--- おわり ---
グリモワール王国建国から466年目の夏、後にグライアル合戦と呼ばれるこの戦いで、グリモワール軍は甚大な被害を被った。
天下分け目と呼ばれたその戦での戦死者は万に上る。平原を焼きつくし、抉りつくしたその凄惨な闘いは周辺各国からも批難を受けた。ここにきて隣国クトゥルフはグリモワールの難民受け入れを決定し、北の大国ケルトは戦場となったグリモワールの一般人への食糧支援を申し出た。
被害はそれだけではすまなかった。
何より大きかったのは、王国創立以来多大な貢献を続けてきたレメゲトンが壊滅的な損害を被ったのだ。
総指揮官、当時の炎妖玉騎士団長フォルス=L=バーディア卿から王都へ向けた手紙にはこう記してあった。
メフィア=R=ファウスト――死亡
ベアトリーチェ=アリギエリ――生存
ライディーン=シン――敵方捕虜
アレイスター=W=クロウリー――行方不明
ラック=グリフィス――行方不明
戦力であったレメゲトンをほぼ失ったグリモワール軍はそれから程なく降伏を決めた。
王都ユダ=イスジュデッカはセフィロト軍の占領下に落ち、第22代国王ゲーティア=ゼデキヤ=グリモワール以下王族はみな捕らえられ、また高位に在った貴族もセフィロトの捕虜となった。
一部の有力な貴族は唯一の皇太子サン=ミュレク=グリモワールを秘密裏に国外へと逃がした。その行方は中心的に働いた漆黒星騎士団長クラウド=フォーチュン他数名にしか知られていない。
クラウド=フォーチュンもその後に姿を消した。
セフィロト国は、皇太子サン=ミュレク=グリモワールはじめ逃れた高位の貴族たちに懸賞金をかけ、降伏から1年が経つ頃にはグリモワール全土をセフィロト国が支配し、悪魔崇拝を全面的に禁じる運びとなる。
こうして、悪魔を崇拝した王国グリモワールは467年に及ぶ歴史の幕を閉じ、悪魔は現世界から姿を消した。
多大な伝説を残したレメゲトンたちと共に――