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第408話 ゲンタ、町に戻る


「ゲンタぁ!!」


 アリスちゃんが僕に駆け寄ってきた。


「ゲンタぁ、ゲンタぁ!」


 僕の名を呼び続けるアリスちゃん、そしていきなり現れた僕にウォズマさんもナジナさんも驚いている。


「ゲンタ君…」


「兄ちゃん…い、今、いきなり現れなかったか?」


「あ、はい。実は…」


 僕は事の顛末(てんまつ)を話した。アリスちゃんが泣いている話を聞いたこと。今まで姿を消していたのは精霊の力によるものだということ…具体的には闇精霊(シャルディエ)カグヤの力によって極限までその存在感を薄めたこと。その力を解除した事によりいきなり現れたように見えたのだと…。


「へえ…。精霊の力ってな凄えモンだな」


「だが、大丈夫なのかい?ゲンタ君を探し回っているという貴族家の者もまだ少しはいるんじゃないかな?」


 ナジナさんに続いてウォズマさんが懸念を口にした。


「それなら少し注意すれば大丈夫でしょう」


「シルフィ嬢、それはどうして?そもそもどうしてフードなんてかぶっているんだい?」


「少し探ってみましたが残った貴族家の手の者は『エルフと一緒にいる黒髪の男性』の行方を探しているようです。黒髪の男性は多くはありませんがこの町にも他にもいます。そもそも探し回っている者たちはゲンタさんの顔を直接見た訳ではありませんからね。だからエルフと二人連れ…、黒髪…そのくらいしか手がかりはないはずです」


「なるほどなあ、フードをかぶっていれば髪も耳も隠せるって事だな」


 腕組みしながらナジナさんが頷く。


「はい。姿を消しながら色々調べて得た結論ですけどね。もっとも姿が見えないというのは不便な事もあります」


「へえ、そりゃなんだい?」


「姿が見えないから通行人がそのまま歩いてくるんですよ。道で何度ぶつかりそうになった事か…」


「そりゃそうだな。誰もいなけりゃそのまま歩くのが道理だ」


 ぐいぐい!


 アリスちゃんに手を引っぱられた。


「もう、ゲンタ!こっち向いて!」


「ははは、ごめんねアリスちゃん」


 ちょっぴり不機嫌だけどアリスちゃんは泣き止んでくれたようだ。


「僕を探し回ってる人がいるみたいでね、見つかると面倒な事になりそうだから町から離れていただけなんだよ」


「ほんとう?私をおいて結婚して出て行ったんじゃないの?」


「大丈夫、結婚はしてないよ。あくまで僕を探してる人から身を隠そうとしただけ…。だからあんまりおおっぴらには歩けないけど」


「それなら良い」


「まあ、こんな所で立ち話ってのもナンだ。場所を変えるとしようぜ」


 僕とアリスちゃんが話しているとナジナさんから移動しようという提案が出た。そこで僕らは無事な姿を見せる意味でもマオンさん宅に向かう事にした。






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