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まだ慣れないけれど

「オリガ!! クソッ‥‥‥」


 自分でもカァーッと頭に血が昇るのがわかった!と同時に御意見番のババアを睨みつける。


「お前はクビだ!」


「なっ!! アルバ!!」


 オリガと俺は最近やっと心が通じ合えた気がしたのに‥‥‥


「これ以上の口出しは無用だ! 殺されないだけありがたいと思え!!」


 俺は本気の殺気を込めて言い放つ。本当に殺してやりたい!


「ヒェェ!」


 ドタドタ! バタン!


 慌ててババアが立ち去った。


「これは‥‥‥」


(オリガが俺に渡そうとしてくれていたものか?)


 床からそれを拾い、包み紙を開けると、見事な装飾を施された耳飾りが目に入った。


(確か、これを作ったとオリガは言っていた)


「アルバ‥‥‥、これ、私が作っ、あなたに渡そうと‥‥‥思っ、て‥‥‥」


(俺のために!)


 オリガ‥‥‥!!


 * * *


 ハァ、ハァ、ハァ‥‥‥


 どこをどうやって走ってきたかわからない。走って走って、私は城の中庭に来ていた。


 ひたすら泣いて、走って、いつのまにか日は暮れて夜になっていた。


 ーーーーあの日、アルバに抱きしめてられて、キスされて。


 《でもオリガ様はお妃様ですし、特別なのかもしれませんね》


 アディの言う通りかもしれないと浮かれていた!馬鹿みたい、アルバは王だ。しかもかっこよくて男らしい。私以外にも特別な人なんてたくさんいるかもしれないのに!


「なのに私‥‥‥、迷惑だったよね。気付かなくて本当馬鹿みたいだ!」


 でもどうしようもなく溢れてくる涙。


「やっと見つけた。ここにいたのか」


「えっ、アルバ‥‥‥?」


 ぐいっ!


「あっ」


 アルバが私を自分の腕に引き寄せる。


(馬鹿だな私、こんな時でもまだ‥‥‥追いかけてくれて嬉しいだなんて!)


 でもそのアルバの優しさが、今は痛い。


「離して! おろして!」


 ジタバタと暴れるが、私の力がアルバに通用するはずもなく、私はあっという間にアルバの腕に閉じ込められてしまった。


「何故だ? 俺はおろさんぞ」


 ぎゅ!


 アルバが私を包み込む。


「ああ、よかった。オリガ、心配した‥‥‥」


 そう言って安心したように私の髪に口付けるアルバ。


 どうして? 私のおままごとに付き合わされて‥‥‥、アルバは迷惑なんじゃなかったの??


 わからない、私アルバのことがわからない。


「ど、どうして? 迷惑なんじゃなかったの!? 私のこと」


「‥‥‥」


 アルバは答える代わりに抱きしめる手に力を込めた。まるで私を離さないとでも言うかのように。


「‥‥‥、あれはただの戯言(ざれごと)だ、御意見番の。俺の真意ではない」


「御意見番?」


「お前と俺の結婚に最後まで反対していた奴らだ。お前が幼すぎるからと言ってな」 


 ‥‥‥もしかしてその人たちが私とアルバを離していたのかしら?


「じゃ、じゃあ、私は」


 アルバにとって、迷惑じゃない?


「迷惑じゃない。誤解させて悪かった‥‥‥。俺が口下手なばかりにすまん。それとあのバ、御意見番はもうここには近寄らせない」


「そ、そうだったんだ、よかった‥‥‥、ふぇっ」


 安心したら、また涙が出てきた。


「お、おい、泣くなよ」


「ごめんなさい、安心したらまた‥‥‥」


(私、迷惑じゃなかった!)


「うん‥‥‥」


 ちゅ!


 アルバは頭を撫でながら、また私に口付けてきた。私はまだ混乱していて、心の準備ができていないのに//


「迷惑なものか、お前は俺の嫁だ。それに‥‥‥」 


 それに??


「こんなに可愛い」  


「かっ、かわっ!//」


 ボンッ! という音がアルバに聞こえそうなほど一気に顔が真っ赤になった。


「ははは、面白い顔だな」


「だってアルバが//」


 急に褒めるから//今までは何考えているかわからなかったのに!


「俺が、何‥‥‥?」


 ん? とアルバがその整った顔を寄せてくる。いやいやいやいや反則! イケメンすぎる!


「ああああアルバが‥‥‥//その‥‥‥、」


「うん」


「アルバが‥‥‥、急に私を褒めるから‥‥‥」


「うん」


 ごめん、と言いながらもアルバはまた私に口付けてきた。


「オリガが可愛いくて、我慢できなかった。ごめん」


「〜〜〜〜!!////」


「ふっ、余計に真っ赤になってしまったな」


(ヒェ〜!//そんな低い声で耳元で囁かないで!!)


 ん??


「‥‥‥っ!! アルバ、それ!」


「ああ、これか? どうだ、似合ってるか?」


 私が視線を向けたそこにはアルバの耳で揺れる耳飾り。


 私が作ったやつだ!! 付けてくれたの??


「う、うん! 似合ってる!」


 私がそう言うと、アルバはまた無言で私を抱きしめてきた。


「むっ!!」


「オリガ、もうどこへも行くな」


「はっ、はぃ‥‥‥//」


 まだ慣れない、アルバの逞しい胸‥‥‥


(でも)


 さっきまでの涙はもう引っ込んでいた。私はそっとアルバの腕に体を預けた。


(不思議‥‥‥)


 あんなに痛かった心が、今はこんなにも暖かい‥‥‥

よかったァァ!!( ; ; )オリガよかったねぇ!!


余談ですがオリガは体が他の女性より小さいので特別幼く見えます。その理由はまた今度書きます。


ここまでお読みいただきありがとうございました!

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