設定集 この世界の爵位について。
今回は爵位の設定について書いていきます。
五爵と言われる爵位がありますが、この作品中における爵位…いわゆる公侯伯子男について書いていきます(ただし、あくまでもこの作中での設定になります)。
・伯爵
まず最初に五爵の真ん中、伯爵についてです。作中において伯爵は国王から封地を与えられた者のうち一定の領地と城を持つ事が許された身分です。その他に領内での裁判権や行政権、軍事権さらには徴税権などを持ちます。日本人的な感覚で言えば戦国時代や江戸時代における一国一城の主というところでしょうか。戦国大名(または徳川将軍)の配下にして一国を預かる身といった感じです。
また例外として伯爵には宮中伯と呼ばれる領地は無いけれども身分は伯爵相当になっている人もいます。彼らは徴税する領地が無い代わりに国王から俸給を受けます。国政を執り行う大臣などがこれにあたります。
・副伯と子爵
次に副伯と子爵です。伯爵の下位に位置するこの二つの爵位ですが、その差は歴然としたものがあります。まず副伯ですが伯の字が付くだけあり、制度の上では伯爵と同列には扱われませんがその実情は伯爵位における下位ランクといった認識です。城を持つ事はできませんが、港町や都市などを領地とし徴税の多くが金銭で入ってきます。その為、下手な貧乏領地を治める伯爵より余程裕福な場合も少なくありません?
そして子爵ですが、こちらも城を持たない小規模な地方領主です。伯爵の数分の一程度の広さの領域を封地として与えられます。その封地内で最も栄えている場所、大抵は町に屋敷を置く事がほとんどです。作中では今回名前が出てきたハンザ・ツグイ・ナタダ子爵がこれに当たります。日本人的感覚で言えば、江戸時代における一万石から数万石の小大名といった感覚でしょうか。また宮中伯と同じく封地を持たない子爵や、伯爵家などの飛び地などを治める為にその子弟が封じられる事もあります。
・男爵(凖男爵)
三番目に紹介するのは男爵です。男爵は子爵の下に位置する貴族位で主にいくつかの農村を封地として与えられます。町を抱える事が多い子爵とは違い農村部の為に収入の多くは農産や牧畜によるものになり、金回りが良いとは限りません。日本人的な感覚で言えば小豪族、あるいは地侍といった規模。江戸時代なら大身旗本と言ったところでしょうか、また宮中男爵の制度もあります。
また、凖男爵は金で買える実権の無い名誉爵位です。おもに都市部で豪商が得る一代限りの爵位です。金を得た商人が次に欲しくなるのが名誉であるのは古今東西、異世界でも同様のようで王室に金を納める事でその称号を得る事が出来ます。凖男爵になると身分が平民から貴族階級になります、そうなると有事の際の徴兵や労役などの対象から外れる事になります。また、金回りが良い事から下手な下級貴族より裕福な暮らしをしている事も珍しくはありません。
当然ながら封地などは無く俸給もありません。また、当然ながら納税の義務が発生します。
・騎士
上位二つの爵位に移る前にこの世界における騎士(騎士爵)の扱いについて記述します。
騎士は戦時において騎乗し参陣する事を許された身分です。男爵よりさらに小さな封地を与えられた領主としての側面もあります。また、次男以降の貴族の子弟が婿入りしたりして先代より継承し授爵する場合もあります。
戦時においては数人から十人程度の従卒を連れて戦う最小の集団の部隊長となります。また、近衛騎士であれば王を守る盾として、他にも王からの命令を指揮官クラスの貴族に直接伝える伝令などの役目も担います。
貴族階級とは異なりますが平民とは明らかに身分差がある士分として扱われるのが一般的です。叙任される際など、少なくとも一回以上は王と直接会う事がある身分です。
・侯爵
伯爵より一つ上で五爵の中では上から二番目、それが侯爵です。王家との血縁者でもなければ就く事の出来る最高位の爵位になります。
一般的には伯爵よりも重要地域に封じられる事が多く、他国からの侵略などに備えるなどその責任は重大です。伯爵の権限に加えて防衛拠点として複数の城を持つ事も許され、また王都に裁可を仰ぐ時間が無いと判断すれば他国との外交権や開戦権を持ちます。伯爵がより独自色があり強い権力を持った存在と言えるでしょう。
・公爵(大公)
五爵の最上位、それが公爵です。王に近い血を引きかつ実力ある者が就き、伯爵や侯爵より広い封地さらにはその権限を持ちます。その封地が広い事もあり、防衛上の理由が無くても複数の城を持つ事が許された本国に対する分国のような意味合いも暗に持っています。
日本に置き換えれば一つの都道府県を治めるのが伯爵とすれば、公爵…とりわけ大公と言われる貴族が持つ封地は複数の県を跨いだ地方とも言えるでしょう。地球で例えれば最近注目が集まるウクライナ、これはとある大公が治めた封地が起源となっているそうですがこのくらいの規模と考えでいただければと思います。
次回は本編に戻ります。