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わがまま王妃の奮闘記!  作者: 杉野みそら
第五章

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贈り物の布

 回廊を抜け、大広間に足を踏み入れると、天井から吊るされた紺碧の染め布がひらめき、光を受けて宝石のように輝いていた。


「綺麗ね!アルバ!見て、この調度品なんて、金細工でアデニウム(砂漠のバラ)が刻まれているわ!」


 ただ微笑んで頷くアルバの横で私が大はしゃぎをしていると、背後で伯爵の声がした。


「オリガ様」


カレドが柔らかい声で呼びかけた。


「どうやら、この屋敷の染め布をことのほか気に入っていただけたようですね」


「ええ……どれも素晴らしくて……」


(やばい!ここが伯爵様のお家だという事を一瞬忘れていたわ!私ったらすっかりはしゃいじゃって……)


 私は頬を紅潮させたまま答える。


 カレドは従者に目配せし、一枚の布を運ばせた。それは、深い紫に銀糸で月と星を描き出した、息をのむほど見事な布だった。


「これは我が領地の最高の職人たちが手がけたもの。代々、賓客(ひんきゃく)にのみ贈られる品です。もしよろしければ――オリガ様に差し上げたい」


 私は思わず息を呑んだ。


 「そ、そんな……私には過ぎたものです」


 伯爵は優雅に首を振る。


 「いえ、私にとっては誉れなのです。この布は、夜空を映す鏡とされております。どうかオリガ様の手で、新しい物語を与えていただきたい」


 夜空を映す鏡……その言い伝えどおり、布はキラキラと星を散りばめたように輝きを放っていた。


(こんな見事な布を頂いていいのかしら?でも、頂かないと失礼かしら?)


「ありがたく……頂戴いたします」


 私は紫地に銀糸で星月を織り込んだ布を胸に抱き、その繊細な光に息を呑んだ。それに驚くほど軽いしなめらかだわ……!


 私は思わずアルバを見やった。アルバは小さく笑い、頷いた。


「受け取っておきなさい」とーー


すみません今回は少し短めでした。

夜空を映し込んだような布の輝きと、オリガの喜びを一緒に感じてもらえたら嬉しいです。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

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