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わがまま王妃の奮闘記!  作者: 杉野みそら
第十一章

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ハンナの一件

国王アルバの前で不敬を働いた伯爵夫人とその娘ハンナ。彼女達の審判が、玉座において下されようとしていた。

 翌朝、王城の大広間にて。

 

 玉座に座したアルバの前に、伯爵夫人とその娘ハンナが引き据えられていた。


「おのれは俺に王妃がいると知っていながら、自分の娘を側室にと進言した。そしてその娘も、王妃を侮辱した。その不敬、断じて許されぬ」


 国王アルバの低い声が、冷たく広間に響く。


 夫人の顔は青ざめ、側に立つハンナも俯いたまま震えている。法廷大臣たちは息を呑み、処遇を待っていた。


「爵位を剥奪し、一族郎党を流刑とせよ!」


 その瞬間、広間にざわめきが走った。

 

 誰もが、この親子、果ては一族郎党までの行く末を予測し、その未来は決して明るくないことを悟った。


 しかしただ一人、この場と緊張感にそぐわない輝きを放つ存在がいた。オリガだ。オリガはアルバの傍らに静かに歩み寄る。


「アルバ……」


 オリガはかすかに首を横に振る。


「夫人とその娘は確かに不敬を働きました。でもきっと、一時の愚かな野心に駆られてしたことです。爵位を奪えば、一族全てが路頭に迷います。せめて僻地への移封(いほう)で、ご慈悲を。どうか……」


 広間は静まり返った。若い王妃の言葉に、法廷大臣たちも驚きの表情を浮かべる。


 アルバはしばらく沈黙し、その鋭い緑の眼差しで夫人を射抜いた。そして低く告げる。


「……王妃の恩寵により、爵位はそのままとする!ただしーー辺境の地へと領地替えを命じる。二度とこの城に足を踏み入れるな」


 夫人は崩れ落ちるように頭を垂れた。


「おお、オリガ様!王妃様!あのようなことをしたにも関わらず、恩寵に感謝致します!あああ!」


 広間には「王妃の慈悲」を(たた)える声と、伯爵夫人の嗚咽がいつまでも響き渡った。


 だが、これだけの恩寵を受けてもなお、王妃に憎悪の念を送る者がいた。ハンナだ。


 屈辱を受けたハンナには、オリガに対する逆恨みに似た憎悪が芽生えていた。


(母が恥をかいたのも、爵位が遠ざかるのも、全てあのオリガとかいう少女みたいな王妃のせい!みんなおかしいわよ!あのちんちくりんの小娘がなんだっていうのよ!お母様まで頭を垂れて……あの小娘がいなければ……!)


 その瞳には炎が燃え盛っていた。燻り続ける執念の炎がオリガを射抜くように揺らめいていた……


野心家で気の強い娘ハンナ。このままでは終わりそうにないと思うけど……


ここまでお読みくださりありがとうございました!

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