アルバの揺れる心
オリガ視点です。オリガはアルバが戻るまで何度も完成したドレスを翻し、アルバの到着を待っていたが……
夜、夫婦の寝室にて。私は一人完成したドレスの煌めきを楽しんでいた。
絹の裾が揺れるたび、燭台の光が反射して金のきらめきが部屋に広がった。鏡の前に立つ私の胸は、緊張と期待で高鳴っていた。
その時――重厚な扉が静かに開き、アルバが姿を現した。
「アルバ……!」
アルバの足音が近づくごとに、鼓動が跳ね上がる。私は振り向くこともできず、ただ鏡越しに彼を映した。
「……オリガ」
低く囁く声が耳に届く。
次の瞬間、アルバは背後に立ち、鏡の中で私を見つめていた。その瞳には驚きと、言葉では言い尽くせぬ熱が宿っている。
「……夢かと思った」
彼はゆっくりと息を吐き、私の肩に手を置いた。
「お前は……女神そのものだ」
歯の浮くようなアルバの言葉に頬が熱に染まり、言葉を失う。そんな私を振り返らせるように、アルバはそっと手を取った。
「惚れ直した……何度でもだ」
囁きは甘く、切実で、胸の奥を震わせた。
低くて優しいアルバの声が、いつもより近くて……耳元で甘く響いて。
「アルバ……そんなふうに言われたら……もう、立っていられないわ」
彼は微笑むと、そのまま私を抱き寄せた。金と絹の衣擦れの音が、二人を包み込む。
香炉の甘やかな香り、胸板に触れる鼓動、そして耳元で落とされる囁き。
「……お前だけだ。俺の光も、命も、すべて」
私は彼の胸に身を預け、目を閉じた。ただ二人きりの部屋で、愛と誓いだけが静かに満ちていく。
アルバに手を取られ、私は窓辺へと導かれた。 カーテンが静かに揺れ、外には深い夜空と、黄金の月が煌めいている。遠くの街灯りが宝石のように瞬き、世界が祝福しているようにさえ思えた。私は思わず微笑む。
「もうすぐ……私の誕生日ね。楽しみだわ。あなたと迎えられるなんて」
その言葉に、彼の眉がわずかに動いた。複雑な影が表情を横切る。
「……そうだな」
「どうしたの?」
問いかけると、彼はためらいがちに私の背後へまわり、背中からそっと抱き寄せた。逞しい腕に包まれ、胸の奥まで熱が広がる。
「俺は……王としては、お前を国民に見せたい。誇りであり、光であり……すべての祝福を受けるにふさわしい存在だから」
低い声が耳元で震える。
「でも、夫としては……本当は誰にも見せたくない。お前のこの美しさを、俺だけのものにしたいんだ」
私は振り返ろうとしたが、彼はそのまま強く抱きしめ、言葉を封じるように唇を重ねた。 月明かりの下で交わされた口づけは、甘く、苦しく、そして切実だった。
唇が離れると、彼は私の額にそっと触れ、深く囁いた。
「……だから、どうか理解してくれ。王としては見せたい。だが……俺の心は、夫として嫉妬に燃えている」
私は微笑み、彼の胸に頬を寄せた。
「ええ……私も同じ気持ちよ。あなたにしか見てほしくない。でも、あなたの決めたパレードだから……誇りをもって歩きたいわ」
窓の外で、月が静かに二人を照らす。
王と王妃ではなく、ただ一組の夫婦として――永遠の誓いを心に刻むように。
アルバ〜!!(赤面)//アルバがこんな事をスラスラ言えるようになったのはオリガの前だけでしょう。二人は最初の頃とずいぶん変わったと思います。アルバの複雑な気持ちもオリガは理解しているようですね!
ここまでお読みくださりありがとうございました。




