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星の守り人  作者: quo


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探索

マリエルはヴェルシダがみた獣人の姿について聞いた。ヴェルシダによれば、外見は人に近く顔は見ていない。体つきは大きめで、人間の体を大きく上回るもではないと言った。暗闇の中で魔法をつかってみただけだから情報量は少ないが、少なくともナイフを通さない位の筋肉を持っていると言った。


マリエルはルナヴェールが頭に流し込んだ男の姿と比較したが、やはり情報量が少なく、マルス商会の倉庫に入っていった男と同じか分からないと言った。セフィルは獣人に二人に聞いた。そんなにも人と見分けがつかないのかと。マリエルは、一度見たことのある獣人の話をした。おおよそ人に紛れる事は出来ない姿だ。


ヴェルシダは、見たことは無いとしながらも、獣人が人に紛れるほど似る可能性についてセフィルに説明した。それは混血だ。人間の世界ではどうかは知らないが、魔族の中のおとぎ話で、人と交わり人の子として生きてゆく物語があるそうだ。

それは、大昔に栄えた国の王の娘が、獣人と駆け落ちして、二人とも国から追われた話だ。おとぎ話とはいえ、全くの創作とは言い難い。もしかすると。大昔から獣人は人の中に紛れているのかもしれない。


しかし、そうだとして水路の中にいた事、マントの男と同一人物とした時、人を集めて両陣営に嫌がらせをするのかが分からない。三人は話しているうちに、考えが堂々巡りになっていくのを感じた。セフィルは、行動あるのみと言って、今晩、男が現れたという酒場にいくと言った。だが、ヴェルシダがそれを止めた。


「お前は水路にいただろう。狼だったら匂いで分かる。私もだ。」

「どうせ行くならマリエルだ。マントの男の特徴を知っている。私たちは外で待機だ。」


セフィルは、反対したがヴェルシダは問題ないと言った。黒猫を指さして、優秀な使い魔がいるからと。マリエルも大丈夫だと言った。しかし、セフィルは頑として譲らない。仕方ないので、三人で張り込むことにした。セフィルは地図を広げると、酒場の周辺を確認した。都合が良い事に向かいに宿屋がある。日没前に宿に入り窓から酒場を見張ることにした。


日没まで時間がある。ヴェルシダはセフィルに武器屋に案内しろと言った。手持ちの武器では獣人に太刀打ちできない。セフィルも直ぐにではないにせよ、剣を買い換えたいと思っていたので、市場に出かける事にした。マリエルは宿に行って部屋を取っておくことにした。集合場所は銅像のある広場。万が一、宿が取れなければ、路地裏から酒場を見張る羽目になる。


セフィルは昼間でもマリエルを酒場の近くに行かせることを心配したが、ヴェルシダが強引に市場へ連れ出した。

セフィルは何回も振り返りなも、市場へ向かった。カエロがいた職人街とは違い、こちらは専門外のような場所だった。武器や鎧、本、筆記の紙とペン。神の文字が刻み込まれたお守り。色々な物があった。セフィルは、まえから目をつけていたという武器屋に入った。中には、所狭しと武器が飾ってある。剣はもちろん、投擲武器や弓矢、盾、槍。奥にも何かありそうだ。全部集めれば軍隊が出来そうな勢いだ。


奥から主人が出てきた。戦場を駆けていたのか強靭そうな体躯に髪は反り上げられている。そして、片目がつぶれている。主人は一見して強面だが、高い声で「いらっしゃい!」と言って満面の笑みで二人を迎えた。ヴェルシダは主人の事を無視するように武器を売ってくれと言った。


「とにかく接近戦だ。防御も出来ればいい。あとは短剣とナイフだ。」


「なるほどね。美しいお嬢様は拳闘士であらせられるか。」

「それでは、とっておきを持ってきましょう。」


主人はおどけて言うと、奥からガントレットを持って来た。


「ただのガントレットじゃありませんよ。甲に打撃用の鋲が打ってあります。そして、肘まで鋼で守っています。」

「これで守るもよし。相手の武器を打ち払うもよし。そして、素晴らしい機能がございます。」


主人は手の甲をつけて、握り締めると、手首から太い鉄の針が打ち出された。針は木の柱にめり込んでいる。


「中に仕掛けがあります。指に引っ掛けて握り締めると、あれが打ち出されるわけです。」

「狙いは良くないですが、牽制か拳を当て使えば、効果は絶大です。」


ヴェルシダはガントレットをつけてみると、構えたり拳を振ったりして試した。


「分かった。これをくれ。いくらだ」


主人は特注品だと言って、かなりの金額を提示した。しかし、ヴェルシダは冷静に言った。


「拳闘士が魔物相手に戦うことは無い。それに、見たこと無い武器と仕掛けだ。」

「試しに作ったが、売れなかったんだろう。これからも売れない。だから、私がこれを引き取ってやろう。」


主人は「さすが!」と言うと、あっさりと値段を十分の一にした。余程、持て余していたのだろう。」


次に、セフィルが主人に剣を差し出すと、修理するか買い換えたいと言った。剣を預かり引き抜くと、主人の表情が変わった。戦士の顔だ。


「研いでも良くはならんよ。それに体に合っていない。買い換えるのが無難だな。」


そう言うと、主人は壁に掛けてある剣を数本取ると、カウンターに乗せた。


「切れ味に強靭さ。体に合う長さ。それが合っているのがこれだ。」


セフィルが手に取って振ってみると、驚くほど体になじむ。しかし、値札をみて驚愕した。前金でも足りない。仕方ないので、立てかかている剣で良いもをと言うと主人は険しい顔で言った。


「君は筋がいい。さっきの振りと体を見れば分かる。それに、過酷な戦場に行きたいのだろう。」

「年季の入った君の剣が、そういっている。」

「あれは、商売の為に売ってはいるが、命を預けるほどのもではない。」

「金がないのは仕方がないが、安物を買って命を落とすな。安くするから稼いでもう一回、うちに来い。」


セフィルは分かったと言いうと、剣を持って武器屋をでた。ヴェルシダはセフィルが落ち込んでいるかと思って顔を覗くと、奮起した表情だった。落ち込まれても困る。報酬が手に入れば、喜んで買いに来るのだろう。


しかし、ヴェルシダは思った。あの程度の剣なら家の倉庫に積み上げられていた。母が武器商人が剣を売りに来るたびに、試し切りに使っていた。あんな剣で大丈夫なのか?


ヴェルシダは、あの肩こりの草に、剣に、人間は大丈夫なのかと思った。


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