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2-5・班長補佐の役割






「……なんで俺達三班が他の六班から独立した状態になんてなってんだよ」


 そう呟いた男は、スプリングの効いていない固いベッドの上で溜め息を漏らす。

 単純に疲れ以外にも、呆れをブレンドした深い嘆息を、これみよがしに吐いてみせたのだ。

 そして目の前で畏まっていながらも、そんな自分の心情を穏やかな笑みで受け止める副官と、自分の手当てをしてくれた赤髪の少女になんとも言えない、複雑な表情を向けた。


「いえ、他の六班全てが敵に回ったワケではありません。第七班は依然我々の盟友としてあり続けていてくれますし──」


「ウチの二班のメンツは……まぁ半分以上は五班と一班に合流したけど、元班長であるあたしと元副官のカクリはこっち側よ」


 複雑な表情になってしまう理由は、彼自身にも分かっている。

 平然としている二人に、どんな言葉や表情を向ければいいのかが分からなかったからだ。


 ──なんでこの二人は得意気なんだろう?

 そんな風にすら思う。隠していたこちら……自分が悪いのは、今も療養中である彼自身が自覚している。それに対する咎めは受けるべきだと思っている。

 甘んじて全ての罰を受けるつもりはなくなっていたけど──精一杯言葉を尽くして分かってもらうつもりではいたけれど、力をもって分からせるつもりはさらさらなかったのだ。

 その旨はちゃんと副官である青年に伝えていたし、話し合った当時はいい顔こそしなかったモノの了解してくれたハズだった。


 それが廃都と呼ばれる拠点のある街へと帰ってきてみれば、自分達三班の周囲には特別防衛網が敷かれ、本部は厳戒体制で他班を牽制していたのだ。

 わざわざ『水鏡』と呼ばれる女性が、街外れまで迎えに出ていた事からも訝しく思っていたが……しかもやたら恭しい態度でかしこまっていた辺りで、彼の中にあった訝しさは確信に変わっていたが、事のあらましを聞いて改めて目眩を起こしたのも仕方がなかったと言えるだろう。

 それどころか他班に呼びかけ、自らの言い分の正当性を訴えて、街の世論や周囲を取り巻く現在の状況を盾に、民政部に『政治からの不可侵』の約束まで取り付けていた手際には寒気すらした。


 民政部とはそのまま街の運営機関そのものであり、人々への食料配分や復興計画を担う、政治を主とする機関だ。防衛や迎撃といった軍事を司る『黒鉄』という組織とは、対になる存在だと言えるだろう。

 そこへ『シャクナゲと第三班の名前なく、この街を守れると思っているのか』、『将軍を倒した黒鉄こそが、この街の安定には必要だとは思わないか』と交渉を持ちかけたのだ。

 つまりは『向こうに与するのであれば、こちらは今後街の防衛には一切手を貸さないし、こちらが勝った際にはそれ相応の対処をとる』と暗に示し、脅しに近い真似をしたワケである。


 こんな真似をしでかした理由は、食料や消耗品の支給などと簡単ではないだろう。

 食料などの備蓄については、第三班の副官である男ならば抜かりがあるはずもない。

 班長である彼自身も、この三班本部に備蓄されている食料や武器弾薬、燃料などについては、一つの班としてはかなりのものだと自負しているぐらいだ。

 それでも『政治からの不介入』……つまり『街の政治機関からは敵対されていない』という名目はやはり大きいのだ。それだけで三班の者には自信になるし、自らの正当性を信じる他班は揺れるだろう。

 やり方は脅しに近い真似だったとしても、『民政部が三班の実力を認めている』という証にもなる。

 しかし、やり方自体が頭痛の種なのは変わらない。

 そしてそんな事よりもさらに頭が痛いのは──


『でかした!副官!あんたなかなかやるじゃん!うん、カクリに言って誰かいいコ紹介してもらってあげる!』


 と大張り切りで、帰還してからずっと三班に居座っている『元』二班班長であろう。

 なにしろこの少女、二つにバラけた二班を副官に言って解散させただけではなく、いい機会とばかりに仲間を引き連れて三班に加盟してしまったのだ。

 しかも『班長補佐』なんて今までなかった役職まで与えられて。


 ちなみに頭が痛い女性としては彼女にも劣らない、『元』二班副官は、副官補佐兼相談役なんて役割にちゃっかり収まっていたりする。

 今頃は上官である『紅』にも劣らないぐらいに大張り切りで、あちこちに策や罠を張り巡らせている事だろう。


「俺の事を思ってくれてっていうのは分かるよ、でも──」


「私としてもやはり二の足を踏むところだったのです。ですが、話して分かる相手ばかりではない事も事実なんですよ。幸いスズカさんを始め、相談をした皆さんが私の意見に賛成し、快く色々と協力してくださいましたし」



 ──スズカぁぁ!またお前は素知らぬ顔で色々やってたのか!?


