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第10話:強敵・・・

 俺達がいきなり走り出してきたことでコボルト集団は少し警戒を上げたようだがもう遅い。

 俺はコボルト達の攻撃をダッキングで躱すと同時に柄でボディを強く殴りながら走り抜けていき、俺の影に隠れるように時間差で追従していたシュリが俺のボディ攻撃で呻いている奴らを一太刀で首を切り落としたり頭をかち割ったりしていった。

 躱して攻撃できるのなら最初から俺が倒せばいいじゃないかと思われるかもしれないが、今の俺では敵に致命傷を負わせるような大きな攻撃をするとスピードを殺してしまい敵に囲まれる可能性がある。またバカ正直に2人で正面から激突すれば敵も警戒し必要以上に乱戦となって被害が拡大する、そうなれば治療中の彼女達も危険にさらしてしまう可能性も多いにありえる。この2つを考え現時点では俺が速やかにコボルト全員を一時行動不能にして、攻撃の要としてのシュリが敵の体勢が崩れたすぐさま確実に殺していく方法が安全かつ早い。

 シュリが最後のコボルトを殺したのを確認して、俺はずっと警戒していたハイコボルトに目を向けた。手下が殺られたというのに気にした素振りもなく、余裕な態度をとったまま自分が狩る側だというような目つきをしていた。


「シュリ、カイム達のとこまで下がっていろ」

「えっ!! 2人で囲んで攻撃するんじゃないの?」

「いや。彼奴の身体能力を考えたら今の俺達だと2vs1でも戦力はあっちの方が上の可能性が高い、今の俺の力では周りを気にして戦う余裕はないんだ」

「・・・私は足手まといってことなのね?」

「・・・・・・」

「ううん、別にいいの。実際あの魔物と対峙してるだけで怖くて手足が少し震えてきてるから」

「安心してくれ、すぐ終わらせる」

「うん、信じてる・・・・勝ってね」


 シュリの足音が遠ざかっていくのを聞き、俺はハイコボルトに剣を突き付けた。


「さぁ、始めようか!」


 待ち侘びたと言わんばかりにハイコボルトは突進してきて、普通の人では両手剣といってもいい大剣を片手で操り上段から振り下ろしてきた。


ガキーーーーン


(お、重い・・!)


 あきらかに本気とは思えない一撃を剣で受け止めるが重圧で俺は片膝をつき、なんとか少し大剣を押し戻すと同時に横に転がるように避け距離を置いた。剣を確認すると1回の攻防で刀身に罅が入っていた。


(想定外だが、やるしかない)


 近くに倒れていたコボルトの剣を拾い上げ構える。


(受けに回ると武器を破壊尽くされてしまうかもな、こちらから攻めないと)


 ハイコボルトとの距離をいっきに詰め横一閃に剣を振るったが、ハイコボルトの大剣に苦もなく防がれてしまう。


(やはり正面からの単純な攻撃は効かないか)


 俺はフェイントを織り交ぜて攻撃を繰り返すが、相手の身体能力に高さか勘が良いのかギリギリのところで避けられたりしてかすり傷のみで決定打には至らなかった。しだいに相手の猛攻によって受けに回ることしかできず先の1件を考え、大剣の力の流れを変え攻撃を受け流し続け隙をうかがうことにした。

 ハイコボルトは自分の攻撃が全く当たらない事で苛立ってきたのか、1回1回の攻撃は速く力強くなる反面手段は縦・横に斬るだけになった。


(かなり避けやすくなったが、俺の残り体力も不安がある以上ここいらで決める)


 そう決めた時ハイコボルトの縦斬り攻撃がちょうど良くきた。受け流すのではなく身体をずらしてこれを躱し、そのまま縦に一閃して腕を切り落とす。


「グォーーーー!!」


 痛みで絶叫しながらも反対の腕で殴りかかってきたのをダッキングが躱すと同時に足を切り裂き、ハイコボルトが片膝をついたところで殴りかかってきた腕を斬り飛ばした。

 ハイコボルトは両腕を切り落とされ足も切り裂かれて息を絶え絶えの状態だったが、最後の抵抗または道連れとばかり噛み付こうと飛びかかってくる。スピードはあきらかに遅く簡単に避けることも可能だったが、俺は正面から噛み付こうと大口を開けた口の中に剣を深々と突き入れ頭を貫通させたとこで手を離した。

 ハイコボルトはついに地面に倒れ伏し2度と起き上がることは無く、そんな魔物を一瞥し皆のところへ歩き出した。


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