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魔王襲撃1

サイレン音が響き渡る。

魔王城だけでなく、再興郷全域に聞こえるような大きな音だ。

人工的な音で、防災訓練でも聞いたことがあるようなけたたましい音が響き渡った。


「襲撃!襲撃だ!」

「戦闘系魔族は直ぐに戦闘準備態勢に移行!もたもたするな!」

「支援系魔族も戦闘系魔族の援護に向かえ!非戦闘員は持ち場で待機、外に出るんじゃないぞ!」

「ここ最近襲撃が多くなってきたな……」

「グズグズするな、早く指定された持ち場で待機、戦闘に備えるんだ」


部屋の外では多くの者達が駆け足で廊下を走っている音が聞こえてくる。

まるで運動会の競争をしているぐらいに、慌ただしく足音が飛び交っている。

サイレン音を聞いたのか、先ほどまで席を外していたシルヴィアさんが部屋に飛び込んでくるように駆けつけてくれたのだ。


「コータ様!襲撃が発生しました!軍用ロボット集団がこちらに向かってきます!」

「ガルムと話した矢先にこれか……数はどのくらいいますか?」

「数は6体……形状は全て同じものです!時折襲撃してくるロボットです。すぐに対ロボット用の兵士達が対応いたします。そう時間は掛からないでしょう」


シルヴィアさん曰く、慣れた兵士であれば軍用ロボットを直ぐに片づけるとのこと。

ただ、それもさっきガルムと話した暴徒鎮圧用ないし偵察用に開発されたロボットであり、戦闘能力も低めのやつだ。

本当に恐ろしいのは『戦闘能力に特化したロボット』が襲撃してきた際に、どう対応できるかだ。


今の様子だと、ガルムの話でも出ていたロボットだろう。

どのようにして倒していくのか、話には聞いているが念の為、魔族たちの戦っている姿を見たいので、シルヴィアさんにお願いして戦っている場所を眺める場所がないか尋ねた。


「その対応する様子を見れる場所は何処にありますか?戦っている光景を一度見てみたいのですが……」

「それでしたら部屋を出てから左側にある階段を上っていくと地上の様子を眺める事が出来る部屋がありますので、そちらに移動しましょう」

「ありがとう」


戦っている光景を見てみたい。

そんな要望をシルヴィアさんはあっさりと承諾してくれた。

危険だから部屋に避難していろと言わない辺り、やはり戦うことについてしっかりと知る事が重要のようだ。

階段を上り『3F』と書かれた部屋にたどり着くと、コンクリートで固められた部屋には、既に戦闘系魔族の人達が窓の外に向けて大型のクロスボウを構えて待機していた。


「爆裂系の魔法の準備は整っているのかしら?」

「支援系魔族の部隊が後方より魔法で援護するとのことです姐さん。今現在は物陰に隠れて準備を行っております」

「こっちもグズグズしていられないね。ガルム様直々に出撃するんだ。こっちもみっともないような行動はせずに、しっかりとやるよ!」

「「「おう!!!」」」


威勢のいい掛け声と共に、虎の顔と人間の身体を融合させたような獣人達が如何にも重そうなクロスボウを構えていた。

全員が筋肉質でムキムキな身体つきだ。

そして俺とシルヴィアさんが部屋に入ってくると面を食らったような様子でこちらを見ている。

その中から、この場所を仕切っている女性と思わしき人が出てきて声を掛けてきたのだ。


「おや、魔王様じゃないか……シルヴィア、どうしてここに?」

「魔王様が戦闘の様子を見学したいと仰っておられましたので、外の様子が良く見えるこちらの部屋を案内致しました」

「成程ね……それと魔王様、初めましてだね。アタシはノアって言うんだ。ここのクロスボウ部隊の隊長をガルム様から任されている。よろしくな!魔王様!」


女性は名前をノアと名乗った。

かなり元気のいい女性であり、笑顔で右手を差し出してきた。

握手をしてきたので、こちらも彼女に合わせて握手を交わす。


「はじめましてノア。かなり重そうなクロスボウだけど、これでロボットを仕留めるのかい?」

「いや、これはあくまでも牽制用さ。大半の原生動物であればこのクロスボウで一撃で仕留められるのと違って、ロボットは固いからね……矢が殆ど通らないのさ」

「つまり、ロボットの注意を引き付けることに活用しているって事だね?」

「その通り。運よく足の関節とか薄い部分に直撃すれば折れることはあるけど、基本的にこれは注意をそらす為に使うものさ。魔王様、あとでクロスボウを持ってみるか?」

「ええ、時間があればお願いするよ」

「アタシ達の戦いっぷりを見学しようって事ね。邪魔さえしなければ問題ないよ。それに、今からガルム様直々に剣を振るってくださる。魔王様もしっかり見ていな!」


これからガルムをはじめとした戦闘系魔族による軍用ロボット狩りが始まるらしい。

窓の外を覗いてみると、朽ち果てたコンクリートを補強するように木や鉄くずなどが壁に埋め込まれており、その壁に沿って戦闘系魔族たちが剣を握ってロボットを待ち構えている。


遠くには草木が生い茂った道路に沿って足の生えた箱状の黒いロボットが6体並んでおり、さらにその向こう側には、建物の瓦礫や破壊されて内部がむき出しになったビル群や、傾いたりしている高層ビル群が乱立するように一際目立つような形で遠くからでも視認できる。

文明が終焉を迎えて崩壊し、アポカリプス……終末を迎えた光景が広がっていた。

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