4.ピンダ村長
ソラは、アイルと美咲を村へと案内した。
道を歩いていると、美咲が気になっていることを
アイルに訊ねた。
「ねぇ、ホエールに住んでいる人たちって、肌が白いばかりなの?アイルもソラも肌が白いから」
するとアイルが、重い表情でこう言った。
「いや、中には色黒い肌の持ち主もいる。だが大体が敵の人間だ。」
「敵の人間…?」
「それは…」
アイルが話そうとした時、ソラが「着いたよ!」と笑顔で二人に手招きしていた。
「ただいま、みんな!」
中から村長らしき老人が出てきた。
「おやおや、ソラお帰り。ほうアイルじゃな!久しぶりじゃ!」
「これは、ピンダ村長。お久しぶりです」
ピンダ村長は、アイルに笑顔で迎えた。彼はアイルの後ろにいる少女に気が付き、近づいた。
「あ…」
美咲は戸惑いながら、その老人を見つめた。
「怖がるな。ようこそ、ホエールの一番西にあるシロマ村へ。お主の名は?」
ここで、美咲は初めて自分の名前を知らない人物に会ったことに感動した。
「私は栗原美咲と申します。詳しい話はアイルに聞いたほうがいいかと思います。」
ピンダ村長は、アイルと美咲を交互に見てしばらく考えていた。やがてピンダ村長は考えるのをやめた
「よかろう。お主たち、長旅で疲れたじゃろ?夕方に宴をやる!」
ピンダ村長は、そう言い放しその場をあとにした。
「ピンダ村長って、なんか考える人なんだね。」
美咲が呟いたのを聞いたソラが
「あの村長は物事を考えるのが好きだからね。子供たちはみんな独立してるし、奥さんもだいぶ前に亡くしてるしね」
美咲はピンダ村長の生い立ちを聞き、胸が痛くなったのだ。
「美咲も休憩したまえ」
アイルに促され、休憩場所に行った。
夕方の宴まで、時間が少しあった。