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第6回:勝った気分

 不安は的中してしまった。

 またあくる日に屋上に行くと、そいつはタンゴの特等席を先取りしていた。

 ひどい話だ、とタンゴは思った。

 ボクのささやかな楽しみを奪うだなんて。アクマだってこんなことしないぞ。なにせボクは魔女の使い魔なんだから。


 それにしても、まだ1限目も始まるか始まらないかという時刻なのに、この人間は一体なぜここにいるのだろうか。

 ユーワのように、授業というものを受けているべきなんではないのだろうか。

 それとも、これは、そういったものとは関係のない人間なんだろうか。


 タンゴが未練たらしくうだうだとしていると、ふ、とそいつが目を開いた。

 眠りが浅いか、または寝ていなかったのだろう。

 すると、そいつはぼんやりとした目つきでタンゴの方を見た。

 突然のことに、タンゴは壁の陰に身を隠すことも忘れて棒立ちになった。

 見たこともないものを見て、思考を忘れたかのように。

 まばたきもせずにじっとしていると、そいつはタンゴに興味もないようにすくっと立ち上がり屋上の奥の方へ消えた。

 タンゴが動き出したのはそいつがいなくなってからたっぷり数秒かかってからであった。

 不可解だったが、タンゴは先輩ネコに教わった言葉を思い出して、こう思うことにした。

 きゃっかんてきじじつからみちびきだしたすいそく。


 やった。

 ナワバリを守ったぞ。

 あいつは、ボクを見て怖くて逃げたんだ。


 その日の昼休み、興奮してその出来事を繰り返し話すタンゴにユーワはいちいちうなづき返した。

 いつも通りに優しい笑顔だった。

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