ライラのドレス作り
オリガ視点です。
「ここがあなた専用の作業所よ。窓際には黄金の格子模様が光を受けてゆらめき、柔らかな白い絨毯が足元を包むの。疲れたら隣の部屋で休んでね――あの砂漠の風を思い出せるように、香炉にはデーツやミントの香りを焚いてあるの」
私はライラが寂しくないように、ライラの故郷風に寄せて作業所の改装をお願いした。
少しでもライラが働きやすくなるように。
ライラは目を輝かせ、息を呑んだ。光がカーペットに反射して揺れ、壁にかかる幾何学模様の装飾が微かに金色にきらめく。
故郷の温かさと静けさが、まるで部屋全体に息づいているかのようだった。
「も、もったいないお心遣いです! こんなに広くて、心地よくて……私のためにここまで……」
アディが小さく鼻を鳴らす。
「全くオリガ様は甘い……砂糖菓子よりも甘いんだから!」
ライラは胸の奥まで温かさが広がるのを感じ、針を握る手に力が入った。
「私、オリガ様のために、一生懸命頑張りますわ!」
ライラは小さく息を整えると、ゆっくりと作業台に向かった。布は絹で、手に取るだけで光沢が手に伝わる。彼女の指先はわずかに震えていたけれど、針を持つとその手つきは驚くほど正確で、見るからに器用さを感じさせる。
私はそっと椅子に座り、目を輝かせて見守る。アディも横に立ち、鋭い目でライラを監視している。
アディの視線は厳しく、少しの手抜きも許されないという空気を放っている。緊張感は途切れず、部屋中に張り詰めた静けさが漂った。
ライラは布を広げ、私の青い瞳に合わせた控えめな装飾を慎重に選ぶ。王妃にふさわしいデザインで、全体に金色の刺繍が施され、光を受けるとまるで朝日にきらめく砂丘のように輝く。
裾や袖のラインも丁寧に仕上げ、布の光沢と刺繍の金が相まって、豪華さと品の良さが同居したドレスになっていく。
私は息を潜めて見つめる。ライラの集中した手の動き、慎重に縫い合わせられる布の一針一針……そのすべてが、この夜だけの勝負のように思えた。
アディは私の横で腕を組み、鋭い視線をライラに向け続ける。
『油断するな……ほんの少しでも手抜きがあれば、オリガ様に迷惑がかかる』
とでも言いたげだ。ライラは視線を感じつつも動じず、さらに針を進める。
時間が経つにつれて、布が形を成し、光沢のある絹に金糸が走り、控えめながら青い瞳を引き立てる見事なドレスが現れた。完成形を見ると、私の胸は高鳴った。
――これなら、パレードでも誰もが目を奪われるに違いない。
アディはまだ疑いの目を向けていたけれど、ライラの真剣な手つきとドレスの出来栄えを見れば、少しずつ緊張が和らぐのも理解できた。私の信頼が、この部屋の緊張を少しだけ柔らかくしている。
ライラは深呼吸して、完成したドレスを前に微かに笑みを浮かべた。その笑みには、以前の傲慢さはなく、ただ真摯に任務を果たした満足感があった。
私は胸の奥でそっと安心した――これで、ドレスは完璧。信頼と努力で、素敵な一着が仕上がったのだ。
いよいよドレスが完成しました!ライラが素早く絹に糸を通し、仕立て、ドレスが着々と仕上がっていく様子をワクワクして見ていただけると嬉しいです!
ここまでお読みくださりありがとうございました。




