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第606話 ソルさんは王様…?神様…?お爺ちゃん…?


 ゲロートポイオスを…そしてミーンの町に押し寄せるアンデッドの軍団を一瞬にして消滅させた気品あるお爺さん…、ソル。


 その正体が今…明らかに。


 どのくらいそうしていただろう?普段のシルフィさんだったらとても考えられない行動だ。あ…、こういう時って目を閉じた方が良いんだっけ…?それとシルフィさん、良い匂いがするな…美人さんってよく良い匂いがするとか言うよね。甘い花とか果実のような…思わず吸い寄せられそうな香りである。


「おほーっ!!ええのう、若いというのは!!激しいのう、激しいのう!!」


 そんな声にハッとなり僕とシルフィさんは慌てて互いの身を離した。正直、ちょっと名残惜しい。見ればソルさんが僕たちふたりの様子を生温かい目で見守っていた。さっきまでの気品あるお爺さんといった雰囲気が一発でぶち壊しである。


「コ、コホン…!」


 小さく咳払いをひとつ、シルフィさんが場の居住いずまいを正す。いつもの冷静で的確な対処をする敏腕受付嬢の仕草に戻る、そのシルフィさんがソルさんに向き直る。


「失礼致しました、…ッ!!?ま、まさか…、あなたは…?」


 普段はややジト目気味の涼やかなシルフィさんの瞳、その瞳が驚きの為か大きく見開かれた。その様子に僕は気になるものを感じた。


「あ、あの…?シルフィさん、ソルさんを知ってるの?」


 驚きを見せているシルフィさんに僕は尋ねた。


「え、ええ…。もしやあなたは…、は…始まりの曙光しょこうにして…光の精霊王…ソル様ではありませんか?」


「ん?」


 よく分からない単語が出てきたぞ。始まり…?精霊…?なにやらただならぬ重要ワードに僕も興味が湧いてきた。すると先程まで出歯亀でばがめな雰囲気丸出しのソルさんが急に真面目な顔になり気品のあるお爺さんの姿を取り戻した。


「いかにも…。わしがソルである」


「や、やはり…」


 シルフィさんがすっかり敬服したと言ったた様子で応じている。ただならぬ雰囲気に僕は尋ねてみた。


「シ、シルフィさん…、ソルさんを知っているの?」


「ソ…ソル様はこの世界が始まった時に生まれた最初の光の精霊…それゆえ光の精霊王とも言われています。他にも地上に光をもたらす太陽の化身とされ宗派によっては太陽神とも…」


「それって凄い事じゃ…、とんでもない方じゃないですか!…でも、どうしてそんな方がこの町へ…?」


 慌てふためく僕たちに対してソルさんはどこかノンビリとした口調で応じる。


「そんなに大それたモンじゃないわい、ここにいるのはただのお爺ちゃんじゃ。孫の顔を見に来た…どこにでもいるお爺ちゃんじゃ。前にも話したのう、この町には孫がおるんじよな。その孫がとても幸せに暮らしておると聞いて様子を見に来た…」


「たしかに…そうでしたね」


 数日前のソルさんと出会った時にもそんな風に言ってたっけ…。


「うむ…、お腹いっぱい食べて幸せそうな顔をして昼寝をしておったわい。確かに美味いパンとジャムじゃった…、あれは確かに気に入るはずじゃ。それを毎日のように食べられる…、幸せ者じゃ…」


「毎日…?はて…?」


 ソルさんの孫か…僕、どこかで会ってたのかな?


「改めて自己紹介しようかの…、わしはソル。お主に世話になっている光精霊ウィル・オー・ウィスプサクヤのお爺ちゃんじゃ」

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