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第二章 其の2

短いです。スミマセン。

      ○●○●○●○●○●



「今日、転校生がくるってよ」


「女か?」


 彼女がいない野郎どもが色めき立つ。


「残念。男だよ」


 チッ。野郎かよ。


「転校生って、やっぱ軍関係者か?」


 横でなにかの雑誌を読んでいる睦月に尋ねる。


 こいつが住む自衛軍官舎は、帰らずの森を囲むように造られた4つの基地に勤める人や家族が住むところなのだ。


「多分そうじゃないか? 何日か前に補充されてきたから」


 森を駆除するために、年何回か森へと入っているが、未だに森は消えていない。いったい何人犠牲になればいいのやら……。


竜矢たつや、転校生ってうちのクラスだけか?」


 我がクラスの情報員。彼に調べられないものはない、らしいよ。


「いや、他のクラスもいるらしいぜ」


「じゃあ、沢山死んだんだな」


「ああ、沢山死んでるな」


「……ときに睦月くん。君は、さっきからなにを読んでいるのかね?」


「ビスケット・キングダムの歩き方って雑誌」


 確か、関西の方にできた魔法と夢の国、だったっけ?


「……1度、聞きたかったんだが、お前、夏美なつみちゃんと、どんな関係なんだ?」


 17歳と10歳が気軽に行ける場所じゃないだろう。


 雑誌から目を離した睦月は、にっこり笑うと、また雑誌に目を向けた。


「……お、お前……」


 まさか、10歳の女の子にアレやコレをしたんじゃ……。


「手を繋ぐまでだよ」


 このギャカァァァァッ!


 文句をいおうとしたら、我がクラスの担任で空手部(おれも睦月も空手部なのだ)の顧問でもある吉崎よしさき美和みわ、27歳。永遠なる独身が入ってきてしまった。


 おれがつけたあだ名は、ロボ美和。体が細く美人なのに、鬼のように強く機械のように冷徹で、おれをいぢめるからつけてやったのだ。


「そこで暗くしている忍ちゃん。朝なんだからもっと爽やかにしなさい」


 この女、自分より弱い男は『ちゃん』づけで呼ぶ主義で、唯一ロボ美和から1本取った睦月だけが『くん』扱いなのだ。


「スミマセンね。最近不幸なもやんで」


「また浮気がバレたの?」


「うっせーよ、ロボ美───うごっ!」


 チョークが額へと直撃する。


 グゾッ! またロボ美和必殺の"ホワイトマグナム"を食らってしまった!


「そんなんだから妹にしかモテないのよ」


 ……ぢぐじょう! いつか絶対泣かせてやるぅぅっ……!


「さて。皆も知っているでしょうけど、転校生を紹介します。入って」


 霞む視界に大男が入ってきた。


 身長190㎝。見事なまでに鍛えられた肉体。醸し出す雰囲気は武の香り。くるな、我らが空手部に……ん? あいつ、どこかで見たような気がするぞ……?


篠原しのはら一樹かずきです」


「えー、一樹ちゃんは、おとうさんの仕事の関係で引っ越ししてきました。なので、この街のことは知りません。皆、一樹ちゃんに街の事情や学園のことを教えてあげてね」


『はぁ~~い』


 ココは幼稚園か、ロボ美和に飼い慣らされた畜生どもがっ!


「じゃあ、睦月くん。お願いね」


 睦月は2年D組の委員長。おれは裏委員長。そして、教壇に立っているのが黒幕だ。




      ○●○●○●○●○●









読んでもらえて嬉しいです。

ありがとうございました。


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