24・Long way to say good-bye──Crimson Flame──
あとがきを追加。
忘れておりました。
次回更新は活動報告にてお知らせしますが、今度こそ一週間飛ぶと思います。
今回の人物紹介は『アカツキ1』
「付いてこい。将軍閣下の元へ連れて行ってやる」
「は?」
突然投げかけられた言葉に、思わずそんな間抜けな声を上げてしまった。
ついうっかり……とかじゃなく、それ以外どんな声を上げればいいのか分からなくて、当然の流れとしてそんな間抜け声を上げたのだ。
だってここはあたしの敵である関西軍──関西統括軍の首都たる《光都・カエサル》だ。
当然こんなところに知り合いなんていないし、何より目の前に立つ若い男は、そのくすんだ銀髪や雰囲気からして、間違いなく元変種だと思う。
まぁ、元変種だろうが元既存種だろうが、将軍に閣下なんて付けるクサレなんだから、関西軍なのは間違いない。
よりにもよってそんなヤツに、その親玉である将軍の元に案内してやると言われたのだ。
ヤツらと敵対関係にある黒鉄の──紅のコードを持つこのあたしが、だ。
意外というよりも、そんな言葉が出てくるなんて、まず予想が出来るワケがない。
だけど、いつまでも惚けてばかりもいられない。キッと視線を細め、その若いヴァンプを油断なく見やる。
「……どんな魂胆があるのかは知らないけど、こう見えてもあたしって気が長い方じゃないわよ?下手な冗談は──」
「冗談のつもりはないな。それにこれだけ派手な真似をしでかす女が、気が長いなんて事も考えていない」
──ほっとけ!
自覚はあるけど、他人に……しかも初対面の敵にそれを言われると、さすがに腹が立つ。
まぁそこのコンクリ造りのビルは、ちょっと派手に焦げているように見えるけど。
その男の後ろのヴァンプ──恐らくは元既存種や弱い力しか持たない元変種達が、真っ青な顔でこっちを見てたりするけど。
その男がいきなり現れて、変な事を言ってこなければ、もっと派手な真似をするつもりだったけど。
でも敵にそんな事を言われる筋合いはない……と思う。
「理由は聞くな、知らん。単に黒鉄の者が来たなら……シャクナゲ以外のヤツが来たなら、すぐに通せと言われているだけだ。閣下が何を考えているのかはお前が直接聞けばいい」
あくまでも淡々と……むしろ面倒そうにそう言うと、その男は後ろにいる下っ端の1人に何らかの指示をし、こちらの返事を聞く前に踵を返すとさっさと歩き始める。
その態度が『付いてきても付いてこなくてもどっちでもいい』と言っているように思えて──
あたしは慌ててその後を付いて歩きだした。
なんでこんな事になっているのか……と言われれば、もちろんあたし自身よく分かっていない。
ただ案内してくれるというなら、付いていってもいいかと思っただけである。罠なら罠でもいい、突破するだけだから。
ただもし罠じゃなかったら?なんの為にこんな事を?
