アルバの本心
「それにしてもすごいなオリガは、こんなものが作れるとは」
「えっ?」
「この耳飾りのことだ」
そう言ってアルバが耳飾りをいじる。
「あっ、ありがとう!//」
自分では不恰好だと思っていたけど‥‥‥
「アルバ、気にいってくれた?」
「もちろんだ」
「えへ‥‥‥//」
アルバが気に入ってくれたのなら、いいかな//
(なんだ今のオリガの笑顔‥‥‥、可愛いすぎんだろ)
「ん?」
なんだろう、アルバが急に顔を背けて‥‥‥
「アル‥‥‥」
「‥‥‥ッ!//今日はもう遅い。部屋に送ろう」
そう言ってアルバは私の体を軽々と持ち上げた!
「わっ、わああ!!」
「驚かせてすまん。少しの間我慢してくれ」
ピューっとアルバが口笛を吹くと、どこからともなく馬が走ってきた。
「我が愛馬だ。名前はソウタ」
アルバの馬! 初めて見た‥‥‥
「ソウタ、城に向かってくれ! オリガ、俺にしがみついて」
「は、はい!!」
ソウタがぶるる、と頷いたと同時に走り出した。早い!
「わぁ〜! 早いわ!」
「怖くないか?」
「ちっとも怖くないわ! 楽しい!」
そういえば、アルバと二人で馬に乗ったこと一度もなかったかもしれない。
「ねぇアルバ」
あっという間に城に着いて、アルバがソウタを馬小屋に預けて戻ってきた。
「ん?」
「これからも時々馬に、ソウタに乗りたいわ。とてもお利口さんだし、楽しかったもの」
「それはよかった、ソウタも喜んでいることだろう」
「今日の事、嬉しかったわ! その耳飾りのことも受け取ってくれてありがとう。それにソウタのことも。あと、」
「あと?」
「私を迷惑じゃないって、可愛いって、言ってくれてありがとう//」
「オリガ‥‥‥」
アルバは私の名を呼びながら抱きしめてきた。
「迷惑なものか。俺は一時でもオリガのすることを迷惑だと思ったことはない」
「うん、うん、ありがとうアルバ‥‥‥」
アルバの胸、安心する。やばい、また涙が‥‥‥
「送ってくれてありがとうアルバ」
結局私はアルバに抱き抱えられて自室の前まで送ってもらってしまった。
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい。あっ、アルバ! ちょっと屈んで!」
「ん? なんだ?」
ちゅ! 私はアルバの頬に軽くキスをした。
「おっ、おやすみなさいのキス‥‥‥//じゃ、じゃあおやすみなさい!!」
「‥‥‥ッ!!//」
バタンとオリガの部屋の扉が閉まる。俺は前髪をぐしゃぐしゃかき混ぜてその場に座り込んだ。
「クソッ‥‥‥//! どうして俺はこんな時でも自分の心を曝け出せないのだ」
オリガ‥‥‥迷惑なものか。俺はこんなにも。こんなにもお前が愛しいのに‥‥‥
(結局『好きだ』とは言えず終いか。情けない)
耳飾りをそっと撫でる。さっきまで抱きしめていたオリガの声が聞こえた気がした。
果たしてオリガは死を回避することができるのか!?
できる!できるよねぇこの状態は!?
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