ぬいぐるみの年
みなさま、ぬいぐるみはお好きでしょうか?
私は大好きです。二頭身のデフォルメされたもふもふぬいぐるみが大好きです。
子供の時からゲームセンターのUFOキャッチャーで取ったり、家族が取ったものをもらったり、押し付けられたりしていて、大きいポリ袋二つ分くらいのぬいぐるみがありました。捨てるに捨てられないんですよね、ぬいぐるみ。
しかし社会人になり引っ越し時の散逸などもあり、現時点では三体(個人的には「三人」と言いたいですが)のぬいぐるみが家にいます。
十代前半の時にUFOキャッチャーで手に入れた、ゴマフアザラシの赤ちゃんっぽいぬいぐるみ(漫画やアニメのキャラではない、ただの白いアザラシです)
お髭が経年劣化で取れちゃったけど、毛並みは30年経っても変わらず。
二十代前半の時にUFOキャッチャーで手に入れた、たれぱんだがパジャマ着ているぬいぐるみ。目覚まし時計もセットだったんだけど、それはどっか行った。
パジャマの帽子、サンタさんの帽子みたいなのをつけていて、着脱可能なパジャマきているたれぱんだくんです。
帽子が切れたり破れたりしているので縫って補強してます。
三代後半の時にUFOキャッチャーで手に入れた、コウペンちゃん。マントみたいなのを着ている冬仕様のコウペンちゃんで、これは会社の近くのゲーセンで入手したこともあり、家ではなく会社に置きましたが、コロナ禍による席のフリースペース化に伴い回収しました。
そう、大体十二年の周期で新しい子がうちに来ているのです。
でも、さすがに四十過ぎたおっさんがそうそう新しいぬいぐるに触れることはなかろうと、新しい子が来ることはないだろうと思ってました。
しかし、今年、息子の通っている高校で夏休みの短期語学留学の募集があり、私が子供の頃行かずに後悔したこともあり、送り込みました、イギリスに。
持たせました、潤沢なお金を、現金と短期旅行用のプリぺイド的なクレジットカード両方で。「空港でワイン買ってきて、冗談です」との言葉と共に。
流石にお酒は「買うな」と学校から直々にお達しあり買えなかったとのことですが、無事に帰ってきてくれただけでよかったを子供をハグした私に息子が差し出したのは一体のぬいぐるみ。
留学中の遠足的なもので動物園に行き、そこでレッサーパンダのぬいぐるみが可愛いからお父さん用に買ってきたお土産、とのことです。
動物園にあるだけあってリアリティが高い、肌触りのいいぬいぐるみでした。「あー、そろそろ新しいぬいぐるみが来る頃って思ったけどこういう展開か」と、とりあえず「れっぱんちゃん」と名付けて枕の隣に起きました。
さて、それから数週間後、息子の誕生日祝いで、汐留のホテルに泊まりました。
(なろうに企業名とかどこまでかいていいかわからないのでまずは普通に書きますが)
カプコンのモンスターハンターというゲームの最新作とのコラボイベントで、部屋がフィールドのイメージ、バーでゲームに出てくるお団子が食べられるというものでした。
チェックイン三時なので、それまでに東京駅の東大がやっている無料の博物館行ったりして観光し、いざホテルへ。
エレベーターホールにはモンスターの足跡が複数。エレベータにはその足跡のモンスターが、受付にはキャラクターの集合写真があり、「おー!!」と子供と感動。ルームキーは三枚もらい、うち二枚はゲームのエンドコンテンツで出てくる特殊個体が書かれていて「持ち帰り可能」。自動チェックアウト用のカードキーとして普通のを一枚くれているので利便性もバッチリ。
うきうきで部屋に入る。うんうん、「塔の秘境」というフィールドをイメージされた部屋っぽい、壁にもそこでしか戦えないモンす、、、、、、なにこのベッドの上にいる丸っこい可愛いぬいぐるみ!!!
アイルーという猫の獣人、主人公の相棒でありシリーズのマスコットキャラ。
リオレイアという、夫のリオレウスとともに初代からいる「ザ飛龍」というべき伝統的モンスター
余談ですが、リオレイアはイヤンクックという別のモンスターと浮気して、できた子供がグレてイヤンガルルガという凶悪モンスターになったという説を私は信じていいます。
この上記キャラを、とことん可愛さにガン振りしてデフォルメして長さ三十センチ、直径二十センチ(今測りました)の稲荷寿司みたいな形でぬいぐるみにしたものがベットに一体ずつ鎮座しているのですよ!