そう思ったから付いていく事にしたのだ。
でもなんかよく分からない現状に、首を傾げてしまうくらいは仕方ないだろうと思う。
それを理解する為にも、シャクと別れてからの出来事を思い出す事にしてみよう。
シャクと別れた後──というよりも、別れてからすぐ、あたしはちょっと悩んでいた。
革命前までは数多くの車が行き来したであろう大通りは、今は虚しく閑散としていた。
部品を取られたかつては自動車だったモノの残骸が、道端のあちこちに止まっているところからも、この街が交通の要衝であり、大きな都市だった事が窺える。
人の行き来は全くない。
聞いた話によれば、被支配者層の人間は、地下道や郊外に押し込められているらしい。
この街の中心は、完璧にヴァンプだけのモノなのだ。
そんな大通りの脇で何を悩んでいたかと言われれば、それは当然シャクの事である。
シャクは一度、将軍暗殺に失敗している。
それが単なる力負けなのか、はたまた数の暴力にやられたのかは分からない。シャクはその事について教えてくれないし、それを誰かに語ったという話も聞かない。
黒鉄に広がっている噂では、シャクは後一歩のところまで追い詰めながら、敗れたという話だったはずだ。
ここでネックなのは、『シャクは1人で多数のヴァンプ達と戦った後に、目的の将軍と相対した』という事。
それは言い換えれば、『最初から1対1なら負けていなかった』という暗に含んでいると言える。
それが事実なのか、単なる噂なのかは分からない。
ただ、その蛮勇とも言える行為が、アカツキ無き黒鉄に活気を与えたのは間違いない。
それを指して、カクリは『噂を上手く使った』と言っていた。
ひょっとしたら全く歯が立たなくて、単に逃げ帰ってきたかもしれないのに、その噂では『後一歩』だけ及ばなかった事になっているのだ。
あたしにとって間違いなく事実なのは、『アカツキが亡くなった後、たった1人このカエサルに向かい、結果シャクがボロボロになって帰ってきた』という事だけでしかない。
心配になって当たり前だろう。
むしろなんでアイツと別れるまで心配にならなかったのか、それが逆に不思議なくらいだ。
それであたしは悩む事になる。
つまり──
『シャクに将軍を任せていいのか』という事を。
あたしが陽動を受け持ったからには、シャクなら……たった1人でも将軍の元にたどり着いたと言われるアイツなら、間違いなく将軍の元までは行ける。
それくらい派手に暴れて、目を引きつけるつもりではいる。
でも、シャクが将軍にかなわなかったなら?
あたしが適当に敵を撹乱して、その後で将軍の元へ向かった時には、シャクがやられていたら?
それであたしは悩んでいるのだ。
もういっその事、あたしも一気に将軍のところへ行った方がいいんじゃないか?……なんて思うワケである。
──でももう賽は投げられた後だし。
一旦動き出してから悩むのが、あたしの悪いクセだった。動く前にはなんにも考えないのに、動き始めてからあーだこーだ悩むクセがある。
「カクリがいれば色々と考えてくれるんだけど……」
いかにあたしがあの子に頼っているか、それを嫌でも痛感する。
あたしが知らないところで、あの子が色々と根回しをしてくれているからこそ、あたしなんかでも二班の班長でいられるのだろう。
でも仕方ない。今あの子はいないけど、悩んじゃった以上……そして不安になってしまった以上、それを無視も出来ない。
そんな割り切りが出来る性格じゃない事は、あたし自身が一番よく知っている。
ならば今からどうするかと言うと──
「辺り一帯放火して、どさくさ紛れにあたしが将軍を潰す、ってのはどうだろ?……やっぱ厳しいかな」
なんて事を考えてしまうワケだ。
確かにシャクは強いけど、1対1で向かいあったなら、あたしはアイツに負けないと思う。
戦う事なんて有り得ないし、そうなるくらいなら全部を捨てて逃げる方法を考えるけど、万が一そうなればまず負けはしないだろう。
アイツの一番の『強さ』はそんな力の強さじゃないのだから。
それをあたしは知っている。
でもその強さは、将軍と相対するのには向かないと思う。
黒鉄と関西軍の争いのように、軍と軍の対戦なら話は別だ。その時はシャクの『強さ』こそが必要不可欠で、それがあったからこそ黒鉄は今まで戦ってこれた。
