傷口はどこへ▼
「ここ…は…?」
「処置室ですよ。すぐに治療できます。
しばしお待ちください。」
サイバーちっくなその場所は
処置するというより、
改造するという言葉のほうがあっている。
金属のところどころ青く光っている。
「パーカーを脱いでください。」
そう言うテスラの手にはとても処置するという
感じのものではない金属性の何かがあった。
「それは…?」
「これは傷口を異世界のどこかにやる装置です。」
「どこかにやる?直すんじゃないのか?」
「どのみち直りますよ。ご心配なく。」
笑顔を見せるがどこかぎこちない。
何かをまた隠してるのか?
フードを脱ぐと傷口にその謎の物をあてがう。
不思議と一瞬で痛みはひいた。
「すごいな…それ…」
「ええ…そうですね。」
こちらに視線をあわせたくなさそうに話す。
「なにか言いたげだな…」
「いえ、何も。」
これ以上詮索する気になれなかった。
「まぁいいや。
ところでこれからはどうするんだ。
またさっきまでやってたゲームに戻るのか?」
「当分はこのゲームになると思います。
大丈夫ですか?」
「あぁ。フードかぶればばっちりだよ。
夢に近づくんだよな。
人の絶望や希望を餌にしてさ。」
「秋川様…」
「辛気くさいかんじは無しだ。
元の場所に戻してくれ…」
「わかりました。」
トン
テスラが杖を下に叩くと
さっきまでいた場所に戻っていた。