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第756話 着替えて戦う?


 


「頼む、おれの相手をしてくれ」


「アーッ!!」


 というような会話をしたその日の午後、僕は日本に戻りカグヤと共に古着リサイクルショップにやってきていた。コロナ禍という事もあり店内に客は僕たち以外にはおらず貸切状態だ。なぜここに来たかというと…。


「なるほど…、相手というのは対戦の事だったんですね」


 僕は胸を撫で下ろしながらハン・リューケンさんとの話をした。相手といっても彼が言うのは空手などでいうところの組手のようなものらしい。それというのもハンさんは格闘家の存在なんだそうだ。本来の目的は別にあるそうだが風精霊ゼピュロスのキリが風を圧縮した力でならず者を打ち倒したのが自分の技と似ているから是非とも対戦し経験を積みたいとの事。


「い、いや、しかしですね、僕には戦いの経験が…」


 僕がそう返事しようとしたらなぜかもうひとつ僕の声が聞こえてきた。


「いいわ、その挑戦受ける!」


「えっ?」


 慌てて声のした方を見てみればそこにはキリがいた。


「ちょ、ちょっとキリ…」


「ふふんっ♪この風の力の奥義、とくと見せてあげるわっ!」


「おおっ、ありがたい」


 キリの姿が見えているのかいないのか、ハン・ドゥーケンさんはやる気満々だ。すぐにでも戦いたそうな素振りを見せている。さすがに何の戦いの経験もないので戸惑っていると今度はカグヤが心の中に話しかけてきた。


『大丈夫だよ、ゲンタ。私に考えがある。その代わりに戦うのは明日にして』


 よく分からないけどカグヤがそう言うならという事で僕は戦うのを翌日にするという約束をしたのだった。


……………。


………。


…。


 古着屋さんにやってきた。


「これとあれと…、ふふっ…」


 なにやらカグヤの機嫌が良い。


「ね、ねえ…。カグヤ?服、選んでるけどさ…サイズとか…」


「大丈夫だよ…。ゲンタの事、なんでも知ってるから…。体の事も…ね」


「え…」


 な、何したんだよぅ…、困惑する僕をよそにカグヤはさらに楽しそうに服を選ぶ。なんか見ているとその選んでいる服には統一感はなく、どう考えても普段の僕なら選ばないというようなものだ。


「気にしないで。多分、必要になると思うから」


 そうカグヤは言うのだが…、そうこうしている間にカグヤは服を選び終わり会計をして店を後にする。たくさん買ったけど一万円まではいっていない。なんというコストパフォーマンスだろうか。


「また沢山仕入れてミーンで売ろうかな…」


 そんな事を呟いていると隣りで腕を組んで歩くカグヤが話しかけてくる。


「ねえ、帰ったらさ…」


「え?」


「一緒に動画見ようよ」


 カグヤは最近、動画を見る事がある。


「きっと明日の役に立つよ、ふふっ…」


 そう言って彼女は静かに微笑みかけるのだった。




 ひょんな事からカプエストツ山岳院の修行者ハン・ドゥーケンと戦うゲンタ。ゲンタはいかにして戦うのか…?


 次回、異世界産物記。


 『風の男』


 お楽しみに。

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