フードは心を惑わせ×
「さて、お集まりの皆さん。
今日来たばかりの人から、
ベテランの方までお疲れさまです。」
フードを被った男がそう話はじめる。
「いまから行っていただくのは
悪夢狩りです。
日々辛い思いや苦しい思いをしている方の
そんな気持ちを
我が社の技術により作り上げた
具現化したモンスターを
倒していただきます。
たくさん狩ればポイントが入ります。
それだけあなた達の夢にも近づくことができます。
詳しいことはやってみてからのお楽しみ。
まぁ、説明がめんどうなので
いつもながらさくっと倒してください。
ではどうそ!」
そういうと奥にあった扉が開く。
なんとそこから見える景色は
ビルの屋上と思われる高さから下を一望できるほどの夜景。
俺たちは夜景にまっ逆さまに落ちろと言うのか?
そう思っていると人が一人外に走っていった。
たたたたっダン!
なんと空中に着地していた。
なにが起きたんだ?
能力か?
「あれは能力ではありませんよ。
ただこの扉から外が戦いのフィールドなんです。」
そうか、何かの力でそうなってるわけか。
おそるおそる外に出てみる。
当たり前のようにそこに地面があった。
もうゲームは始まっているのか、
各々ぞろぞろと外に出ると、
オレンジ色の人形のスライムのようなものが現れた。
俺はそいつが襲いかかってくるのと同時に
フードを被った。
景色か変わった気がした。
いや自分が変わったのか、、、
目の前のものを殺したい。
急速に自分を包む殺人衝動。
ナイフを袖から出すと同時にそのスライムを
めった刺しにした。
スカッとする。高揚感が自分にみちあふれてくる。
もっと壊したい。そう思った。
辺りを見渡すと
青い人形のスライムのようなものもあった。
二種類のスライムはいったいなにを
表しているんだ?
いやこの際どうでもいいか、、、、、
俺はつぎつぎと刺し、
倒していった。
何体も何体も何体も、、、、
なぜだかオレンジのものばかり向かってきたからか
辺りはオレンジ色で埋め尽くされていた。
これが何を意味するか知らずに
おれはスマホの画面に表示されるポイントが
どのくらいたまったかを確認していた。
希望 40
40ポイント
絶望 15
15ポイント
なかなか稼げたんじゃないか?
「おい!テスラ
結構稼げたぞ!そっちはどうだ?」
「私はテラーですから、
あなたをお守りするのみで、
倒したりはしないのですよ。」
「そうなのかよ。おもしろくねぇな。」
ふとテスラの暗くどこか後ろめたそうな表情が
殺したくさせてくる。
刺してしまおうか?
「だめだ…」
握ったナイフに力を込めて
俺は自分のフードを切った。
シャッ
切ったと同時にフードが脱げる。
こうでもしないと目の前のテスラを
切ってしまいそうだった。
「秋川様?」
驚いたような顔をして近づいてくる。
「ふとフードを切りたくなってね」
嘘がとっさにうまくつけない。
「そうですか…
いったん休憩しますか?
先程のエントランスで。」
「そうだな…」
休憩に戻るとそこには
スクリーンに映像が流れていた。
フードの男がまた映っていた。