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わがまま王妃の奮闘記!  作者: 杉野みそら
第八章

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老侍従の安心

「はあ……全く、俺の気も知らないで……」


 オリガはそんな嘆きなどまるで耳に入っていない様子で、子どものように弾む足取りで扉の向こうへ駆けていく。

 その背中からは「やっと叶う!」という喜びがはじけるように伝わってきて、アディと二人できゃっきゃと笑いながら消えていった。


 残されたアルバは、こめかみを押さえて深くため息をつく。


(なんなんだ、あの小さき愛らしい生き物は……何度触れても、触れられても慣れない)


 深く椅子に沈み込むアルバ。その背に、長年仕える老侍従の低く落ち着いた声が届いた。


「陛下――よろしゅうございましたな」


 低くしゃがれた声に、アルバは顔をあげる。


「……よろしい、だと?」


 わずかに目を細めるアルバ。


 老侍従は(うやうや)しく(こうべ)を垂れつつも、どこか含みのある笑みを浮かべる。


「ええ。戦場で猛き獅子と恐れられた陛下が、かように一人の娘御に振り回されるお姿を拝めるとは……。長く生きて参った甲斐がございました」


「……!」


 アルバは言葉を詰まらせ、思わず机の上の書類に視線を逸らした。


 老侍従はその様子を見て、さらに静かに付け加える。


「ご心労もまた、陛下が愛されておられる証。どうか、末永くそのお苦しみを味わわれますよう――」


「……茶化すなよ。ヤマト」


 アルバの耳がわずかに赤く染まる。


 ヤマトと呼ばれる老侍従はあくまで(うやうや)しく控えているが、その声色には老侍従らしい、確かにからかい混じりの親しみが滲んでいた。


 執務室には、国王(アルバ)の苦い笑みと、侍従たちの忍び笑いがいつまでも漂っていた。


ただものではない雰囲気を醸し出す老侍従ヤマト。

ヤマトの前では完全無欠のアルバの表情も少し和らぎます。


ヤマトを登場させたかっただけの話なので短いです。汗


ここまでお読みくださりありがとうございました。

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