表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

契約の儀式

「これが、教室...」


リアに案内された先は、まるで宮殿のような教室だった。天井は高く、大きな窓からは柔らかな光が差し込んでいる。


「あの、座席は...」


「そ、そうですね。えっと...私の隣が空いてるので...」


リアの声は相変わらず小さい。彼女の隣に座るのは気が引けたが、他に知っている人もいないので従うことにした。


「おはようございます、みなさん」


教室に入ってきたのは、若い女性の先生だった。


「本日は特別な日です。新しい仲間を迎え、そして...天使との契約を行います」


教室が一気にざわついた。


「男子...?」

「天使の祝福を受けた男子なんて...」

「あり得ないわ...」


様々な視線が俺に集まる。特に、前の席の金髪の男子が振り返って俺を見つめていた。


「エリオット、前を向いてください」


先生に注意された金髪の男子...エリオットは不満そうに前を向き直した。


「では、契約の儀式を始めます。まずは...泡沫 纈さん」


「え?」


突然の指名に戸惑う俺。隣でリアが小さく「が、頑張って...」と囁いた。


儀式場は教室の中央。床には複雑な魔法陣が描かれている。


「手の甲の紋章を、魔法陣の中心に」


先生の指示に従い、天使の絆が刻まれた右手を差し出す。


その瞬間—


「これは...!?」


魔法陣が激しく輝きだした。だが、通常の青い光ではなく、紫がかった不気味な色だ。


「先生!これは異常です!」


エリオットが叫ぶ。


突然、俺の意識が遠のいていく。そこには...


「君が...私の契約者?面白い...」


漆黒の翼を持つ天使が、俺を見下ろしていた。


「何者だ...?」


「私は...セラフィム」


最上位の天使...?だが、その姿は教科書に描かれている神々しい天使とは全く違う。


「契約しましょう...ただし、あなたには代償を...」


意識が途切れる直前、俺は確かに聞いた。


天使の...笑い声を。


「纈くん!しっかりして!」


目を覚ますと、リアが心配そうに覗き込んでいた。


「大丈夫...なのか?」


俺は自分の体を確認する。手の甲の紋章は前より濃く...そして黒ずんでいた。


「前代未聞ね...」


先生が眉をひそめている。


「契約は...成立したの?」


リアが不安そうに尋ねる。


「ああ...でも、普通じゃない契約みたいだ」


教室は静まり返っていた。エリオットは明らかに警戒的な目で俺を見ている。


これが運命の始まりだった。

俺には、まだ分からない。

この異常な契約が、どんな結末をもたらすのか—

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