でも、今の状況で必要なのは、スズカのような純粋な強さだ。そして紅のような単なる強さだと思う。
だからこそ、ここでシャクを失う事だけは絶対に避けなければならない。
アイツの強さは、あたしやスズカが持ち得ないモノだから。
そして、黒鉄にもこの国にも……そしてあたしやスズカにも、アイツは絶対に必要な存在だから。
しかし、そう考えを纏めると別の問題が出てくる。この辺り一帯を放火しようにも、かつてこの辺の都市の中心であったカエサルは、建物は全てコンクリート作りであり、道路ですらアスファルトな事である。
……つまり簡単に火が着かない。
さて、どうしたモノかと悩みはループする。
足留めだけを果たすなら話は簡単だ。適当に都市を警備しているヤツらと遊んでいればいい。
そこらで問題を起こしまくればいいだけだ。
しかし、そんな事をしていれば言わずもがな……シャクのヤツは先に将軍の元へたどり着いてしまう。
すでにカエサルの中心近く、デカい城が彼方に見える場所まで来ておいて、いまさら悩む自分がホント腹立たしい。
「あぁ〜、もうっ!!面倒っくさい!このまま突っ込んで、城に火を着けてやる!」
どうせもうシャクは動き出している。後戻りは出来ない。
『紅』出来る事は炎を操る事だけだ。
せめて──そう、せめてシャクと決めた役割を果たす為に、派手に暴れながら城を目指す事にしよう。そう短絡的に決めると、前方から近づいてきた身なりの良さげな男達に近づいていく。
この街で身なりのいい人間という事は、ヴァンプ側……つまり搾取する側だろうと判断したのだ。
懐が僅かに膨らんでいる辺りからして、銃を帯びているのだろう。そこからしても、相手が堅気な人間だとは思えないしね。
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど」
「なんやねん?てかあんた、この街では見かけんツラやな?ウチは入り口で検問とかしてへんけど、あんたみたいなんがこの街におらんのは知っとるで」
あら、関西弁。
……すっごく嫌いなタイプの話し方。
オリヒメのムカつく喋りを、そのまま下品にした感じからして初対面の印象はマイナスだ。
しかもやたらジロジロ見てくる辺りがムカつく。
ヴァンプってだけで死ぬほど……というより、ぶっ殺したいほど大っ嫌いなのに、それをさらにマイナス修正してくれる。
「あんさんみたいな赤い髪のヤツはウチにはおらんで」
「戦都の方にはおったよな?あれ?あれは男やったんちゃうかったっけ?」
2人とも関西弁か。
そういや、ここは関西。あたしの地元じゃないんだった。
黒鉄はみんな……若干一名の陰険と一名の暴れん坊を除いて、関西弁を話すヤツなんていないから、あたしもうっかりしていた。
この話し方を聞いているだけでなんでかムカムカしてくる。
……完璧陰険オリヒメへの印象のせいだけど。
暴れん坊の方であるヨツバは、いい印象も悪い印象もないけど、オリヒメの印象はかなり悪い。
顔を合わせれば、辺りを巻き込んで喧嘩ばかりしているのだ。関西弁にいい印象を持つワケもない。
「あんた達、この街の関西軍の人だよね?」
「あんたほんまにウチのヤツちゃうんやな?このタグ見えんのか?これがカエサル所属の証やねん」
えらく親切に……にやけた笑みを浮かべながら、首から下げたタグを見せつけてくる男達に、あたしは肩をすくめてみせる。
ここまで警戒心が薄いヤツらを前にしたら、肩をすくめるくらいは仕方ないだろう。
そのにやけた顔からして、何か変な期待でもしているのだろうか?
……ほんっと下らない。
「じゃああんた達でいいや。今からあたしとちょっと遊ぼっか?」
「あんたも統括軍に近づきたいクチかい。なんならクチ聞いたってもええで?俺らは近衛軍にも少し顔利くしな」
「まぁお互いよく知らんとクチなんか聞けんし、ちょっとどっかいこや」
そう言って肩に手を置いてくる男の内1人に、にっこりと笑顔を向けてやる。
その内で煮えたぎっている嫌悪感を、出来るだけ抑えながら。
「──どっこも行く必要なんかないわよ。あたしと遊ぶつもりなら、その遊びは『火遊び』の一択しかないんだから」
途端膨れ上がった攻撃意志の塊は、その密度と歪さを持ったまま、紅蓮の輝きとなって周囲に満ちる。
──ヴァンプ、ヴァンプヴァンプッ!!
