アルバの決意
アルバ視点です。
西の森の奥――そこには、季節に逆らい、常に瑞々しく咲き誇る不思議な花々の園がある。
子供の頃から、俺は世のしがらみや重圧に押し潰されそうになるたび、ここへ足を運んではひとり思索を重ねてきた。
もう何度目になるだろうか。この西の森の奥にある花畑へと足を運んだのは。
陽の光を受けて揺れる花々は、どんな時も変わらず俺を迎えてくれた。王としても、夫としても、答えを見失いそうな時――俺にとって、この場所は逃げ場であり、救いだったのだ。
オリガをここへ連れてきたのは二度目になる。その時に俺の過去を聞かせてほしいと尋ねられたことがあったが、
「ーーまだ話せない。この王としての重圧は、お前には重すぎる」
と答えて話さなかった。幼い彼女に背負わせるには、重すぎると思ったからだ。
だが……伯爵の娘ライラの布の件で、ほんの一瞬でもオリガを失うかもしれないと感じたあの恐怖。あの時、胸の奥に固く閉じ込めていたものが、少しずつほどけていくのを感じた。
俺はあの時ほど、オリガを失う恐怖に怯えた時はないだろう。
そしてあの時ほど、己の力の無力さを痛感したことはない。俺は常に揺るがぬ者と見なされてきた。冷徹にして無敗、いかなる嵐も切り抜ける王だと。
だが実際には、一人の少女の細い息づかいが途絶えかけただけで、胸の奥が裂かれるほどに乱れていた。
――王国を守るよりも、彼女を守れぬことの方が、恐ろしい。その事実に気づいた時、俺はもはや「完全無欠の王」ではなくなっていた。
オリガがソウタに草を与え、こちらを向いて微笑んでいる。俺はオリガに同じように微笑み返す。
今の俺はたった一人の、こんな小さな少女に振り回されている。
すみません少し短いです!
果たしてアルバは再びこの場所へオリガを連れてきて何を話すのか!?
ここまでお読みいただきありがとうございました。