「宿泊客様、あなたが持って帰っていいのはカードキーとアイマスクだけです」ってしつこいくらい書かれた理由がわかった!これ持って帰りたい!可愛い!
もちろん持って帰らないけど寝る時は存分にもふらせてもらおう。まずは息子の意見を最優先、「どっちがいい?」「レイア!」あれ?猫の方かと思ったら意外。
そんなわけで、AR駆使したスタンプラリーやって、普通に高級ディナー楽しんで、コラボの内数に入っているお団子食べて、一杯二千円近くするコラボカクテル飲んで楽しみました。
私は前作のパッケージモンスターを務めた氷の龍をイメージしたカクテル、その名も「冰龍イヴェルカーナ」を注文、息子は未成年なのでノンアルコールカクテルの「月迅竜ナルガクルガ希少種」を注文。
「イヴェルカーナを注文する日が来るとは」と感動で打ち震えているとバーテンダーさんが「コラボ決まって勉強したけど詳しくないんです、有名なモンスターなんですか?」と聞かれたので、熱く語りたかったけどドン引きされるだろうか、高貴で強く美しい、人気のモンスターです、とだけ言っておきました。
部屋ではもちろん持ち込んだPS5二台を部屋のテレビと持ち込んだモバイルディスプレイにつないで「モンスターハンター"ワールドアイスボーン"」を親子で遊びました。
え?そこは「モンスターハンターライズ サンブレイク」じゃないのかって?
いえ、PS版はまだ最終アップデートされてなかったのですよ、だからやる気なくなって過去作やってました、少しはサンブレイクもやりましたよ。
そんなこんなで就寝、アイルーをもっふもっふして可愛い可愛いと最高でした。
で帰宅。このぬいぐるみは「カプコロン BIGぬいぐるみ」というシリーズで、渋谷か大阪のカプコンストアでしか買えないとのこと。
もちろん行きましたよ。もちろん買いましたよ、一体三千五百円。アイルーとリオレイアを。
いま、このアイルーを抱きながらこれ書いています。
日々の仕事、この子抱きながら仕事しています。
仕事で酷い扱いされても、この子の顔見ているだけで癒される。
そういえば、今までのぬいぐるみはみんなおすまし顔ですが、この子だけは口が「ω」と笑っていて可愛い。
もう付喪神がついているであろうあざらしくんが嫉妬でこの子をいじめないようにちゃんと挨拶して、必ずペアで愛でるよう心がけていますが、このアイルー君可愛すぎる。
どなたかのエッセイで「うさぎ買いたくなったら読んで」という趣旨で「生き物を飼う覚悟」を問うものがありました。
私たち親子は犬を飼ったことがあります。もう、遠いところに旅立ってしまいましたが、最後まで愛し続けました。
それを踏まえて、「おれ、ぬいぐるみに囲まれていればいいや」って思いました。
でっかい体にもふもふの柔らかささ手触りの良さ、顔の可愛さ、付喪神がついても物理的に動けないだろう手足の小ささ。(多分霊力で飛ぶんだと思いますが)
可愛いもの耐性が高いはずの私をここまでメロメロにするとは、何と恐ろしい。。。
以上が、今年の、約十二年周期で来る私の「ぬいぐるみの年」の顛末です。
問題は、アイルー君のタグに「洗濯禁止」とあること
ぬいぐるみ抱っこして寝て涎まみれにしちゃってお風呂入れている私への死刑宣告に等しい。。。
中性洗剤含ませた布で拭きなさい、とあるのでその通りにして、陰干ししてます。
チューする時も事前に顔洗うようにしているし、大事にしないと。。。
あ、最後に、私にエッセイを教えてくれた恩師は「エッセイにフィクションを書くな」と教えてくれました。
今私は「うちのぬいぐるみは私の見ていないところで動いている、付喪神がついている」と主張しています。「これ、ジャンル、ローファンタジーじゃないの?」いいえ違います。私は本気でこの子達に意思があって生きていると信じていいます。だからこれはエッセイなのです。(てゆーか、絶対夜に動いてますよこの子達)
あと三十年くらい可愛がればアイルー君も動き出すかな?でもそろそろ私死んでそう。
あの世で一緒にいられればしあわせだなぁ、、、