第388話 まずは敵を知り…
「いやはや…、ルーグランカスター伯の…」
「あの夜会壊し(パーティクラッシャー)のお嬢はんか…。そら難儀な話やな」
ナタダ子爵邸を後にした僕たちはヒョイさんが経営する社交場を訪れた。色々な知恵を…、そして力を借りようと考えての事である。また、タイミングよくその場にマンタウロ商会の当主であるゴクキョウさんがいた。さらには…。
「ふむう…、あの者か…」
王家の晩餐会などの監修をする事もあるというザンユウさんも居合わせた。社交場を訪ねた僕だったが来客中と知りしばらく待とうかと考えていたが、来訪者が僕である事を知った三人は構わないと中に通してくれた。
「ゲンタはん、ルーグランカスター領では琥珀金が産出されましてな…」
琥珀金…、たしか自然金とも言われる金だ。砂金として銀などと混じった状態で得られる事がほとんどだ。市場価格はだいたい銀の二倍が通り相場、しかし精錬し金と他の金属と分けるとその価値は跳ね上がる。金と銀はそれだけ価値が違うのだ。
金の含有率にもよるが、ちゃんと精錬して金と他の金属に分けた琥珀金はだいたい銀の五倍から六倍ほどの価値になるとか…その経済力を背景にルーグランカスター家の影響力は強いものらしい。伯爵家でありながら『実質的には侯爵家』そんな言葉も囁かれる。日本で例えれば二つ以上の国にまたがる領地を持つ大名みたいなものか…。
「それに件の娘はなかなかに舌が肥えておる。食べる事に並々ならぬ欲を持つゆえだが…なかなかに侮れぬ」
…ふむ、夜会でなまなかな料理を出したらケチでもつけてくるのだろうか?だが、それより僕は気になる事があった。
「その伯爵家のご令嬢ですが気になる事を言っていました。伯爵令嬢としての地位、その財力で用意したドレスや装飾品…そこまでは分かります。そして類稀な美貌があるから夜会の主役は自分になると…。しかし、僕にはそれが理解出来ません。地位やドレスはともかく美貌というのは…」
僕は力士のような体格のアザレア伯爵令嬢の姿を思い出していた。
「その…、なんて言うか。美貌…と言うのはなんか違うというか程遠いような気がしていて…」
「ああ!その事でっか」
ゴクキョウさんがポンと一つ手を叩いて何かを思い出したように話し始めた。
「それはな…、呪いのポーションを使うてるんや」
「ええっ!?呪いの…?」
「ポーション…?」
僕とシルフィさんは同時に声を上げた。
「せや!それがあるからルーグランカスター家のご令嬢は美しくいられるんや」
呪いとはなんとも物騒な単語だ。しかもそれがなんでアザレア伯爵令嬢の美貌とやらに関係しているんだろう?
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次回予告。
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今回は短めです。
次回、第389話『呪いのポーション』
お楽しみに。