第十一話 フューメルの甘美な時間
エルフの王女の騎士団長がなんだかヤバイことになります。
フューメルSide
翌日、皇宮の一階にある自室で目覚めた。
エルファール王国の王女である私は、侍女をつけられて贅沢な暮らしをしていた。
騎士団長としての仕事は面白いから不満はない。
エルフ族は若く見えるが、私も百十八歳である。
そろそろ婚約者を見つけなければならない歳であった。
「結婚なんてしたくないのに」
エルフ族は長命で一千年以上を生きるが、家族という概念があまりなかった。
享楽的で面白いことに夢中になるが、家を守るというマインドがあまりないのだ。
エルファール王国が領土を拡大せずにいて、グレゴール帝国の属国になったのはそういうことが関係している。
お付きのメイドが部屋に入ってきて手紙を渡してきた。
バプテスタ皇太子の紋章が押してある。
開けて読んでみるとお茶会への招待だった。
バプテスタ皇太子とは個人的に親しくしているわけではなかった。
式典やパーティーで少し話をすることがあるくらいだった。
何を考えているのかわからない、陰気な目をした人物という印象だ。
彼が私を見る目には美しいものに対する、崇拝の念がこもっているように感じた。
悪くない気分なのでバプテスタ皇太子を嫌っているということはない。
お茶会に参加することにした。
侍女に手伝ってもらってドレスに着替える。
クリームイエローの爽やかなプリンセスドレスだ。
高貴で美しいエルフ族の私はどんなドレスでも似合ったが、普段から美しさを保つための努力をしているからだ。
騎士団で汗臭い訓練をするだけではないのである。
訓練が終わった後は自室に戻ってから、侍女たちに身体のお手入れをさせていた。
リンパマッサージをしてから、柑橘系の香油を塗り込んで念入りにマッサージする。
ヨーガのポーズで瞑想しながら関節を柔らかくしていった。
透けるような金髪のお手入れも欠かさなかった。
くしけずりながら高価な精霊の水で潤していく。
顔はエルフ族の秘伝の化粧水と乳液でお手入れしていたので、もっちりもちもち肌である。
エルフ族は元々、首から下の体毛が薄いのだが、脱毛効果のあるローションで首から下をツルンツルンにしていた。
お肌はぷにぷにとして、透明感のある艶肌なのである。
王女として恥ずかしくない完璧なボディに仕上がっていた。
鏡を見ながら溜息をついた。
「私って美しい?」
「大変美しゅうございます」
「大陸で一番美しい淑女でございます」
侍女たちがニコニコとして褒めそやしてくる。
私はいい気分だった。
毎日楽しいわ。
お茶会に出席するための支度が済んで待っていると、バプテスタ皇太子の側近のデボラ魔道士が迎えに来た。
デボラ魔道士は女性でありながら、賢者学園を主席で卒業した才女である。
才色兼備で事務能力や戦闘能力が高いので皇太子の側近として護衛も兼ねているのである。
黒紫の髪を揺らしながらデボラ様が微笑みかけてきた。
「バプテスタ様はフューメル様とのお茶会をとても楽しみにしてますわ」
「光栄ですね。私も楽しみですわ」
部屋を出てデボラの後について歩く。
お茶会をする部屋は皇宮の三階にあった。
皇族方がよく利用するエリアだった。
「それではお部屋の中でお待ち下さい」
到着して中に案内される。
テーブルの上にはお茶菓子が用意されていた。
デボラが紅茶を淹れてくれる。
「デボラ様は魔道士なのにお茶も淹れられるんですね」
「デボラと呼び捨てにしてください」
彼女はうっとりと笑った。
「バプテスタ様のお側についていますから、お茶の淹れ方も覚えましたわ」
私も微笑み返した。
「では、私もフューメルと呼び捨てにしてください」
デボラと他愛のない話をしながら打ち解けていった。
楽しい時間を過ごしている。
「遅れてすまない、仕事が立て込んでいたんだ」
バプテスタ皇太子が部屋に入ってきた。
彼はブルーグレーの髪色で碧い瞳をしていた。
今年で二十六歳になるはずだがまだ婚約者がいなかった。
かなりイケメンで身分の高さもあってモテそうなのだが、何か事情があるのだろうか。
「いつ見てもフューメル嬢は美しいね」
「ありがとうございます、皇太子殿下もご健勝で何よりですわ」
「堅苦しい呼び方はしないでくれ。君と友達になりたいんだ。バプテスタと呼んでくれ」
私はデボラの淹れてくれたアールグレイをおかわりしていた。
楽しい気分で飲むお茶は美味しいわ。
でも、なんだか頭の中がふわふわして眼の前がぼやけてきたような。
