マテオの暴走①
オリガ視点です。
オリガは「喧嘩した」と言ってますが、オリガが一方的に拗ねているだけです。笑
アルバと他愛もない理由で喧嘩して気まずくなってしまった私。でもアルバが悪いのよ!私のお気に入りの髪飾りにも気付かないで、ソウタにばかり構って……
いや、本当は単に私がわがままなだけってわかってる。
(アルバに謝ろう……)
「アディ、私アルバの部屋へ行くわ」
「ん?もう仲直りしたんですか?」
私はアディとともに自室で過ごしていた。白いレースのカーテンが微かに揺れ、ろうそくの淡い光が壁に影を落とす。
「ううん、自分がバカだったって気付いたの。謝ればいい事なのに意地を張っちゃって」
「アルバ様は気にしてないと思いますけどねぇ」
(この方は気付いてないのかなぁ?アルバ様がどんなにオリガ様を愛しているか。本当におかしな夫婦だよ)
「……ねぇ、何か寒くない?」
腕の産毛がざわりと立つ。白いレースのカーテンは今やバサバサと音を立て、ろうそくの炎が不規則に震える。ふかふかの羽毛布団は、急に硬く冷えた布切れのように思えたーーその冷たさが、胸の奥の安心まで削り取っていく。
「確かにそうですね、何か」
だが、空気が一瞬止まり、部屋の輪郭が歪むように気配が変わった。背筋を凍らせる冷たい何かが通り抜ける。それはアディも感じたようで、アディは私を庇うように立ちはだかる。
「誰だ!?」
――アディの叫びの先には、闇に溶け込むように立つ男の輪郭が浮かんだ。マテオだった。
マテオの瞳には光がなく、顔の表情は静かに歪んでいる。
「……なぜ、あなたがここに」
「なんだお前は!ここは王妃の部屋!お前のような者が立ち入れる場所じゃないぞ!」
アディがそうすごむと、マテオはゆっくりと首を傾け、無表情で彼女を見た。その視線は冷たく、何も映していない。
「なっ、なんだお前……」
「悪いけど、オリガ以外に興味ないんだよね」
そう言ってマテオは素早くアディの背後へ回り込み、薬品の匂いが鼻腔を刺す布を押し付けた。布の端から染み出す甘ったるい薬の臭いが、ろうそくの焦げた匂いと混ざる。
「しまっ……オリガ、さ……ま」
「アディ!!!!」
「心配しないで。ちょっと眠ってもらっただけだから」
「ひっ、人を呼びますよ……!!」
震えた声で私は叫んだ。でも恐怖が勝ってうまく声が出せない。
「ど、どうしてこんなこと……」
「ふふふ、その顔、その瞳。あの頃も俺をそんな目で見ていたよな。反抗的で、生意気で……」
マテオが低く笑い、闇に見えた瞳は狂気に濡れていた。
「酷いよねぇ、そんなお前は俺のものになるべきだったのに、俺を裏切ってこんなところに嫁に来て……全く酷い裏切りだよ」
「なっ、何を言っているの!?マテオ!おかしいわよあなた!!」
「おかしい?おかしいのはそっちだろうオリガ!!お前に王妃など似合わない……アルバに渡すくらいなら、壊してやる!!」
(王?アルバ王?笑わせるな。あの男がオリガを知っているとでも?知らない。知らないはずだ。オリガの癖も、泣き顔も、影の落ちる角度も、全部全部俺のものだ!あいつには分からん!分かるわけがない!)
「ど、どうして……マテオ、あなたおかしいわよ!」
お前こそ……お前こそ……
「お前こそなぜだ、なぜあの日から変わってしまった?」
「……なんの事よ!?私、あなたに何かした!?」
ヒェ〜オリガ様逃げて〜!
てかこういう状況前にもあった気がする。いや前とは狂気度が違うね。急速に冷えていく部屋の描写、マテオの得体の知れない狂気を感じてもらえると嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。




