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第8話:忍び寄る暗雲

 日差しで俺は目が覚め、ベットから起き上がり支度を済ませる。

 部屋から出ると下の階が少し騒がしく、朝食をとるため1階へ降りていくと同じように朝食を食べている冒険者達で賑わっていた。


「こっちこっち」


 どこか席の空きがないかキョロキョロしているところに声を掛けられ、声のしたほうには先に着席しているシュリとカイムの姿が目に入る。


「おはよう、2人とも早いな」


 俺は昨夜の事で少し気まずく思いながら声をかけて同じテーブルに着席した。


「おはようテツヤくん、私達も今きたとこよ」


 シュリが普通に返してきたので昨夜のことは俺の夢だったのではと思ってしまう。


「席に着いたばかりで注文もまだなんだ、テツヤさんはどれを注文する?」


 カイムはカイムで昨夜は飲み過ぎて酔い潰れたのに見たとこ普通だ、この世界に二日酔いは無いのか?


「そうだな、朝食はしっかり摂った方が良いしカツサンドとハーブティーにするか」

「僕もそれにしよっと、シュリちゃんはどうする?」

「私は軽くでいいから、ハムサンドとハーブティーで」


 3人が決めたとこでウエートレス(?)に注文を伝え、料理がくるまで簡単に今日の予定を立てることにした。


「今日は簡単な採取クエストでいいかな?」

「・・・昨日あんな事になったけど、やっぱり討伐クエストがいい」


 カイムが慌てて否定しようとしたところを俺は手で制した。


「シュリはそれで大丈夫なのか?」

「大丈夫って言ったら少し嘘になるかな。でも冒険者続けていこうと思ったら昨日みたいな事には慣れていかないといけない、ダンジョンに潜るんだったら装備だって良いのに買い替えないといけない。その2つを考えたら少しでも報酬が高い討伐クエを受けなきゃって」

「でも今のままだとテツヤさんに多く負担がかかるし、なんだか利用してるみたいで僕はちょっと」

「そう思われても仕方ない・・・けど! テツヤくんがずっと居てくれるわけじゃないし、カイムと2人だけだといつ実戦に慣れて他の人とパーティー組めるか分からないじゃない」

「それはそうなんだけどさ・・」


 シュリとカイムの話がヒートアップしそうになって少しマズいかと思った時、タイミング良く料理が運ばれてきて今の話は一旦保留となる。

 当然誰も喋ることのない少し気まずい空気の中での朝食となり、食べ終わって一息ついたとこで俺は話を切り出すことにした。


「クエストの件だが、俺はシュリの提案に賛成でいいよ」

「!! ほんとに良いのテツヤくん?」

「あぁ。カイムは俺に負担がかかるのを心配してるようだが、俺だって素材が分からないから採取の件では2人に負担をかけている」

「でも、採取と戦闘では負担が違いすぎるよ」

「違うなカイム、負担は負担さ。でも俺達はパーティーなんだろ? 互いに足りないとこは補って当然だ」

「・・・分かったよ、テツヤさんがそう言うなら。シュリちゃん、僕も討伐クエで構わないよ」

「テツヤくん、カイム・・ありがとう!」


 朝食は終わり今日の予定も決まったので俺達は冒険者ギルドへ向かう。ギルド内は昨日とは違った騒がしい感じではなく、緊張感溢れる慌ただしさだった。

 とりあえずクエストを選びカイムが申請にしてる間、残った2人で次のめぼしいクエストを物色することにした。


「テツヤくん、昨日言ったことホントなら私・・・本気にしちゃうよ」

「えっ? ごめん聞いてなかった、もう1回言ってくれるか」

「う、ううん。何でもないの、何でも! あっ、カイム戻ってきた」


(何でもないって言ってるが少し顔を赤らめてるのが気になるし、今度ちゃんと聞いてみるかな)


「カイム聞いてきた?」

「うん、盗賊が出たんだって」

「それにしては少し慌し過ぎない? 盗賊なんて別に珍しくもないって感じなのに」

「ギルドは教えてくれかったから知人のパーティーに聞いてみたんだ。噂では貴族の馬車が襲われて誰かが誘拐されたって話だよ」

「貴族を誘拐!? 護衛はそれなりの人がいたでしょうに」

「なんでも騎士が護衛していたにも関わらずやられたって話、と言っても情報が入ってこないからどこまで信憑性があるかわからないけど」

「ホントかどうかは分からないけど、ギルドの慌ただしさを見た感じそれなりにお偉いさんがやられたのは確かでしょうね」

「でもFランクの僕等には依頼なんてこないだろうから、ほとんど関係ないよ」

「それもそうね、それじゃ私達は今できるクエストを頑張りましょう♪」


 俺はいちまつの不安を感じながら2人の後に付いて行った。


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