

「ありがとうございます、まさか皆が進化できるとは……」

「……ねーねー、コウ。ボクたちここに何しに来たんだったっけ?」

「…………あ」


 妖精の家づくりにきていたのを完全に忘れていた。

 さすがに時間が遅いのでサンプルとして俺とアテナさんとアトラスさんで木に3つの部屋を造り、気に入った部屋を次回に造ることにするのだった。


 その後、俺たちは妖精の里、フィアのポータルでエインズの町に戻ったところ、エファたちのことに気付いたプレイヤーから質問攻めにあうのだった。

 ……まだまだ忙しい日々は続きそうだなあ。

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― 新着の感想 ―
妖精の里へは木がゲート代わりになっていたんですね。しかもどうも妖精言語じゃないと開かないっぽい。 ん?という事は、妖精種のプレイヤーでは無理なのかしら?種族特性で妖精言語が話せるなんて事は無いでしょう…
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