オリガのドレス
オリガ視点です
とは言ったものの……
私はオリガ。もうすぐで私の誕生日なんだけど、
アルバが宰相達と相談して、国を挙げて私の誕生日を祝ってくれると言っていた!
それは素直に嬉しい!
嬉しいんだけど……
「どうしよう〜!!祝辞の際に着るドレスが一着もない!!」
以前の私が散財して取り入れた衣装やドレスは仕立て屋に全部返してしまったのよね……
もう過去の自分の散財っぷりが恥ずかしくて恥ずかしくて、まるで封印するかのように半ば強引に返したの。
今の私のドレスはアルバが褒めてくれた青いドレスと、伯爵家の城下町で買った夜色のドレス、あとはなるべく低予算で買ったバラム風の来客用の衣装と……
「いずれにしてもパレードに着ていくにふさわしいドレスなんか無いわ!!」
私は思わず鏡台の前で叫んでしまった。
私の髪を整えてくれていたアディがびっくりして櫛を落としかけた。
「びっくりした〜。今日はどうされたんですか?またアルバ様のこと?それとも今日の髪は別の髪型にしましょうか?」
「アディ〜!!聞いてよぉ〜!」
私は一連の出来事をアディに説明した。
「えっ?パレードに着ていくドレスがない??オリガ様が主役なのに!?」
それを聞いてアディはまた櫛を落としそうになっていた。
「驚きますよそりゃ。てっきり用意されてると思ってましたもの!でもお城御用達の衣装係に頼めばなんとか間に合うんではないですか?」
「ダメダメ!!私は一度あの衣装係と衣装を返す返さないで揉めたことがあるの!その時に言われたの。もう二度とオリガ様のための衣装は作りませんって」
「なるほどねぇ。でもあの衣装係はホーセイ?がしっかりしてない割にぼったくりで有名でしたからねぇ〜バラム城での評判もあまり良くなかったし。確かアルバ様のお母様が病気がちになったところに弱味につけこんだとかなんとか……まぁいい噂は聞きませんね」
アルバのお母様……戦場に行ったご兄弟を次々と亡くされてやがてお亡くなりになったお方……
「そ、そんな人の弱味につけこむような商売をしているなんて許せない!!ますます嫌いよ!」
「ですよね!オリガ様ならそうおっしゃると思ってた!」
「でも実際ドレスがないのは問題だわ……私が作ってもいいのだけど……」
「またぁ?アルバ様に今度こそ止められるよ?いくらオリガ様が器用でも万一針で怪我したらどうするの」
「う〜ん、あっ!!そうだわ!いいことを思いついたわ!」
「またぁ??オリガ様の思いつきでいいことは大概悪いことだと思うんだけど……」
* * *
気持ちを決めて、私はアルバの寝室へ向かう廊下を歩いた。壁には王家の紋章が輝き、ゆるやかに香炉の煙が漂っている。
扉を開ける。もうノックは必要なかった。
深い青と金のタペストリーが壁に掛かり、天井には豪華なシャンデリア。大きなベッドには重厚なカーテンがかかり、そこかしこにアルバの趣味で集められた香料の瓶が並び、淡く甘い香りが部屋いっぱいに広がっていた。いつ見ても豪華な部屋……
「アルバ……」
アルバに声をかけると、アルバは窓際の椅子に腰掛けて「ん?」とこちらを見た。
背筋を伸ばし、静かに座るその姿は、まさに王の風格。
でも、寝室の柔らかい照明と香りに包まれて、どこか安心できる雰囲気もある。
「あのね、話があるの……」
「なんだ、言ってみろ」
アルバは私に手を伸ばして、あっという間にその逞しい腕の中に抱き込んでしまった。
私は深呼吸して小声で囁く。
「ライラを衣装係にしたいの。彼女なら一晩で素敵なドレスを作ってくれるはず!」
アルバの眉がわずかに寄った。
「……ライラか。以前の件を覚えている。いずれはオリガの側にと約束しはしたが、あれは建前ではなかったのか」
「建前?なんですかそれは?」
「……いや、いい……お前は可愛いな」
(だがその無邪気な可愛いらしさが、時に危うくもあるのだ)
「なんですかその難しい顔は!まさかまだライラを疑っているのですか?」
「ああ、俺の妻が殺されかけたんだぞ。疑うなという方が難しい」
「もう大丈夫よ。ライラも改心してるし、私も信頼してるんだから。それに私は生きているわ!あなたの腕の中で……!」
その言葉に、アルバは少しだけ肩の力を抜いたようで、寝室の静かな香りに包まれながら、考え込むように沈黙した。
オリガの無邪気さとアルバとアディの慎重さ、何だかんだでオリガを許してしまうアルバとアディ、この三人が大好きです。
※アルバの部屋とアルバの雰囲気を王らしくしようと頑張ったのですが見事に失敗しました。スルーしてください(笑)
ここまでお読みいただきありがとうございました。