脳が痺れるような、微かな痛みと共に、逆らいようがない快感が突き抜けるような……そんな感覚が背筋を駆け抜けるのが分かる。
最近はまだマシになった方だけど、『ヴァンプ』に対して力を使う時に内から溢れ出るこの感覚は、いまだにあたしの内にある。
甘い甘い感覚だ。
陶酔感にも似ている。
この感覚は、今でもあたしを狂わせそうになる。
この感覚──それは多分『憎悪』。
コイツらには遠慮する必要なんてない。コイツらは『私』の全てを奪ったんだから。だったら『あたし』がコイツらから全てを奪っても、文句を言われる筋合いなんてない。
そんな誘惑に心がたわむ。
その誘惑は危険で──
この誘惑が、今のあたしの大事なモノ全てを壊す事を知っていたから、なんとか自制出来るけど、しがらみさえなければあたしの感情は全てを焼き払うだろう。
視界に写る全てを灰燼に帰し、辺り一帯を煉獄に変える。
カクリが言うには、あたしの力は突然型の中でも特に感情に左右されやすいらしいから、この快感(憎悪)は最悪に危険だった。
今回はベタベタされた事により、二割増しだったからなおさら。
それをなんとか抑え、ニッコリと笑顔を向けてやる。
あたしの肩に手を置いたまま唖然としている男──ヴァンプへと。
「さて、遊ぼっか?ルールは単純な鬼ごっこ、あんた達は逃げるオンリー、オッケー?」
「こ、この街ン中は能力使うん禁止されとるんやで!?関西軍敵に回すつもりなんか!?」
敵に回す?
腰が引けた様子で、甲高い声を上げる男に、あたしは見せつけるように唇を歪めてみせた。
──何を今更寝ぼけた事を。敵に回すも何も……
「……最初っから最後まで敵だっての!」
轟──
両手からほとばしる劫火は男達を掠め、背後の街路樹を炭へと変える。
文字通り真っ黒なオブジェと化したそれを見やり、指を軽く弾いて鳴らした。
その指先には新たな赤。紅の華が宿る。
「逃げるのはあっちよ。あのバカデカい城の方向を目指しなさい。少しでも道をそれたら、容赦なく焦がすからね」
──あたしは真っ直ぐに城に向かう、その間にシャクは迂回して入り込む。
もちろんあたしは足留めを食らうだろう、強力な変種も出てくるハズだ。
でもあたしが真っ直ぐ城に向かっている以上、敵にも目的地が分かるだろう。
それが分かる以上、城内に入り込んだ後は、シャクが警戒網に引っかかると思う。
結果はイーブン……いや、適当に引っ掻き回した後、辺り一帯に火を放つだけ放って、そのどさくさに紛れれば、城内で足留めを食らっているシャクよりも早くに将軍の元へ行ける可能性はある。
……まぁ、所詮は捕らぬ狸の皮算用な気もするけど。
「近衛軍呼んでこいや。コイツは敵や!敵のネオや!」
──ネオって……
「呼ぶなっつーの!」
色々と考え込んでいながらも、遊び相手の言葉──ネオって発言に思わず反応して、火球を飛ばす。
直撃コース、炭化まっしぐら、黒焦げ危機一発。
……あっ、当てちゃった、と思う間もなく──
その火球は掻き消された。
見た事のある力の発露──何度も黒鉄内では対戦した事がある『氷』の力によって。
「……女、お前黒鉄か?」
しかし、そんな声と共に現れたのは、当然あの陰険オリヒメなワケもなく、見た事のない若い男。
くすぶるような濁った銀髪と、ひょろっとした長身に纏っているのは、気だるそうな雰囲気。
溌剌と陰険オーラを放っているオリヒメとは違い、陰気そのものの男だった。
ただ、その瞳だけは剣呑な光を秘めていて──
「はん!」
あたしは問いに答える事なく、大きく肩をすくめてみせた。
