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魔王襲撃3

あっという間に戦闘は終了した。

これがゲームであれば、勝利のBGMでも流れて経験値とドロップアイテムが落ちてくるものだが、そういった類のモノは確認されていない。

念の為ガルムのレベルなどを確認したが、経験値そのものは加算されているようだ。

数値上だと+150Exp入手と記載されているので、先程三体の牛歩を破壊した分が彼に入っていると見ていいだろう。


「……これで終わったのか?」

「そうだよ魔王様!これであのロボットたちも息の根を止める事が出来たよ!今回も大勝利だ!」

「それに、ガルム様は強い。我々が出る幕もないほどに一気にロボット達を片付けた!」

「流石ガルム様だ!」

「こうしてみると、ガルム様の剣使いは見事ですね!」

「まさに、一騎当千ともいえる活躍ぶりですな!援護なしで落とし穴に落ちなかったロボット達を一気に倒してしまうのですから!」


ノアは自分達の大将であるガルムが勝利したことを喜んでいるようだ。

この場が戦闘系魔族のいる場所ということもあるが、ガルムが直々に戦闘に参加することは稀らしく、獣人達は喜んで歓声をあげており、称賛と歓喜に満ち溢れた声が部屋中に反響している。


確かに、ここからでもガルムの活躍は見えていたが、かなり早い。

ロボットも前面に取り付けている大型のレンズを使ってガルムを追っていたが、それ以上に素早い動きによってあっという間にロボットの胴体や関節が吹き飛んでしまった。

レベル90と表記されているだけに、かなり素早く行動できるのだろう。

ホントに速い。


(やはりガルムは強いな……やはり彼を敵に回せば、俺もあのようなロボットみたいになるだろうな……)


一瞬で三体を一気に仕留めてしまうのだから、やはり防衛隊司令官を務めているだけあって、その実力をこうして目の当たりにする事が出来ただけでも大の字だ。

彼を怒らせて対立を100にした暁にはどうなるか……。

容赦なく今見たように首や手足を跳ね飛ばされるだろう。

考えたら背筋がゾクッとする。


「それで、あのロボット達はどうする?このまま放置するわけにもいかないのだろう?」


ガルムの大剣によって破壊されたロボットと、落とし穴に落ちて泥と水を被って水没したロボットを指さすと、シルヴィアさんが破壊したロボットの後処理について説明してくれた。


「ロボットは食べられる部位がないので、基本は全部溶かして鉄屑を再利用するぐらいしか価値が無いのです。民間用ロボットで使われている部品と互換性が無いので、部品取りにもできませんし……」

「えっ……そうなのですか?」

「やろうと思えば部品を装着することは可能ですが、装着した瞬間にロボットの頭から火と煙が噴き出て壊れてしまうのです。軍用ロボットで使われている部品には民間用ロボットを殺す()()のようなものが付与されているのではないかと言われております」

「そうそう、だから民間用ロボットには取り付けできないし、呪いを解除する方法も分からないってアヤちゃんも言っていたしね……」

「呪いですか……」


……アヤちゃんって誰だと聞きたくなった事は一先ず話から外しておこう。

軍用ロボットの部品を民間用ロボットに取り付けると壊れる……。

これは恐らくだが、部品の再利用が出来ないように転用防止措置として自己破壊プログラムでも仕込まれているのだろう。

軍用部品を民間用ロボットに装着すると、違反を探知してロボットの基礎であるCPU回路などを意図的に破壊して、使い物にならないようにするようにしていると見て間違いないだろう。


(思っていた以上にロボット側のセキュリティはしっかりしているみたいだな。部品取り用として使ってみたいとは思ったけど、これだと分解している途中で自己破壊するだろうし、ステータス画面を見ながら作業して解除できればいいんだけどね……)


こうして見ると、ロボットを近くで見てみたい。

もしかしたら何か分かるかもしれないからだ。

シルヴィアさんに尋ねてみよう。


「シルヴィアさん、あのロボットを近くで見たいけど、見に行ってもいいかな?」

「ええ、いいですよ」

「せっかくだからアタシも付いていくよ。魔王様も興味を持ってくれたことだしな!」


シルヴィアさんとノアと一緒に階段を下りて、破壊したロボットを見に行く。

これで戦闘は終わり、見張り員を除いて各自が自分達の持ち場に戻っていく中で、ロボットを取り囲むように魔族たちが集まっている。


支援系魔族、戦闘系魔族たちによって軍用ロボットによる「襲撃」は無事解決した。

こちら側から犠牲者を一人も出さずにロボットを撃退したので無事と言ってもいいだろう。

種族間での関係が悪化しているとはいえ、再興郷の襲撃の際には双方ともに協力する体制は整えられているようだ。


しかし、戦闘が終わった後には互いに悪口までではないが、支援系魔族のエルフと戦闘系魔族の獣人が欠点を言い争っている場面が繰り広げられていた。


「おいおい、勝ったからいいけど、もう少し敵を引き付けてから攻撃してもらわないと……」

「あ?別にいいだろ?ガルム様が直々に倒したんだぞ?」

「そうじゃなくて、もっと引き付けてから一気に敵を落とし穴に落としたほうが効率がいいと言っているんだ。でなきゃ、危険だって増すだろ?」

「お前……ガルム様の事を侮辱する気か?」

「だからそうじゃない。もっと支援系魔族の援護を受けやすくしたほうがいいと言っているんだ。君たちが突進しすぎると援護できないんだ」

「つまり、そうでもしないとエルフを含めた支援系魔族の出番が無いというわけか。その分弱いという事だろう?」

「……なんだと?」


マズい。

戦闘系魔族の獣人が平然と言い放った「弱い」という言葉にエルフの青年が反応して、一気に張り詰めた空気が漂っている。

ここはこの空気を打開しないといけない。

俺は直ぐに間に入り込む形で、会話に割り込んだのだ。

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