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第4回:ボクがボクと言うわけ

 ボクの名前はタンゴ。これはご主人様にもらった大切な名前。

 ご主人様の名前はユーワといって、とっても優しい人なんだ。ボクがご主人様と言うと、名前で呼んでほしいって嫌がるんだけど、前に先輩ネコから教えられたのでボクはいつもご主人様と呼ぶの。忘れてはいけない境界線なんだって。これを守らないネコはご主人様と一緒にいられなくなるって、先輩ネコに言われたんだ。ボクはユーワとずっと一緒にいたい。だから嫌がられてもご主人様って呼ぶ。そう決めた。

 あと、人間のメスは自分のこと『私』って言うらしいけど、ボクたち使い魔ネコはみんな『ボク』って言う。あ、ボクは、メスなんだ。あんまりメスらしくないって友達には言われるけど。

 自分のことボクって言うのも自分は魔女の『下僕』だということを忘れないためなんだって。立場をわきまえろって、先輩ネコは言ってた。

 ボクは使い魔。ユーワは魔女で人間。

 それは生まれたときから決まっていること。変えられないこと。気にならなくても意識しないといけないもの。ささいなことと思いながら、区別される。隔たりを生むもの。

 でも、どうでもいいんだな、ボクには。難しいこと考えるのは苦手だから、よくわかんないまま。そんなうるさく言うことないのにね。そりゃあみんな違うものを持ってて、みんなかっこうもにおいも違うけど、でもみんな一緒でそれでいいんじゃないのかなぁ。わかんないや。でも、しきたりとか慣習とか、世界のルールがそう決まっているならしょうがないかな。

 ずっと、ユーワといたいな。心の中ではたまにユーワって言うんだ。たまにはいいよね。だから許してね、ユーワ。最近はあきらめてくれたらしいけど。先輩ネコから教えてもらったことを言うと、たまにご主人様は寂しい顔をする。

 これもユーワと一緒にいるためなんだよ。なんでなのかはまだよくわからないけど。

 やっちゃいけないことはやっちゃいけないらしいの。

 だからね、悲しい顔しないで。笑っていて。

 ボクはユーワの笑っている顔が大好きだよ。

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