 一番最近に見た『銀鈴』の、あまりにもいつも通りだった表情に、彼は実際に頭を抱えてひっくり返りたくなる。

 もちろん平然と悪びれていない自分の副官にもだ。


「シャクナゲ、あなたは絶対に必要な人間です。他の班の連中など知った事じゃありませんが、少なくとも私達三班の仲間にはあなたが必要なんです」


「うんうん、あたしも今は三班だけど、全くの同意見かな」


 ──カーリアンはともかく、他の元二班の面々、つまりカクリとその取り巻き(紅薔薇会)の連中は、『紅』に付いてきただけだろう。


 シャクナゲはよっぽどそう言ってやりたかった、言えなかったのは、単に療養中で言う気力がなかっただけだ。

 そう思わなければ、ここで本当に突っ伏してしまいそうだったのだ。






「ナナシんとことオリヒメんとこは完璧敵なのよね?」


「はい。現在一班は、拠点をドームから北の山中にあるホテル後に動かし、高い位置からこちらを牽制しています。四班は少し混乱しているようですが、本拠の廃ビルを中心にあちこちへと戦力を散らせ、防衛網の構築に入っています」


「……オリヒメのヤツ。じゃあ五と六は?」


「五班は動きを見せていませんね。まぁ業務は行っていませんし、港湾の入り口を固めて他班との接触は断っているようですが。六班に至っては、本拠に閉じこもったまま動きが見られません」


「ふんふん。じゃあ問題はやっぱ一班と四班……かな?」


「さすがですね、班長補佐。特に一班はいつ攻めてきてもおかしくありません。四班も防衛班だけあって、時間をおけば強固な防衛網を築いてしまうでしょう」


 今日はとりあえず一人にしてくれ……そんなシャクナゲの願いも虚しく、『現状の把握だけでもお願いします』と言って譲らないアオイと、『オッケー』と簡単に了承を返した少女の話を、側で聞くともなしに聞かされる。

 今までもこういった話し合いをしてきた事はあった。特にずっと副官であった青年とは、『決戦班』の班長と副官として、ほぼ毎日のように似た話をしてきただろう。

 それでもシャクナゲは、溜め息を禁じ得ない。

 なにしろ今回の敵対者は同じ『黒鉄』なのだ。ずっと仲間だった者達が相手なのだ。

 心は深く沈み、憂鬱に思考が塗り潰されそうになる。

 きっと彼自身が各地を回って、この街へと連れてきた者達とも戦う事になるだろう。


「シャクナゲ、これは私達個人の意志です。ワガママと言ってもいい。だからあなたは戦ってくれなくても構いません。私達が勝手にやった事ですから」


「そんな……そんなワケにはいかないだろ」


「……そうですか」


 ──そうですね。

 そう言って副官であるアオイは、気付かれないように溜め息を漏らす。

 それは疲れを滲ませたモノではない。単にそう言うだろうと思っていたと示す為の嘆息だった。

 どちらにしろ、三班の士気はこの班長次第だ。彼が不戦を貫いていれば、他の誰もが戦う事に躊躇いを持ちかねない。

 それをこの班長自身が自覚しているからこそ、彼自身がいかに戦いたくないと思ってはいても、動かざるを得ない。

 そうしなければ、自分の為を思って立ち上がってくれた仲間達を見捨てる事になる。

 いかに自分が苦悩していようが、同じ班の仲間達だけを戦わせる事など、この班長に出来るハズもない。

 そう話を持っていったのが自分だったとは言え、やはり心苦しくなってしまう。副官としての分を越えている事を申し訳なく思う。


「私は即座に動き、まずは一を屈伏させたかったのですが、いかがでしょうか?四が防衛網を築く前に一を敗北させられれば、四は抗うを良しとはしないかと考えていたのですが」


