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第16話:ただいま修行中

 あっという間に1ヶ月の月日が過ぎさった。


(密閉空間に美人と2人っきりだったのだから深い仲にでもなったんじゃないかと考える人もいるだろうが、そういう事は一切無い!)


 まぁ俺も少なからず期待していたんじゃないかと言われればあったと言えるだろう、だが魔法の修行がそんな甘い関係を作る暇を与えなかった。

 そんなに厳しい修行だったのか聞かれたら、そうでもないと言える。一言で言うと地味だ、しかし地味で単純な作業でも限界までやらされれば苦行だな。

 魔法修行の単純な作業ってなんだ?と想像しにくいだろうから内容を言おう。一応朝・昼・晩の3食は食べていたが、朝から詠唱魔法&無詠唱魔法を使い続け魔力が無くなって意識を失いぶっ倒れたらそこで1日終了・・・・単純だろ。それが1ヶ月続いたのだ、監視されている中魔法を使い続けることしかしていないから仲が進展する訳ないし、1日の終了は意識を失いぶっ倒れているんだから話すらすることもできない。まぁおかげ様でこの1ヶ月で初級魔法はほぼ全部使えるようになり、中級魔法も半分くらいまで使え、魔力の細かい調整・操作ができるようになってきた。当初の目的は達成してきているのだから問題は無いはずなんだが・・う~ん。


カーンカーン!


 コテージの方から朝食の時間を知らせる日課のフライパンを叩いた音が鳴り響き、考えを一度止めてコテージへ向かった。


「テツヤも魔法覚えてきたし魔力操作も結構出来るようになってきたから、今日から少し修行の内容を変えていくね」


 パンをあむっと齧りながらリリエルが話を切り出す。


「変えるというと、どんな?」


 スープを食べながら俺は聞き返した。


「ただ魔法を覚えただけで実戦で上手く使えなかったら全く意味無いよね。だから午前中は今まで通り魔法を覚えていって、午後は私と模擬戦を繰り返すから」

「大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫♪ テツヤも魔法結構覚えてきたでしょ、私も手加減するから十分模擬戦になるって」


(俺は彼女が戦闘なんて出来るのかと思い大丈夫かと聞いたのだが、どうやら彼女は俺の魔法が彼女に通用するのか不安がって聞いてきたと勘違いしたみたいだ)


「とりあえず今日は初級魔法のみでの模擬戦をして様子を見ましょう」


 その後午前中の魔法修行と昼食を済ませ、俺達は浜辺に立っていた。


「さぁ、どっからでもかかってきなさい!」


 彼女はあぁ言ってるがやはり不安が拭えず、お試しを兼ねて初級の中でも火属性初歩の『フレアアロー』を放った。一本の火矢が飛んでいき彼女との距離が半分程に届いた時、彼女は氷属性の『フリーズアロー』を放ち一本の氷矢が火矢と衝突し互いに消滅した。


「こらぁ! 真面目にやりなさい」


(仕方ない、怪我をさせないように気を付けながらやっていくか)


「分かった、ちゃんとやるよ!」


 俺は彼女の側面に回り込むように走りだし次々と魔法を唱え、彼女は俺がやっと本気を出したと考えたようで嬉しそうな顔をして反撃を始めた。

 10数分後、俺は服も彼女の魔法でボロボロとなり満身創痍で浜辺に倒れ伏し、彼女はかすり傷一つ無い状態だった。俺が魔法初心者ということを差し引いても、彼女の魔法戦闘は圧倒的だった。相手の魔法に合わせて瞬時に優位属性での魔法防御、攻撃時は魔法と魔法の間のタイムロスは見られず手加減していても同じ魔法で威力・スピード共に俺の魔法の数倍上をいっていた。


「まだ一戦目なんだから、しっかりしなさい!」


 俺はなんとか起き上がり彼女に抗議した。


「しょうがないわねぇ、それじゃ模擬戦の結果でご褒美をあげるから」

「褒美?」

「模擬戦で私に傷を負わせることができたら何でも1つだけ言う事を聞いてあげる♪」

「何でも!」

「えぇ、何でもよ」

「それはキミを抱きたいという願いでもいいのか!?」

「お年頃ねぇ。・・・えぇ良いわよ、万が一でも傷つけることができたらね」

「よーし、俄然やる気が出てきた!! リリエル、二戦目始めるぞ!」

「調子が良いんだから」


 その後夕食の時間まで何度もボロボロに倒され、終ぞ彼女にかすり傷一つつけることが出来なかった。


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