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第566話 報告と再会


 息を引き取った騎士爵のスネイルさんの亡骸なきがらを詰所からやってきた衛兵さんたちを率いてやってきた別の騎士さんに引き渡した。そして今、僕はナタダ子爵家から戻る馬車の中にいる。


「そうですか…、ミアリスさんは…」


「はい、スネイルさんのご冥福を祈るべくご遺体と共にいます。お弔いをするって…、無念の死を遂げた方はアンデット化する可能性が高くなるからって…」


 今、僕の横には面会時の補助の為にシルフィさんが同行してくれている。先程終わった子爵夫人ラ・フォンティーヌ様にスネイルさんが遺した伝言と最後の様子をお伝えすると同時にスネイルさんを死に至らしめた謎の存在について今後の対応を考える為だ。


「それにしても…」


 僕は先程の奥方様との対面の事を思い出していた。


「奥方様とスネイルさんは乳兄妹ちきょうだいだったんですね…」


 なんでもスネイルさんのお母さんはラ・フォンティーヌ様の乳母うばであったという。年齢はだいぶ離れているようだが母親代わりになってくれた女性の息子だ、何かと近しい事もあるだろう。それを考えるとその胸の内…、悲しみはいかばかりか…。気丈に振る舞われていたが悲しみは隠しきれないようで言動のところどころでそれが滲み出ていた。重苦しい雰囲気の馬車の中、口数少なく過ごしているとやがて馬車が止まった。


「冒険者ギルドの前に到着いたしました」


 馭者ぎょしゃさんから声がかかった。


「ありがとうございました、奥方様にはよろしくお伝え下さい」


 そう言って僕とシルフィさんは馬車を降り冒険者ギルドに入った。子爵邸での経緯と今後をギルドマスターのグライトさんと話し合う為に…。


……………。


………。


…。


 グライトさんを交えた打ち合わせを終えると僕はシルフィさんとギルドを出た。マオンさん宅までは彼女が護衛について来てくれるという。二人並んで町中を歩き始めてすぐに僕たちの近くを後方から来た馬車が追い抜いていった。


とぉめてくれ〜…」


 なんとも間延びした独特な口調…、それでいて周囲によく聞こえる声…。聞いた事がある…。


「どうっ!!どうどう!!」


 声をかけ馭者さんが手綱たづなを引いたのだろう、僕たちの前方で馬車が止まった。馭者台から男性が素早く降り側面の戸を開けた。中から人が降りてくる…。


「久しぶりだねぇ…、お若い若者ヤングメン…」


 お若いと若者ヤングメンって…、相変わらず意味がかぶってるんだけど…。間違いない、あの人だ…。最初にこの異世界にやってきた時に僕はこの人とも出会っている…。


「ま、前の…商業ギルドのマスター…」

 

 降りてきたのはハンガスの父親であり、前商業ギルドのマスターであった…。




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