「……それでいい、と言いたいけど、少しだけ時間をくれないか?」



「覚悟が決まりませんか?」


 そう真っ直ぐに問うアオイに、彼は小さく肩をすくめてみせる。やるせなさそうに、でも仕方ないとでも言いたげに。


「違うよ。こうなったらもう戦ってから話をするしかないと思う。俺がいくら会談を求めても一班はきかないだろうし、四班もすぐには応じてくれないだろうから」


「すみません。一班を煽り過ぎたのは少々出過ぎた真似でした」


 言葉とは裏腹に、アオイ自身には全く悪びれたところが見られない。あくまでも飄々としているそんな青年に、思わず苦笑が漏れてしまう。


「いいよ。一回一班とはちゃんとぶつからなきゃならなかったって事だろ」


 ──どこか一つを徹底して敵に回し、そこを圧倒してみせる事で、争いを早期に収めるって考えたんだろうけど。

 そう自らの副官の考えを看破しながらも、そんな素振りを見せないしたたかさに呆れまじりに感心までしてしまう。

 確かに一班ならば、三班の実力を示すにはいい相手だろう。あそこを圧倒出来れば他班に対する牽制にもある。

 『一』と『三』の二つこそ、黒鉄が誇る二大前衛班だという認識が多くの者達の中にあるのは間違いないからだ。

 それが早期に混乱を収める方法だと彼も理解はしている。

 それでも今の現状では、彼には他に優先すべき事柄があったのだ。


 アカツキの友人として、そしてその遺産を持つ者として。


「単に待って欲しいのは、俺には一つしなきゃならない事があるからだよ」


「しなきゃならない事?なんかあるなら代わりにあたしがしたげよっか?」


 意気揚々と手を上げる少女に何故か微笑ましさを感じ、それでも『任せて任せて!』とばかりに表情をほころばせる彼女に、シャクナゲは小さく首を振ってみせた。


「ありがたいけど、今回は甘えられない。やるのは『アカツキの遺産』、それの破壊だから」


「スカシ野郎の遺産?」


 ──彼女には任せられない事だったから。

 いや誰であろうと、任せられない事柄だったからだ。


「あいつの世界が残した四つ、その中で持ち主不在のモノ、最悪のモノ、俺がかつて破壊に失敗した災厄──『ノーフェイト』」


「ノーフェイト……」


 あの不気味な錫杖──不可思議な力ぐらいは、アカツキに与えられずとも元から持っていそうな遺物を思いだすだけで、彼は胸の奥深くから嘔吐感がこみ上げてくるのを自覚する。

 あの人間を止まらせる運命毒。停滞させる因果。その全てに、今ではかつてないほどの恐怖を感じている。

 彼自身でさえ──絶対の意志を持って挑んだ『宵闇』であった頃のシャクナゲでさえ、あの運命毒には抗えなかったのだ。

 あの時もし、使用予定者にして制作者でもあるアカツキがいなければ、無事に『帰って』はこれなかっただろう。その事実が、彼をより暗澹たる気持ちにさせる。


「リバティ──カブトが持つハズだったモノにはさ、そこまでの力はなかったんだ。持ち主がいなきゃなんの害も及ぼさない存在だった。カブト専用だった。俺の『シャクナゲ』は抑える為のモノで、力自体は大したモノじゃない。でもあれは──」


「運命を冒す運命毒。アカツキが『新皇』を殺す為に──あなたが狂っていた時の為に作っておいた、『ノルンズアート製造の一』にして零番、ですか」


「シャクを殺す為のモノ……」


「そう、シャクナゲを──もっと言えば、新皇だった『灰色』ですらも殺せるだけの力を持つ『一』。それが『ノーフェイト』」


 そう語るシャクナゲの声はどこまでも暗い。思いを馳せるというには陰鬱すぎる表情で、誰とも視線を合わさないようにそっと天井を見上げた。

 それを見ていた少女は声もかけられずに、ただオロオロとし始める。

 そんなのを相手にするなら、やっぱり自分も──そう言いたいのだ。それがはっきりと分かるほどに心配げに、手を握ったり広げたり、天井を見上げてみたり床を見下ろして落ち着かない。


「あれはその力ゆえに防衛機構を施されている。いや、あれの力そのものが、防衛する為の力になって垂れ流しになっているんだ。誰の手にも渡らないように、ゆっくり運命毒が滲み出し続けている。アカツキの切り売りした『全て』を今も蓄えながら。だからこの三班の地下深く──光すらも差さないさらにその先に眠らせてきた」


 そんな少女には気づかないフリをして、淡々と言葉を連ねていく。目を合わせてしまえば、彼女は強引にでも自らの参加を表明し、それを押し通してしまう気がしたからだ。


「いつかはこの手で……そう思ってきたけど、黒鉄達みんながアカツキの力を知った以上は放っておけない。誰もあんな『異物』を求めるべきじゃない。あれは──」


 ──人間を信じていたアカツキが、その信念を一度だけ歪めて作った本当の闇だ。


 その言葉に室内には沈黙に包まれる。


 『ノーフェイト』。それについては副官である青年ですらも詳しくは知らない。

 四番目の造物たる『ファム・ファタル』を持つ遺産の継承者でさえ、その情報に触れる事は禁忌とされてきたのだ。

 当然いかに元班長だったとは言え、一年前にこの街に迎え入れられた少女には馴染みのない名前だ。


 それでも沈黙しえなかったのは、アカツキと呼ばれる特殊な能力を持つ創始者が、信念を歪めて力を求めたという言葉に、底知れぬ畏怖を覚えたからに他ならない。

 そして目の前の彼──シャクナゲの名前と、強大な力を持つもう一人の創始者でさえも破壊しえなかったモノ、『新皇』と呼ばれた時の彼でさえも殺しかねないモノという言葉の意味を理解したがゆえだった。


