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第612話 エピローグ的な何か 〜 カグヤさんは上書きする 〜


「こりゃあサクヤの加護が宿ったようじゃのう」


 オリハルコンの小剣を見てソルさんが言った。


「サクヤの加護が…」


 無言の訴えをしていたカグヤに応じようかと思っていた矢先、好奇心からか刀身を指先でツンツンしてしまったサクヤ。どうやらそれで加護を与えてしまったらしい。ちなみに一度与えた加護は変更出来ないようでどうやらこの剣は今後『光の小剣』と呼ぶ事になりそうだ。


 ちなみに切れ味なんだけどこれがなんとも特徴的、それというのも…。


「切れよ!!」


 スパッ!!


 声を発しながら試し切りをしてみるとなんと一振りで丸太を輪切りにしてしまった、凄まじい切れ味だ。だが、同時に切れるなと言いながら切りつけると傷ひとつ付かない。


「ふむう…、この切れ味…。ミスリルをはるかに凌駕しておるわい…。じゃが、真の名剣というのはただ切れれば良いという訳ではないのじゃな。使い手の意に従い切れるべき時に切れ、切れてはならぬ時には切れない…。またひとつ勉強になったわい…」


 僕にはよく分からないけどガントンさんはそんな事を言いながら納得しているようだ。ちなみにサクヤが与えた加護については後日検証する事となった。それから夜も更けてきたのでとりあえずこの場はお開きとなる、しかしガントンさんやファバローマさんにナジナさんを加えた酒好きの人たちは夜通し飲む事にしたようだ。


 一方、シルフィさんたち受付嬢チームや冒険者ギルドマスターであるグライトさんはは帰宅するようである。明日は通常通り仕事だからそれは当然といったところだろうか。そんな訳で僕やマオンさんはは帰宅組の皆さんを見送る事にした。ちなみにソルさんも帰宅組、こちらは精霊界という所らしく魔法みたいな力で一瞬にして帰る事が出来るとの事。そんな訳で見送りをする際の事なんだけど…。


「あれ?ゲンタさんとシルフィさん、見つめ合ってませんかぁ?」


「あ、そういえばそうだな。なんかあったのかい、姉御?」


 なんていうか…、どうにもシルフィさんを意識してしまう。明日の朝には会えると分かってはいても…。それはシルフィさんも同様なようで互いに言葉は無いんだけれど視線はそちらを向いてしまう。


「い、いえ…何も…。少し酔っているのかも知れません。あまり遅くなって明日に差し障りがあってはいけませんし…。では…ゲ、ゲンタさん、また…明日…!おやすみなさい…」


「は、はい。おやすみなさい」


 少しごまかし気味にシルフィさんがこの場をまとめた、同時に僕もそれに乗っかるような形で応じた。そして皆が帰っていき、僕もマオンさん宅にある部屋に戻るフリをしながら日本の…一人暮らしをしている自宅アパートの部屋へと戻った。


……………。


………。


…。


「ねえ…」


「ん…?なぁに、カグヤ…?」


 自室に戻った僕に異世界から唯一こちらに来れると思われるカグヤが問いかけてきた。今日は一日とにかく大変だった、戦闘をするのも初めてだったし、目まぐるしく動く戦況や心に湧いてくる様々な感情に振り回されて心身共に疲れがあった。部屋に戻るなり僕は布団を敷いて横になった、すぐ横にカグヤが陣取る…そんないつもの光景だった。


「また…、会えたね」


 きゅっ…。


 カグヤが僕の手を握った。


「うん…、また会えた…」


 もう会えないと思っていたカグヤ、その彼女にまた会えた事を僕はまた実感する。


「……………」


 すっ…。


 カグヤが隣から身を起こした、そして僕の胸の上に体を乗せてくる。両腕を僕の首に回し隙間がないほど抱きしめてきた。


「カグヤ…」


 僕も彼女の背に手を回した、命懸けで僕を守ってくれた彼女…その存在がとても愛しい。そんな彼女が少し僕から身を離した。黒髪に白い肌、少し赤みを帯びた瞳が僕を見つめた。


「ねえ…、ゲンタ」


 僕の名を呼んで見つめる彼女の視線が強くなったような気がした。


「…シルフィと…、何かあったよね…?」


「ッ!?」


 どきり…、大きく重く心臓が高鳴る。


「分かっちゃうんだ…、わたし…。ゲンタの事だったら…。なぁんでも…」


 くすっ…。


 静かに妖しく微笑みながらカグヤの顔が近づいてくる。僕は慌てて彼女を止めようとする。だけど僕の首にカグヤの腕が絡みついていて逃げ場はない、出来るのはただ弱々しく声を上げる事のみ。


「カ、カグッ…」


 だけど言葉は最後まで続かない。


「上書き…」


 そう言ってカグヤは僕の唇を塞いだのだった。


 次回!!


 若い女性が現れる!!


 だけどその人の正体は…?


 もう登場しているあの人です!さあ、みなさん分かるかな!?


 次回をお楽しみに!

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