デボラとバプテスタ様が目を合わせてニヤリと笑った気がした。
彼が席を立って私の隣に座り直した。
肩に手を回して抱き寄せてくる。
何故か抵抗できなかった。
頭の中がふわふわして考えがまとまらない。
「フューメルは部下の騎士たちに人望があるね」
「……はい、お陰様で部下たちからは慕われております」
「でも、太ももを触らせたりするのはやりすぎじゃないかな?」
彼はそう言いながらスカートの上から太ももをなでてきた。
「あ……おやめください、バプテスタ様」
私は身動ぎして抵抗する。
「どうして? 部下には触らせるのに」
「そういうことは、恋人にするものですわ」
「なら、フューメルが俺の恋人になればいい」
「そ、それは……お戯れが過ぎますわ」
「戯れでこんなことはしないよ」
彼はアールグレイのカップに懐から出した水薬を数滴垂らした。
「さぁ、飲んで」
カップを口元に突きつけられると、ゴクゴクっと飲み干してしまった。
ますます頭の中が朦朧としてくる。
「これだけ薬を飲ませれば、魔法耐性の高いエルフでもメロメロになるだろうね」
「フューメルはもうバプテスタ様の言いなりですわ」
バプテスタ様とデボラが笑う。
「フューメル、隣の部屋に行こう。色々と君を歓迎する準備をしているんだよ」
バプテスタ様に促されて隣の部屋に移動した。
隣の部屋は異常だった。
天井からは縄の付いた滑車が垂れ下がっている。
手枷と足かせの付いたベッドが置かれていて、壁には鞭や女を責める異様な道具がところ狭しと飾られていた。
「こ、これは……」
ぼやけた頭で私はたじろいだ。
「フューメルのために用意した部屋だよ。さぁ、ドレスを脱いで裸になって」
朦朧とした頭では逆らうことが思い浮かばずに、デボラに手伝ってもらいながらドレスを脱いだ。
コルセットと下着も脱いで全裸になる。
バプテスタ様は女神を崇拝する信者のように、愛慕の目で私の身体を見てくる。
恥ずかしかったが、抵抗する気力が全く湧いてこなかった。
「先に奴隷紋と淫紋を入れる秘術を行おう」
彼が告げるとデボラが私の手を麻縄で縛って、天井から垂れ下がった滑車に結びつけた。
滑車がカラカラと巻き上げられて、私はつま先立ちになって吊るされた。
デボラが紫に輝く魔石を左手に持って呪文を紡いでいく。
見たこともない魔法陣が広がった。
私の下腹部の子宮の上辺りに右手をかざす。
魔法陣から魔力が注ぎ込まれて淫紋が浮かび上がった。
次に胸の上に右手をかざして魔力が注ぎ込まれた。
心臓の上の皮膚に奴隷紋が刻印される。
「これで、フューメルは俺の性奴隷になった。お前はもう俺の所有物だ」
「良かったわね、フューメル。これから毎日ご主人さまに可愛がってもらえるわ」
デボラは私の右足を別の滑車にくくりつけて、吊り上げていった。
強制的にY字開脚させられた。
私の身体は鍛えていて柔らかいのだが、それを限界まで広げられた。
すごい屈辱だが、薬の影響と淫紋と奴隷紋の効果で逆らう気力はなかった。
「憧れのフューメルがとうとう手に入った。これから毎日可愛がって上げるからね」
バプテスタ様が少年のようにキラキラとした瞳で喜んでいる。
デボラも満足したように頷いていた。
それからは、その調教部屋に監禁されて苦痛と快感を交互に与える甘美な拷問を受けていた。
甘美な拷問を受け続けて、三ヶ月が過ぎる頃にはすべてを諦めてバプテスタ様の性奴隷として生きることを受け入れていた。
そして、一年が過ぎる頃には、誇り高いエルフ族のプリンセスであった私は、身も心も全てバプテスタ様に捧げていた。
性奴隷として玩具にされる生活は突然終わりを告げた。
バプテスタ様の直属の工作員として隣国のハイマルク王国に潜入する任務を与えられたのだ。
「グレゴール帝国とハイマルク王国は戦争をしているからね。実力があって一番信用できるフューメルを送り込むことにするよ」
ハイマルク王国に潜入して冒険者になり、情報を集めたり、工作活動をするのが任務だという。
一年間、甘美な拷問を受けて被虐的な喜びに目覚めた私は、普通の人から見たら変態だろう。
目立たないように工作活動が出来るのか不安だが、ご主人さまのバプテスタ様から命令されればやるしかないのだ。
私はなるべく目立たないように地味な革鎧を着てハイマルク王国に旅立っていった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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