「今日の夕方には行ってくるよ。帰ってくるまでの間は……二人に任せていいか?」


「了解しました」


「いや」


 それでも班長補佐である少女は即答で否定してみせた。了承を返した隣の副官が唖然としていても、今では補佐すべき存在である男の言葉にも憚る所なく、あっさりと首をフンとばかりに横に背けてみせる。


「……カーリアン、今回ばかりはいくらごねても連れてはいけない。スズカがいても連れては行かないよ。頼むから──」


「じゃあ、『シャクナゲ』はあたしに預けていきなさい。そして絶対取りに帰ってくるって約束して!んっ!」


 それどころか班長に──第三班では誰もがその言葉に従う班長に、『頼む』と言われても怯まないまま、その手をグッと突き出した。

 そして彼の武器であり、彼自身と同一の銘を持つ遺物であり、『灰色』を抑える為の『シャクナゲ(抑制器)』を寄越せと迫ってみせたのだ。

 それは、彼が『灰色』を抑える為に必要不可欠なモノだということは、彼女が一番よく知っているハズなのに……彼が自らを保つ為に『抑制器』に縋っている事は、あの光都での出来事を知っている彼女なら分かっているハズなのに、だ。

 もちろんその行動の意味が分からないほど、彼も愚かではない。彼女は間違いなく彼の身を案じてくれているのだろう。そう思う。

 それでも唖然としたまま横でそのやり取りを見ていた副官が、そのやり取りの意味を悟ったのか今ではニッコリと笑い、少女を援護するかのようにジッと見つめてくる様に、思わず憮然としてしまう。

 そしてほれほれとばかりに手を突き出してくる少女に、大きく肩を落として溜め息を漏らした。


 ……なんというかこの班での『班長補佐』の役割が、彼にも読めてしまって。

 まさしく彼女は、副官には出来ない事をするうってつけの補佐(人材)なんだろうと思ってしまって。


「……分かったよ」


 それが可笑しくて、嘆息混じりに枕元へ置いてあった『シャクナゲ』を渡しながら、彼も笑えてしまったのだ。

 この数年、手放す事をずっと恐れてきた『抑制器』を、ここ最近だけで二度も手放す事になったというのに、それでも何故か自然と笑えている自分に少しだけ驚きながら。


お試し短編、初の前後編分けましたバージョンの前編。

今回の本文のちょっと前辺りをイメージしています。

後編は次回あとがきにて。

題して『班長補佐の役割と、副官の役割』。




「ねぇ、副官。ちょっと聞きたい事があるんだけど」


「なんでしょう?」


手際よく雑務をこなしていくアオイを見るとはなしに見ながら、カーリアンは何気なく言葉をかける。

別に二人っきりの場にいたたまれなくなったワケでもなければ、無言に包まれた三班執務室に耐えられなくなったワケでもない。

言葉通り、彼女には三班の副官である彼に聞きたい事があったのだ。


「シャクってさ、なんか弱点とかないの?」


「はっ?」


「いや、あいつって結構なんでも出来るじゃん?書類仕事もすれば機材の整備するし、前なんかここで子守りもしてたしさ。ほら、これは苦手、とかあるのかなぁって」


カーリアンの言葉の意味が分からず、少し固まってしまったアオイを、気にした素振りも見せずに続けた。

彼女にとってその質問に特に深い意味などない。単に『補佐』となるからには、その苦手分野を知っておきたいと思っただけに過ぎない。

それが分かったのか、あるいはそんな事はなくとも自分なりになんらかの解釈を付けたのか、アオイは小さく笑ってみせる。


「シャクナゲは弱点だらけですよ」


「はっ?」


「だから、シャクナゲは欠点だらけなんですよ」


言葉の意味が解らず……いや、理解出来ず問い返すカーリアンに、アオイは穏やかな笑顔のままで続ける。


「人に頼る事が出来ない、人を使う事が出来ない、人に貸しを作る事が出来ない、例え貸しを作ったとしてもあの人は貸しっぱなしです」


「…………」


「そして自分を好きになれないから、自分を大事に出来ないし、自分に優しく出来ない。そしてそんな嫌いな自分を表にさらけ出せない」


 ──ほら、欠点だらけでしょう?シャクナゲほど欠点だらけの班長なんて、黒鉄七班にも他にはいませんよ。


そうにっこりと笑ったまま続けるアオイに、カーリアンは小さくかぶりを振った。

それは否定の意味ではなく、『あぁ、確かに欠点だらけかも』と納得したがゆえだ。

三班のシャクナゲは、あちこちを走り回って仕事をしているくせに、その仕事を他に回しているところなど、彼女は見た事がない。

周りに貸しを山ほど作っているのは、普段の彼を見ていたら明らかなのに、それを徴収しているところなども見た事がないのだ。

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