オリガの勉強!
オリガ視点です。
「えっアルバ様と一緒に寝たのに何もしなかったの?」
アルバの部屋から朝の支度を整えるために自室に戻って、鏡台の前に座る私にアディがくってかかった。
「??一応手は繋いだけど、なんか間違えてた??」
「あーーーーもう!!このお嬢様は!!故郷で何も教わらなかったの?」
「えっえっ?いえ、一通りの礼儀作法は完璧に教えられたと思いますけど‥‥‥」
アディはオリガの頭の先からつま先までジロジロ眺めた後ため息をついた。
(まあ確かに、アルバ様はオリガ様へ配慮したんだね。アルバ様から見たらオリガ様は小さな可愛い汚したくない天使だろうよ)
「いえ、なんでもないんです。オリガ様はそのままでいいんです」
(まあ夫婦の問題に私が口出すこともあるまいな)
でも問題は向こうの方からやってくるのが世の常というものであって‥‥‥
* * *
玉座の間の端、影の中から巫女が一歩進み出た。黒絹の衣は深海のように光を吸い、裾に縫い込まれた銀糸は月明かりのように冷たく鈍く光る。胸元から垂れる数珠は磨かれすぎて色を失い、手首には黒檀の護符。香の煙に溶けたその姿は、生きた人形のように無表情だった。
「だからオリガにはまだ早いと言っておろう」
声は低く、どこか湿っている。
アルバは玉座で片肘をつき、冷ややかに視線を返す。
「お言葉ですが、昨日オリガ様はアルバ様と寝所を共にされたと聞きました」
「それがなんだ? お前には関係ないだろう」
巫女は薄く唇を歪め、黒い袖口から骨ばった指をのぞかせた。
「いいえ、関係あります。この国の血筋の問題なのですから」
「事によっては……御側室をお考えいただきたく存じます」
「いい加減にしろ!」
アルバの声が玉座の間に反響する。
「俺はオリガ一筋だ!」
* * *
(やれやれ、巫女にも困ったものだ)
俺はアルバ。バラム王国の国王であり、オリガの夫だ。
今このバラム城に入城を許されている巫女の説教を聞いていたところだ。
「俺とオリガの問題なんだからほっといて欲しいというのが一番だが‥‥‥」
【この国の血筋の問題なのですから】
「……クソッ!そんなに急かすなよ、まだオリガは子供なんだ。大事にしてやりたいのだ‥‥‥」
* * *
「アディ、これはなんですか?」
「見てわかるだろ、エロ本だよエロ本」
「ェェェェ……エロ本!?」
エロ本といえば、私の故郷ロミナでは、お母様に固く禁じられ、図書館でも厳重な鍵で封じられていた書物……。胸の奥で、好奇心と罪悪感が一度に息を吸い込むようにふくらんだ。
「私が読んでいいのでしょうか??」
「なんでだよ、むしろ読まなきゃいけないんでしょ? アルバ様のことをもっと知りたいんじゃないの?」
「ッ……知りたい! 私、アルバのこともっと知りたいわ」
「はい、じゃあこの書物を読んで勉強してね。私は自室にいるから。なんかあったら呼んでね」
「あ、ありがとう、アディ!」
ーー扉が閉じ、静寂が訪れる。
夕暮れの光は細長い格子窓から差し込み、赤褐色の絨毯の上で金粉のように揺れていた。
私はそっと表紙に触れた。革装丁の表面は驚くほど温かく、掌にしっとりと貼りつく。
開いた瞬間、胸がどくりと跳ねた。紙の香りに混じって、知らぬ世界の甘く熱い匂いが鼻をくすぐる。
‥‥‥一行、また一行。
意味はわかる。けれど、その意味が頭の中で形になるたび、頬の奥まで熱がのぼっていく。指先が震え、ページの角をうまくつかめない。背中に汗がじっとりと浮き、耳鳴りが遠くで鳴る。
「……っ//」
まぶたを閉じても、活字の向こうの情景が脳裏にこびりついて離れない。
気づけば窓辺の影は長く伸び、外では礼拝堂の先端が最後の光を受けて燃えていた。遠くで祈りの声が波のように押し寄せてくる。
(どうしよう、余計にわからなくなったわ//ひょっとしてアルバはこういう事をしたいの?私に?いやいや……アルバに限ってそんな//)
私は本を閉じ、額に手を当てた。鼓動はまだ早いままだ。
「オリガ様〜! 今日もアルバ様がお呼びだよ! どう? 少しはわかった?」
「……// わからなかった……」
「はは、その様子じゃそうだろうね。まあおいおい慣れるといいさ。それより夕食をアルバ様に誘われてるから急いで準備しないと」
「あっ! そうだ、あのアクアマリンの髪飾り、もう一度つけてくださらない?」
【……また明日も、これを見せてくれるか?】
アクアマリン、約束の石……アルバ、私はまだあなたをほんの少ししか知らないけれど‥‥‥喜んでもらいたいの。
「おっけー!」
頑張るオリガ様かわいいな!!革で封されているエロ本のねっとりとした質感を感じていただけたら嬉しいです!
次回オリガとアルバは夕食で何を語るのかな?
巫女は人間の心とかないから言いたい事だけ言っているね。アルバも大変だ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。




