ミリーとのお別れと再会
最終話。
飼っていたネコのミリーが起きたときに冷たくなっていて、途方にくれる主人公。
ついに学校に通い始めることができた主人公に話しかけてくる後輩が。
登場人物
町田すみれ
美術部の後輩。
主人公の描いたネコの絵に惹かれて、
美術部に入る。
長く家から出ないで、学校にも行かずにいた。
新学期の今日、私は勇気を出して
外に出てみることにした。
ひさしぶりに学校に行くと、
以前は見なかったネコがひなたぼっこしていた。
どうやら、捨て猫を拾って育てているらしい。
す「ずっと待ってたんですよ、カオリ先輩」
カ「あなたはいったい?」
す「先輩の描くネコの絵が好きで、
美術部に入りました。
私は町田すみれっていいます」
カ「あなたはネコがすきなの?」
す「ハイ、大好きっす。
もふもふでかわいくって、胸がときめくんすよ」
カ「よかったら、うちのネコ見に来る?」
す「ええー、いいんですかー?
ぜひ見に行きたいっす。どんなネコちゃんを飼ってるんですか?」
カ「大事なだいじなネコなんだ。
もう一度この世界を信じてみたくなるくらい」
夢の世界では、レンゲソウが咲き乱れてました。
ミ「おやおや、また会ったねぇ。
この花の花言葉教えてやろうかい?」
カ「どういう意味なの?」
ミ「あなたと一緒なら苦痛がやわらぐってさ」
カ「そうなんだ。うまくいかない日々が続いてた私に
色々ひびくなー」
ミ「何であんたって捨てネコを拾ったりしてたのかい?」
カ「孤独に、絶望にのまれて生きてほしくなかったんだ。
無責任にネコを捨てたり、虐待する人間がいる中で
人間はそうじゃないて伝えたかった」
ミ「そうか。なら、何も言うことはないな」
カ「どうしたの?何かあったの?」
ミ「ふふ、あなたに会えてよかったよ。
何が起きてもガッカリするんじゃないよ」
イヤな予感がして、飛び起きて
飼い猫のミリーを触るとすっかり冷たくなっていた。
その顔には幸せそうな表情が浮かんでいて、
今にも動き出しそうなかおをしていたので、
本当にこの子が命尽きたのか
しばらく信じられないほどでした。
何時間も泣いて、うっかり眠ってしまった夜。
枕元にミリーが立ってました。
ミ「おやおや、泣きまくっちゃって」
カ「だって、すごく大切にしてたネコが亡くなってしまったんだもの」
ミ「でもさ、思うんだよ。あなたみたいな人に
出会えて、行き場のないネコが幸せだったってさ」
カ「本当にそうかな?」
ミ「そうだよ。言葉では伝えきれないよ。
最期にどうかそばにいてくれないかい?」
カ「どういうことなの?」
ミ「あたしがミリーっていったら?」
カ「本当にそうなの?何で突然逝ってしまったの?」
ミ「寿命ってもんがあるから仕方ないのさ。
でもあなたに会えてよかったよ」
カ「やだやだ、離れたくないよぉ」
ミ「いつかまたどこかで会えるはずだから、安心しな」
そこで、いきなり夢が終わってしまった。
ミリーの毛が枕元に残っていて、つい泣いてしまった。
すっかり社会人になって、
会社でうまくいかず、愚痴をこぼしながら
路地裏を歩いていたある夜。
どこかなつかしい雰囲気を感じさせる女の子が話しかけてきた。
ミ「すっかり大人になっちゃって。
また会えたね。ミリーっていったら信じてくれるかい?」
私はまさかの再会に涙が隠せませんでした。