マテオの不気味な動き
オリガ視点です。
「王妃様、新しく騎士団に配属されました。マテオと申します」
とはいえ、新しく配属された騎士に対して王妃として無視する事はできず……私はアルバの「無理して出てくる事はないんだぞ」という言葉を退けて、挨拶の場に出てきたのだけど……
彼は深々と頭を下げ、そして顔を上げた。その視線は、礼のためにしては長すぎ、私を見据えている。差し出された手は、私が取らぬまま宙に残り、わずかに震えた。
(やはり……この男は苦手!謁見が終わったらすぐに帰りましょう!アルバもきっとそうした方がいいって言ってくれる)
マテオを見るとぞわりと鳥肌が立つ。あの頃と同じ、からかうような笑み!
(でも何かしら、この嫌な笑みは……ただの悪意とは違う。幼い私を見ていたあの時から、何か根本的に異質なものを感じた。蛇のようにじっとりと、対象を測るような視線……)
「き、今日は気分がすぐれないみたい……」
助けを求めるようにアルバを見ると、私の方を見て軽く頷いていた。私はそれだけで心の底から安心できた。
(アルバ、私頑張ったわよね!)
今夜、アルバが私の部屋へ来て「よくやった」と私の頭を撫でてくれる事を思い浮かべながら、私はそそくさとアディを伴って自室に逃げた。
それからしばらくして……
回廊に出ると、石壁の影から人影が現れた。
「王妃様……こんな時間にお一人とは」
マテオの声。心臓が跳ねた。アディは今はライラの衣装部屋に行って私のそばにはいない。
彼は偶然を装っていたが、私の足音を待ち構えていたのは明らかだった。
「よければ少し……昔話をしませんか」
彼の視線が私の髪にまとわりつくように止まる。背筋が粟立つ。
(まただ……また、私が一人の時を狙って……一体何が目的なの??マテオは私が嫌いだったはずなのに!まさか、私にまた嫌がらせを?)
マテオがバラムに来てから、必ずと言ってもいいほど私が一人の時なのだ。偶然?それとも私の気の所為?
一体何が狙いなの?
(まただわ!)
今日は私が一人じゃないのがわかっているのか、マテオはじっと壁に隠れて私を見ていた。
その視線が不気味で、まるで壁に刺す影のように私を追いかけていた。
(なぜ? あんなに私を嫌っていたのに……)
彼が私を憎んでいるのか、それとも別の何かなのか、答えは掴めない。ただ不気味さだけが胸に沈殿していった。
「オリガ様どうしたんですか?顔色が優れないみたい。今日はもう休む?」
側にいたアディが私の顔を覗き込んで言う。
「うん、そうね。そうするわ……」
マテオの視線がずっとついて来るのを背中で感じていた。その視線は蛇のようにねっとりと……
(何なのあいつ!不気味で仕方ないわ……アルバ……助けて!)
やっぱマテオ怪しいな!!今のところマテオの不気味さはわかりますが、何が目的なのか、なぜオリガにつきまとうのかはわかりませんね……
最後まで読んで頂きありがとうございました。