その問いになんの意味があるのか分からなくて。
ここに敵として来ている以上、黒鉄だろうが北陸軍だろうが関係ないハズだと思えて。
「黒鉄か?」
だが、それでも男は重ねて繰り返す。
その問いには、大きな意味があると言わんばかりに。
「……だったら?あたしが黒鉄だとしたら、将軍さんのトコに案内でもしてくれるのかしら?」
皮肉げに……というより、皮肉たっぷりに男に返し、その手に新たな紅を灯す。
先ほど氷の力に相殺されたモノよりも、格段に力を込め、一段と感情を込めた炎を。
あの氷の力が、この男のモノなのかは分からない。
そして、あの力がオリヒメと全く同種の氷の力を操るモノなのかも分からない。
この力の持ち主が、オリヒメ級の変種なら勝つのは楽じゃない。そしてオリヒメ以上なら、勝つのは厳しいと言わざるを得ない。
……突破くらいは出来るだろうけどさ。
だが、そんなあたしを意にも介さず、気だるげな雰囲気のままで、男はコクリと頷くと言葉を続けた。
そう、あたしを唖然とさせた冒頭の言葉を。
「付いてこい。将軍閣下の元へ連れて行ってやる」
人物紹介・アカツキ1
関西事変と呼ばれる一部の変種達による革命に際し、革命軍……現関西統合軍に合流しなかった変種達と、変種達を人として受け入れるようとする若い既存種達による集団のリーダー。
関西では数少ない純正型で、その金色の髪と瞳から『アカツキ』と呼ばれるようになった。
斜に構えたようなスタイルを貫きながらも、冷静に情勢を見極める事に長けており、革命軍と自衛隊の戦いが始まる前から集団の勢力をまとめ、神杜市に拠点を作っていた。
革命に成功し、関西統合軍と名を改めた革命軍に対し、拠点と勢力をまとめて抵抗する姿勢を保てたのは、アカツキの人望とその能力、『ラストノート』によるモノ。
ただしこのラストノートは、アカツキの能力の一旦でしかなく、本質的な能力についてはあまり知られていない。
シャクナゲを黒鉄に引き入れた張本人であり、黒鉄の元を作った人物である。
また、関西統合軍の将軍とは浅からぬ因縁があった。
スキル
能力・SS(その能力は戦いに向いたモノではなかったが、汎用性に富む強大な効果が期待できるだけのモノ)
身体能力・D(身体能力は変種の中でも下位)
カリスマ・S(人望や人心を掌握する能力は黒鉄随一で、アカツキ健在の時には、関西統合軍のトップたる将軍や、他地方軍からも勧誘の密書が届いていたほど)
先見性・SS(ラストノートの力と、それを有効活用出来るだけの知識によるモノ。シャクナゲとカブトという、黒鉄の礎となる人物を引き入れたのは、彼の先見の明を証明している)
知識・S
秘密性・S(嘘はつかない。ただし真実は話も決してさないタイプ。つまらない事から色々と秘密が発覚する可能性を考え、どうでもいい事でもあまり公言はしない。思わせぶりな口調で、カクリやアオイをからかっていた)
ルックス・A(その瞳……虹彩が幾重にも重なった瞳により、他人から少し距離を取られていた)
ラストノートについて。
彼の能力、『預言書』の銘。
ただし、預言そのものが彼の能力なワケではなく、その能力の一旦が『ラストノート』。
一般にはこれがアカツキの能力だと知らせていた。
真実を知るのは、シャクナゲ、カブト、スズカと他数人のみ。
このノートには、彼自身の行動に関する未来のみが自動手記され、彼が噛んでいない未来には全く関与できない。
つまりシャクナゲやカブト、そして今後の黒鉄の未来などは記されない、欠陥預言書である。