カミラの機転
オリガ視点です。
「王妃様、しばらく時間をお借りしても?」
「カミラ!元気そうで安心したわ!」
ここは私オリガの自室。マテオの視線を流れるため、しばらく私は大人しくすることに決めたのだ。 いかにあの男が騎士だとて、王妃の自室に簡単に入れるわけがない。
そこに普段ならアルバの側にいる侍女長のカミラが来た!珍しいお客に私の心は踊る。
カミラは一度、私に対する陰口を叩いたことで、それがアルバの耳に入り、バラム城を追い出されるところを私が止めた過去がある。
でもそれはいいの。私も悪いところがあったのを知っているし、何よりカミラをボロ雑巾のように働かせるあの酷い故郷に戻したくはなかった。
カミラは盆を置く手を止め、静かに顔を上げた。
「……王妃様。あの騎士、マテオにはお気をつけください」
「えっ?どういう意味?」
声が思わず震え、胸の奥がざわつく。最悪な想像が脳裏をよぎる。いや、まさかね……
「彼の目は、剣よりも早く人を刺します。あの目は――王妃様しか見ていないのです」
背筋が凍るような言葉に、私の呼吸が止まる。手のひらが少し汗ばみ、膝の奥がぞわりとする。
「そ、そんな……まさか……」
(あのマテオが?そんな、私のことは嫌っていたはずだもの!!)
声は掠れ、唇がかすかに震えた。冗談であって欲しいーーでもカミラの真剣な瞳に、恐怖が確信へと変わる。
「あの男は、王妃様に恋をしています。いえ……恋というよりは、執着に近い感情です」
「ど、どうして言い切れるの??」
言葉が震え、唇を噛み締める。手の震えがずっと止まらない。心臓の鼓動が早くなり、胸の奥で重い石がずんと落ちてきたようだ。
「長いこと人間の心の醜さを見て来た私です。そのくらいは分かりますわ。重々お気をつけを。アルバ様には知らせておきます。方時も一人にならないよう、アディのそばにいてください」
「わ、わかったわ!カミラの言う通りにする!」
声が少し裏返り、焦り混じりでそう答えた。胸が激しく上下するのを抑えながら、私は急いでアディを呼び、事情を話した。アディは一瞬驚いたような顔をした。
「なんだそいつ、気持ち悪いやつだな!心配は無用だ、アルバ様がいない時には私がいつでもそばにいるから!」
その様子を見て安心したカミラは、王の執務室へと急いだ。
「陛下……」
カミラの声は低く切迫していた。
「あの男は、王妃様を“護る”ために来たのではありません。陛下から奪うために来ています」
その言葉に、アルバの眼差しが一瞬で氷の刃に変わり、燃えるような憤怒を奥に潜ませた。
「……わかった。長いこと城で勤めてきたお前が言うなら間違いはない。だが、アディだけでは心許ない。常に気を張り、俺がいない時はマテオに警戒せよ!」
その声音には焦りと怒りが混じっていた。
「オリガは王妃である前に、俺の妻だ。オリガを傷つけるものは、何であろうとこの手で排除する……だが、俺も常に傍にいられるわけではない。だからこそ、お前を信じて託すのだ、カミラ」
「……はい!」
気持ち悪いやつだな〜!マテオ!(アディの真似)
ところでどうしてアルバは自分が守ってあげないんですかね?(怒)
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