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わがまま王妃の奮闘記!  作者: 杉野みそら
第十一章

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オリガの魔力

老婆の審判のその後の小話です。オリガとアルバのあまあま劇場。

「ええっ?結局ハンナさんは辺境の地へ戻ったんですか?」


「ああ、お前の言葉を聞いて母に謝罪をして、母の愛を感じながら生きていくそうだ」


「お別れも言えなかったわ!」


 オリガは若干怒っていた。死ぬほど怖い思いをしたはずなのにお別れの言葉とは?ライラの時もそうだがオリガの考えがいちいち読めんな。その危機感の無さにハラハラする。


「それに、ハンナさんだって家族を持ちたいでしょうし。アルバにその……」


「俺?俺が何だ?」


 俺はオリガに顔を寄せて問う。いつのまにかオリガは俺に壁に追いやられている形になっていた。逃げ場はない。どうするオリガ?観念するか?


 ーー慌てる顔もまた可愛いな……


「アルバに……振られたじゃな……んっ!」


 俺はたまらなくなってオリガの可愛い唇を奪った。

 ああ、オリガ。たまらないな。やはりお前の唇は、とても甘美で、柔らかくて、甘い。


「ぷはっ!いっ、いきなり何をするんですか!?」


「何ってキスだが?覚えておらんのか?結婚の時にしただろう」


「もー!!それは知ってますって!私が聞きたいのは真剣な話をしているのになぜその時にするの!てこと!」


「お前が可愛いことを言うからな、仕方ない」


「えっ?何ですかそれ?私可愛いことなんて全然……」


 俺は笑いながらまたもオリガに口付けをする。


「ま、またっ……」


「またオリガが可愛いことを言ったからな。そうだ、これからお前が可愛いことを言うたびに俺がキスするのはどうだ」


 俺としてはこの世の何よりも尊い提案だ。


「無理です無理です!心臓が保ちませんわ!!」


 唇の前で小さなバツを作り、それ以上は無理だというオリガ。懸命な姿がかわいいな……


「どうして無理なんだ?」


「そ、れはアルバが……」


「ほらほら、どうした?言わないとまたキスするぞ」


「アルバがかっこいいか……ら……んっ」


 また可愛いことを言って……悪女オリガめ。俺を惑わせた罪だ。


 その瞬間、オリガの耳までが真っ赤に染まった。視線は落ち着かず泳ぎ、指先はそわそわとドレスの裾をいじっている。声は震え、吐息まじりに途切れ途切れだ。

 唇を閉じようとしても、どうにも熱がこみ上げて止められない。頬は薔薇のように色づき、恥ずかしさに呼吸まで浅くなっている。


 いかんいかん。やりすぎた。


 どうしてこのオリガを前にすると、自制心が効かないものか。


 俺はオリガの頭を抱えておでこに軽く口付けた。


「俺の負けだよ」


「えっ?」


 敵わんな、オリガには。

 結局はいつもオリガに負けるのは俺なんだ。  


 俺は老婆に下した審判の言葉を思い出した。


『この国を惑わす毒は、王妃を蝕み、我が心を乱した』


(オリガの撒く毒なら、この俺の体も心も、いくら蝕まれても構わないのだがな……)


 ーーこの小さな姫の、無邪気な魔力には王としての俺の力も及ばない。このアルバも膝を折るしかないのだ。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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