表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/36

11:サンタンドレ到着

サンタンドレにある騎士学校の門の前。

ここがレティを送り届けるという依頼の達成場所となる。


レティはさすが騎士のたまごだけあって体力が高く、ヴァイスも竜だからか大して休憩も必要なかった為予定よりずっと早く到着することができた。


「到着ー!」

「とーちゃくぅー!」


レティとヴァイスがぴょんと道路と学校の敷地の境を飛び越える。

二人がニコニコとじゃれている姿をみるととても和む。

たった二日間の旅だったがここでレティとは別れるのだ。

短かったが内容が濃すぎたせいかずっと一緒に旅をしていたような気すらする。


レティがくるりとこちらを振り返る。


「お疲れ様、ルッツ。依頼完了だね」

「あぁ、色々あったが無事に到着できてよかったよ」

「あはは、黒竜や勇者様に会っただなんて誰も信じてくれないだろうけどね」


何せ結界の中だったのだから被害は最小限だ。

しかも黒竜はすでに地面の下なのだから。


「黒竜が現れたのは俺達が原因だったわけで・・・巻き込んでしまって悪かったな」

「ううん、貴重な体験ができてよかったって思ってる。ルッツのおかげでティアナさんにも会えたしね」

「はは、そういってもらえると助かるよ」


すっとレティが小さな袋を差し出す。


「はい、報酬」

「あー・・・」


レティから袋を受け取り、中身の半分だけをもらい残りをレティに返す。


「ルッツ?」

「賊はでたけど倒したのはレティだし。全部は受け取れない。そもそも黒竜の件にまで巻き込んで・・・」


本当なら全部返したいところだがさすがに自分の旅費の都合もあるので半分は頂戴する。

情けないが俺もなりたての冒険者で手持ちがないのだ。本当に情けないが。


「でも依頼は依頼なんだから遠慮しないで受け取って?」


上目遣いでお願いされた。

きっとレティに自覚はないのだろうがレティはかなりかわいい。

きれいへの成長途中のかわいらしさとでもいうのだろうか、かわいくもありきれいでもある。

つやつやの黒髪に白すぎない健康的な肌。

ぱっちりとした翡翠色の瞳。

間近で直視するのはいろんな意味で危険で思わず目をそらす。


「ルッツ?とにかくこれは受け取って」

「あー・・・うん」


結局受け取ってしまった。

しかし俺にも一応冒険者(2日目だが)としてのプライドがある。


「じゃあ、また何か依頼をしてくれ。その代金ってことで受け取っておく」

「ふふっわかった。そういうことにしておくね」

「いつでも、どんな依頼でもいいからな?遠慮しないで言ってくれ。次ぎ会えるのがいつかはわかんないけどさ」

「けっこうすぐ会っちゃったりしてね」

「ならすぐに依頼内容を考えてもらわないとな」


くすりと笑ってレティが手を差し出し、俺はその手を握る。


「またね」

「またな」


別れでなく再会を約束する言葉。


「ねーちゃ、ばいばいなの?」


泣きそうな顔で俺を見上げるヴァイス。

思った以上にレティに懐いていたらしい。


「ヴァイス、いつでも遊びに来てね」

「うんー」


ぎゅっと抱き合ってから離れる二人。


「またねーっ!」


学校を背に歩き出す。

これからはヴァイスとの二人旅となる。



「面倒だから、ヴァイスは俺の弟ってことでいいか」

「おとーと?」

「つまり俺がヴァイスの兄になるってことだ」

「ぼくのにーちゃになるの?」

「あぁ。嫌か?」


キョトンとした様子だったヴァイスだが、少しだけ考える素振りをしてぱっと顔を上げる。


「んーん。にーちゃだいすきー!」


ぎゅっと俺に抱きつくヴァイス。

これはかわいい。弟っていいものだな・・・

かわいいヴァイスに癒されていた俺は、ヴァイスのいつもは青い瞳がきらりと赤く光ったことに気付かなかった。



とりあえず次ぎの目的地は王都。

馬車で3日ほどの場所だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