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第758話 風の男(2)戦い方と技の優劣


「ハン・ドゥーケン!!!」

「そにぶー!!」


 ハン・ドゥーケンさんが生み出した圧縮された風の弾、そして僕の腕の振りによって生み出された圧縮された風の渦…。それが音を立てて真正面からぶつかり合う。それを見て周囲から声が上がった。


「ど、どっちが…」


「威力あるんだッ!!?」


 ぱぁんっ!!!


 大きな破裂音がして互いの空気の弾と渦が消滅した。


「「互角だッ!!」」


 互いに気合いを込めて放った飛び道具が消滅した様子を見て周囲がワッと沸いた。僕が放った空気の渦は地球で待ち軍人と異名される某少佐の必殺技だ。高速で両腕を交差する事で生まれる空気の摩擦がさながら敵を刈りとる鎌のように飛んでいく。そしてなにより使い勝手が良い、空気の渦を放ってしまえばまたすぐに次の動作に入れる。そう、また体重を後ろに傾ける事で溜めを作り次弾をすぐに準備出来る。


「すごいな、あの少佐。この戦法、まるでスキがない。自分が戦う事になったから分かる、常に相手に対してせんが取れるのがこんなに有利だなんて」


 僕は思わず呟いていた。スキの少ない遠距離攻撃はこうして実際に使ってみると非常に性能が高い事がよく分かる。戦闘に関して素人の僕だけど放った後にすぐに次の行動の準備が出来るのはありがたい、戦い慣れているハン・リューケンさんは次の事を考えながら動けるだろうけどこちらは素人。そううまくは出来ないからね。


「それにしても…」


 僕の放った飛び道具は風の力そのものだ。とはいえこれはあくまで風精霊ゼピュロスのキリの力の借り物に過ぎない。一方のハン・ドゥーケンさんの風の弾は鍛え上げた己の心身に風の力を宿して放った奥義だ。ハン・ドゥーケンさんの鍛え上げた心身と磨き抜かれた技、それが純粋な風の力だけど鍛えていない僕との差なんだろう。


「むむっ!もう一度ッ、ハン・ドゥーケン!!!」


「そにぶー!!」


 再び僕らは互いの風の技を打ち合う、そしてそれを打ち消し合う。そんな技の応酬が数回続いた、互いに前に踏み出しながら技を放っているからいつの間にか互いの手の先すぐに相手がいる間合いになっていた。


「これでどうだ!ハン・ドゥーケン!!」


「そにぶー!!」


 ぱぁんっ!!!


 互いの飛び道具がぶつかり合い相殺された。風の弾と風の渦、威力はやはり互角で目の前で消滅していく。互いに技を放ち終えた姿勢のまま向かい合う、その瞬間にピンときた。


「互角じゃないッ…、キリ!僕に力を!」


「ずっとやってるわよ!」


 その言葉を聞いて僕は行動に移った。互いに飛び道具を放ち終えたこのタイミング、ここにスキがあると感じた。再び風の渦を放つ。


「そにぶー!!」


「ハン・ドゥーケン!!!」


 飛び道具を放ち合う、前髪を揺らす風を残して飛び道具は消滅した。互いの間合いはまた半歩ほど接近、ここで僕は飛び道具以外の行動に出る。上から見たら前に出している左足を軸にしてくるりと時計回り、右拳に体重を乗せて裏拳を放つ。キリの風の力を宿してのスピニングバックナックル、腕の長さだけでなく僕の体全体を使って放つ裏拳だ。


「フンッ!」


「ぐっ!!」


 風の弾を撃ち出した腕を引こうとしていたハン・ドゥーケンさんの右手…その小指のあたりに僕の裏拳が当たった、ゴリッとした妙な感触が伝わってくる。何かが折れたような、あるいは砕けたような感触…。そして意外な事に手に当たっただけの攻撃なのにハン・ドゥーケンさんの上体はのけぞり後ろにき吹っ飛んでいる。おそらくはキリの風の力を宿した攻撃だから吹き飛ばされたのだろう。


「技の後のスキですな、互いの技の威力は確かに互角。しかし、その後が違った…。技の後に自分の方が先に動ける事に気づいたゲンタさんは接近した状態から飛び道具の撃ち合いに持ち込みそのスキをついた…」


 なにやらヒョイさんが解説するように呟いている。たしかにその通り、これはとある有名な格闘ゲームでよくある立ち回りのひとつ。自分が先に動けるアドバンテージん活かし近距離の飛び道具の撃ち合いから相手がまだ動けないところに追撃をする定番戦法だ。


 距離が離れたので僕は再びしゃがみ体重を後ろに預けた、追撃の飛び道具の準備を始める。だが、吹っ飛んだハンさんは空中で体勢を建て直す。


「か、風よっ!」


 ハンさんの呼びかけに応じてか一陣の強い風が吹く、僕にとっては向かい風。それはすなわちハン・ドゥーケンさんにとっては追い風になる。


 ぐるぐるっ!!


 きりもみ回転をしながら吹っ飛んでいたハンさんが追い風に乗って今度はこちらに急接近、そのまま足を伸ばし旋風脚とばかりに飛び込んでくる!


「出来れば直接手足を使いたくなかったが、すまないッ!」


 なるほど、ハンさんは手加減してくれていたのか。だが、こちらにも秘策はある。


「キリ、あれだよ」


「分かってるわ!上ね!」


 ダンッ!


 僕は強く地面を踏み込んで真上に跳んだ。同時に上体を真後ろにそらしながら下に向ける、自然と下半身…足が上になっていく。ここで出すのはもちろんアレだ、気合いの声を上げる。


「さまそぉー!!」






 次はいよいよ決着。


 次回『切り札』


 お楽しみに。

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― 新着の感想 ―
何の呪文?と思ったらあの人の技だったんですね(笑) キリが物凄い勢いでヒロインの座に居座ってる件について(笑)
2026/02/16 18:59 ロックマン
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