第301話 酒が高い、高いぞー、酒が高いぞー!
300話超えました。うーん、やれば続くものですね。これからも頑張ります。関西弁使いのヒロイン候補、まだまだ募集しております。古今東西、良いキャラがいましたらご紹介ください。
p.s.
リアル知り合いに上◯恵美子はどう?と言われました。今日はクリスマスです。
「町のお酒が高騰してるんですか?」
ゴロナーゴさんの話に僕は町の状況を改めて質問した。
「おうよ。まあ、俺は葡萄酒は滅多に飲らねえから問題ねえと思ってたんだがな。葡萄酒が無えとなれば、それを飲みたい酒好きは代わりのモンを探す!すると、麦酒やなんかも値が釣り上がっちまったんだよ」
「こやつめ!それで何かとワシらの所に飲みに来てたのだな!」
「良いじゃねえか、兄弟。代わりにあの干肴、酒の肴には悪くなかったろうが」
「うぐ!!う、…むむう…」
文句を言っていたガントンさんだが、ゴロナーゴさんの言い分に言葉が詰まった。痛いところを突かれたのだろう。
そういえば最近、何かとゴロナーゴさんとガントンさんたちがよく連んでいたような気がする。元から仲の良い彼らだがそれにはそんな理由があったのか。
「まあ品薄っちゅうのもありそうやけど…」
そんな僕たちの会話にゴクキョウさんも参加した。
「おそらくは葡萄酒が品薄になったのを良い事に値上げしたんやな。葡萄酒ちゅうんは麦酒と比べて高値つけやすいさかい、儲けを上乗せしやすいんや。もともと希少品や、高値ついてもしゃあないとな。だけどその葡萄酒が売れなくなったんや、他で儲けな酒場の方も食っていけへん。仕方ないっちゅうトコでもあるな」
「ふーん、そんなモンかいのう。わしらは酒好きじゃきに、値上がりと言うんはチックとつらいのう」
先程まで初めて食べるカレーに『こりゃ美味いぜよ!』を連発していたリョマウさんたちが話に加わる。
「とか言いながら坊やンの『しょうちゅう』にゾッコンで他の酒には見向きもせんクセに!」
「シンタウロさんの言う通りですよ。もっとも私は飲めませんけどね」
「チョ、チョ、チョウジウロは、下戸。も、も、もったいないがじゃ。あ、あの強い酒を、の、飲めんとは…」
シンタウロさんたちも話に乗っかった。ちなみに昼食時の喧嘩騒動があった時、リョマウさんが止める間もなくゾウイさんも加わっていた。ゴロナーゴさんと一緒になって先頭切って…。二人とも凄く生き生きしていた。
「そうなんだよー。葡萄酒飲めないんだよー!」
ぐいぐい。なぜか僕にひっついてこようとしてくるロヒューメさんが話しかけてくる。
「私たちもね、飲むとすると葡萄酒なんだけど品切れだって言われて…」
「ロヒューメ、くっつき過ぎですよ。妹がすみません、ゲンタさん」
「はぁ〜い、お姉ちゃん」
そう言って僕の横に座るシルフィさんと、そそくさと離れるロヒューメさん。
「でも皆さん…、お酒が好きな人は困ってしまいますね。高くはなるわ、種類が減るわでは…」
「ああ、まったく頭の痛い問題だぜェ…」
やれやれとばかりに首を振りながらゴロナーゴさんが呟く。
「何言ってんだい、お前さんは!!アンタのは二日酔いの頭痛だろうに!」
オタエさんがピシャリと言い放つと皆に笑いが起こった。
「あーあ、ゲンタさんのお酒がいつでも飲めたら良いのに」
なんの気無しにロヒューメさんが呟いた。
「そりゃ良いな!兄ちゃんの酒なら!」
ナジナさんも話に加わる。
「なんやてっ!ゲンタはんは酒も扱うんかっ!」
「おうともよ!商人の旦那、坊やの扱う酒はそんじょそこらのモンじゃないぜ!」
「ああ、水みたいな見かけだが凄い酒だぜ!あの『しょうちゅう』ってヤツは…」
ゴロナーゴさんが自分の事のように胸を張って言った。
「ワシらの喉を満足させられるだけの強さもあるしの」
「それに葡萄酒に負けない果実の風味があるのよねー。他じゃ味わえない味の果実もあるし…」
ぬぬぬ…、ゴクキョウさんが何やら唸っている。
「ど、とういう事や!水みたいで、強くて、葡萄酒に負けない果実の風味、しかも他じゃ味わえない味やて…?そんなんあるんかいな?」
「それがあるんだぜえ!そんな奇跡の酒が…」
焼酎を飲んだ事があるナジナさんがニヤニヤしながらゴクキョウさんに告げる。
「せやかて、あんさん!!」
「これは…実際に見せてもらった方が良いんじゃねえか?」
あれ?僕の知らない所で勝手に話が進んでいるぞ…。
「と、とりあえず皆さん!」
僕はそこにいる人たちに声をかけた。
「夜の部のカレー販売がもうすぐ再開しますから…。とりあえずまたよろしくお願いします」