第98話 プラスくんとマイナスくん
プラスくんとマイナスくんはとっても仲良し。けれど、マイナスくんには許せないことがあった。それはプラスくんがマイナスくんよりゼロくんと仲良くしていたこと。誰もがプラスくんの相方といえばゼロくんだと言った。プラスくんとお似合いなのはゼロくんだと言った。
マイナスくんは許せなかった。だからゼロくんのことを抹殺しようと刺客たちを雇ったのだった。ゼロくんに恨みをもつものはいっぱいいたから、たくさんの刺客が集まった。
決行の日。ゼロくんを待ち伏せる為、一足先にマイナスくんは集合場所に到着した。刺客たちを待っていると、思わぬ闖入者が現れた。それはプラスくんであった。
プラスくんは必死になってマイナスくんを諭して、止めさせようと奮起した。けれどマイナスくんの決心は固く、決してプラスくんの懇願を聞き入れようとはしなかった。やがて説得は力づくになって、ふたりは揉み合い、ごちんと頭をぶつけてしまった。するとなんと、その拍子にふたりはぴったり一つになってしまったのだった。
刺客たちがどやどやとやって来て、驚いた。なんと集合場所に既にゼロくんがいるではないか。みんなは寄ってたかってゼロくんを痛めつけ、その命を奪ってしまった。
事の顛末を遠くから見ていた虚数は、遥か高い空まで響きそうな大声で哄笑し続けるのだった。




