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その2

「地震?」

 メイが辺りを見回すが、かなり、ぐらっと揺れたにも関わらず、窓の外に見える台車は揺れている様子がない。

「ここだけ…ってこと?」

 だが、かなり揺れたにもかかわらず、祭壇の供え物が落ちてはいない。

「ここっていうか…メイさんと俺だけ?」


 メイは、何かを思い立ったように立ち上がり、天を見上げて叫んだ。

「何がしたいんですか!」

 だが、答えはない。

 ミコトは考えた。“何か”するのは、自分たちなのではないかと。

「メイさん。俺たちがしたいようにしてもいいっていう合図かもしれないよ」

「したいようにって言われても…」困惑する

「まずは、結界を解こうよ」

「そうだわ! “写”の力を使ったら…」


「そうか。許可が下りたんだから、使えるんだよね…えっと、じゃあ、どうやって使えばいいわけ?」

 困り顔のミコトを見ながら、メイも困り顔になる。

「そうよね…許可が下りても、使い方がわからないんじゃ…」

「“イノル!”」

「ドラゴちゃん…?」


「祈ればいいのかしら…でも、何に対して何を祈るの?」

「“カミサマ!”」

「神さま…結界を解いてください」

 小声でつぶやくメイ。だが、特に変化はない。

「神さま! 我らに“写”の使い方を教えてください!」

 ミコトが叫ぶと、再び二人の体がぐらりと揺れた。

「これが返事…?」メイがドラゴちゃんをぎゅっと抱きしめる。


 ミコトはハッとしたように言う。

「メイさん、能力者たちの力を全部、思い浮かべて!」

「え?」

「俺より、皆がどういう種類の力を使えるか知ってるよね。それを頭に浮かべて、コピーさせてって祈るんだよ」

「わかったわ」


 メイは脳裏に、能力者たちの顔と能力を思い浮かべながら、それをひとつずつミコトに言葉で伝えていく。

「ありがとう…」メイの言葉をかみしめていくミコト。「…じゃあ、コピーさせてもらおう」

「どんなふうに祈ればいいのかしら」

「“シャ!”」叫ぶドラゴちゃん。

「“写!”」つられたように叫ぶミコトとメイ。

 次の瞬間、二人の目の前が明るい光に包まれた。

 そして二人は、意識が次第に薄れていくのを感じた。


  *  *  *


 清流旅館でのミコトとメイの様子を、深潮と祭は病院から覗いていた。

 深潮の“目”の力を使ってだ。

「おにいちゃん…欲張り過ぎちゃったわね…」

「そうねえ」ため息をつく深潮。「あれじゃあ、病人がうな丼とカツ丼を一気に食べるようなものよね…」

「力をコントロールするのも含めて“力”だからなあ」腕組みする鈴露。


「あ。二人が目を覚ましたわ」

 深潮が言うと、祭と鈴露は、再び目を閉じ、浮かぶ映像に集中した。


  *  *  *


「あれ…俺たち…」

「眠っていたのかしら…何か、胸焼けする感じ…」

 メイが胸を押さえながら、腕時計で時間を確認する。

「1分くらいしか経ってないみたいね」

「何だろう…頭痛とも違うなあ。頭がぐわんぐわんてするよ…これって“写”の力のせいなのかな」

「結界、解けるかしら」

「神さま、結界を解いてください!」ミコトが叫ぶ。


 祭壇に手を伸ばすミコトとメイ。

「解けてないね…」ミコトがため息をつく。

「確かに何かの力が体の中に入っているのは感じるから、写せたんだと思うんだけど…」

「写し過ぎかなあ」

「そうね…封印を解くのに使う力だけでよかったのかも」

「うーん。どうすればいいんだ」


「“ヤリナオシ!”」

「やり直しか…うーん」

「私たち、詰め込み過ぎて、ちゃんと力が使えてないんじゃないかしら」

 メイの言葉にミコトが考える。

「そうだよね。とりあえず今必要なのは、結界を解く力」

「えーと…この結界、たぶん龍おじさまが張ったのよね。じゃあ、龍おじさまだけコピーして…」


「結界を解く力だけコピーすればいいんじゃないかな。他のは胸焼けの元になるだけな気がする」

「そうね。ところで、さっき写した諸々をリセットするのってどうやるのかしら」

「祈ればいいんじゃないかな。元に戻してください。そして、龍おじさんの結界を解く力だけコピーさせてくださいって」

「じゃあ、やってみましょうか」

 メイとミコトはにっこり笑って“作業”に取り掛かった。


  *  *  *


 深潮、祭、鈴露の三人は深くため息をついた。

「うーん、もどかしいわね」

「でも、着実に前に進んでるよ」

「確かに、それはそうね。ただ、あの子たちは、最初に力を得た時に、直前に目が向いていたものしか考えられなくなることを知らないから…」

「普段の二人なら、なんてことなく答えを出していくんだろうけど…うーん」頭をかく鈴露。


「鈴露さまもフルパワーの時は、あんな感じなの?」

 祭が尋ねると鈴露はフッと笑った。

「俺はそれこそ、一条の石に守られているから、自動調節機能付きみたいなもんだよ」

「石、あるのにねえ…」ため息をつく深潮。


「おや、3人で覗き見かい」

 入って来たのは龍と奏子だった。

「おじさま!…おばさまも…」

「大丈夫です。もう少しで発動しますから」

 ニッコリ微笑む奏子に、祭は首を傾げた。


  *  *  *



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