新人侍女レティの妄想
止まらない新人侍女レティの妄想劇場。
そこへ見慣れない侍女が割って入った。
「わかります!尊いですよね!オリガ様がその気になるまでお待ちになるアルバ様!素敵です!」
新人の侍女、レティだった。
「レティ、あんた何を突然……」
「だって……わたし、想像しちゃうんです!王妃様が少しずつ大人びていって、ある日ふいにアルバ様に『今日は手を繋いでくださいませ』って言うんです!そして王様が、ああもう我慢できない!って......」
「ストップストップ!どこまで妄想暴走してんのよ!」
アディが慌ててレティの口を塞いだ。
「きゃ!苦しいです!でも私の愛の語りを止めるなんて、アディさん、まさか恋敵……?」
「誰がよ!!私は侍女!ライバルじゃない!!」
「まあ......そういう立場を超えて燃え上がる恋も素敵です!」
「だから違うって言ってるでしょ!」
周りの侍女たちは、あっけにとられながらも笑いをこらえて肩を震わせていた。
アディの怒鳴り声と、レティの夢見がちな妄想は、今日も城の片隅で妙に賑やかに響いていた。
* * *
ガシャーン!!!!
「レティ!あんたまた失敗して!食器落として割るなんて何度目なの!」
「ご、ごめんなさい〜!でも大丈夫です!割れた破片だって愛のかけらみたいで……」
「何をまた夢みたいな事を言ってるの!?今日も一人で洗い場よ!」
こうしてレティは、いつものように厨房の片隅で、山のように積まれた食器と格闘する目になった。
「はぁ……でも、これはこれで素敵かも......」
泡にまみれた手を止め、レティの瞳がきらりと輝く。
「想像してください……夜更けの静かな食器棚。そこへ現れるのはアルバ様!」
両手を胸に当て、うっとりするレティ。
『レティ、こんな遅くまで働いているのか!』て声をかけてくださるんです。
「『まあ......お疲れ様』って、わざわざ王妃様までおいでになって!そしてオリガ様が言うんです。
『この食器、一緒に洗ってあげましょう』って!ああ〜尊いっ!手と手が泡でふわっと重なって!そしてアルバ様が......
『よし、二人で仕上げよう』なんて......! 王と王妃が皿洗い!庶民派!新しい愛の形!」
泡の飛沫を飛ばしながら両腕を広げるレティ。
「でもその時、王妃様が手を滑らせてお皿がカラン!って……!ああ〜!すると王様がさっと抱き寄せて!『怪我はないか?お前を傷つけるくらいなら皿など千枚でも構わぬ!』ってーーー!」
そこで背後から声が飛んだ。
「……何をやってるんだ?」
振り返ると、腕を組んだルイスが仁王立ちしていた。
ルイスとレティは同じ新人同士で、役職はルイスは騎士。でもレティと同じくへっぽこな新人騎士なので時々こうして罰を受けているレティを見に来るのだった。
ルイスはレティをからかいに来たんですね。ちなみにルイスは騎士としてはかなりへっぽこです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




