オリガは料理を振る舞いたい!
お料理がメインです。オリガ視点です。
意外と何でもできるオリガをご覧下さい。
厨房に入ると、空気が一変した。熱せられた鉄板の匂いと、火のはぜる音。料理長は、王が自ら監督に立つと聞かされて目を白黒させていた。
「お、王妃様が……調理をなさる……?そ、それも陛下の御前で……」
「心配するな。俺が監督する」
アルバの低い声が、余計に料理長の肩をこわばらせる。
「オリガ様、頑張ってください!」
「私も手伝いますから!」
アディとカミラが両脇から励ましてくれる。
私は胸を張って頷いた。けれど――。
チーズを取ろうとした瞬間、足がもつれ、思わず前のめりに。
「危ない!」
アルバが即座に腕を伸ばし、私の手を取った。しっかりと支えられて、心臓が跳ねる。
「……全く、言わんこっちゃない!」
「ごめんなさい、アルバ。でもさすがアルバね!どんな時も一番に私を支えてくれる……」
そう言って目をキラキラさせて俺を見上げるオリガ。
(うむ……オリガのこの潤んだ瞳を前にすると何も言えん!)
私は木のまな板の上にズッキーニを並べ、包丁を握った。
私が包丁を持ったからだろう。アルバとカミラがヒュッと息を呑む声が聞こえた。
「見てて!私は結構うまいんだから!」
お母様の目を盗んで、故郷の台所を見て覚えたんだもの!料理長に隠れて包丁の使い方も教えてもらったわ!
薄く均一に切り揃えるたび、刃が果肉をすっと通り抜ける。輪切りを塩で軽く覆い、余分な水気を抜く。待つ間、私はトマトソースの鍋を火にかけた。
「ヒェェ〜……、オリガ様、どうかやけどにはお気を付けください」
料理長が泣きそうな声で懇願する。
「任せて!!」
(この料理は私の得意料理だったのだから!行程も全て頭の中に入っているわ!)
オリーブ油でじっくり炒めたにんにくに、赤く熟れたトマトのピュレを流し込む。
香りたつ湯気が頬を撫でる。私は木べらで丁寧に混ぜながら、塩とバジルを少しずつ加えた。
私が次々に行程を仕上げていくので、カミラも料理長もアルバもそのうち黙ってただ私が料理を作るのを見守っていた。
アディだけは最初から何も言わず、私の包丁さばきや火の通し方に見惚れていた。
水気の切れたズッキーニを一枚一枚、熱したフライパンに滑らせる。油を吸いながらズッキーニが色づき、私はやがて汗をかいてきた。焼き上がったズッキーニをオーブン皿に敷き、トマトソースを重ねる。さらにモッツァレラとパルミジャーノを散らす。
「もう一段……」
小さく呟き、私は層を重ねていく。ズッキーニ、トマトソース、チーズ。重ねるごとに皿の中が豊かに満たされていき、まるで物語を紡いでいるかのように楽しかった。最後に残ったチーズを惜しみなくかけた。
「あとは焼くだけよ!」
私がもう少しで料理が完成するという喜びでアルバ達の方を振り返り、両手でそっと耐熱皿を抱えようとした時、アルバが私の手を止めた。
「それは俺が持とう。この中に入れれば良いのだな?」
そう言ってアルバは軽々と耐熱皿を持ってオーブンの扉を開いた。
「アルバ、ありがとう。実を言うとあのお皿少し重かったの!」
「だと思った。本当に危なっかしい……」
アルバは呆れたようにため息を吐いたけど、怒ってはいなかった。
よかった。あとは焼き上がりを待つだけね……
アルバ、喜んでくれるといいな……
オリガが汗を滲ませながら、一生懸命料理を仕上げていく様子を感じていただけると嬉しいです。
次回は実食!果たしてアルバはどういう反応をするのか?!
ここまでお読みくださりありがとうございました。




