約束の石
オリガ視点です。
(アルバの部屋の前に来たけど、どうしよう?なんて言って入ればいいのかな?)
「何をしているのだ?早く入れ」
漆黒に塗られた大きな扉には、金色のアラベスク模様が緻密に刻まれている。月のモチーフが施された真鍮の取っ手が星の光を反射し、暖かな輝きを放っていた。扉がギィ‥‥‥と低く軋み、内側から開くと、黒髪に緑色の瞳、私が作った耳飾りをつけたアルバが立っていた。
「アルバ‥‥‥」
私は改めてアルバのかっこよさにため息を吐く。
アルバの部屋に通される。初めてではないけれど、やはり王の私室は息を呑むほどの豪奢さだ。壁には青と金の幾何学文様のタイルが貼られ、天井からは真鍮細工のランプがぶら下がり、虹色の光を床に散らしている。厚い絨毯の上を歩くと、足音が吸い込まれていった。
「オリガ、何か飲むか?」(オリガは酒は飲めないが‥‥‥)
「あっ! じゃあハーブティーをお願いします!」
少し空いているカーテンが夜風に揺れていた。
「わぁ〜‥‥‥アルバの部屋にもバルコニーがあるのね!」
窓の向こうには、白い大理石の欄干と、砂漠の空に溶けるような青が広がっていた。遠くで礼拝堂が月の光を受け、金色に輝いている。
「とても綺麗だわ、アルバ‥‥‥」
ふとアルバを見ると、私を見て穏やかに微笑んでいた。私は急に恥ずかしくなった。
馬鹿みたい、私一人ではしゃいで‥‥‥
「あ、アルバ、ごめんなさい。私一人ではしゃいじゃって//」
「いや、いいんだよ。可愛い」
「‥‥‥ッ!!//」
可愛い、そうアルバに言われて胸の奥が熱くなる。言葉が喉で跳ね、視線が彼の指先に逃げた。
なななんか、今日のアルバ、いつもより輪をかけてかっこよくない!?
濃い群青色の寝巻きは、金糸で縁取られた蔦模様が月明かりを受けて淡く輝き、袖口と裾に刻まれた幾何学模様が、異国の物語を思わせて‥‥‥胸元から覗く褐色の肌は、その金糸の装飾と調和していた。
ちょっと待って!これじゃ私、まるでスケベ親父じゃない!!
「その髪型‥‥‥」
「えっ何!?髪型!?あっ、髪型ね!」
アルバが褒めてくれた三つ編み、今日はアクアマリンを編み込んでみた。アディから聞いた「安らぎ」以外にも、この石は昔から"約束”を守るお守りだと聞いた。
胸の高鳴りがアルバに聞こえているんじゃないかと心配になった。
「とても似合ってる。この景色が霞むくらいに、オリガは美しい」
「マーーーー!!//」
「もっとよく見せてくれ」
アルバが顔を寄せてくる。あ、キス‥‥‥しちゃうのかな?
ちゅ。
触れるだけの口付けなのに、熱くて甘くて、とろけそう。アルバの翡翠色の瞳に、私だけが映っている。
(私と結婚して、よかった?)
とはまだ聞けない。答えはきっと肯定だとわかっているのに。今はまだ怖い。いくじなしな私をどうか許して。
「そろそろ部屋に入ろう」
「うん!」
手を引かれて部屋に入るとき、アルバの指がそっと私の三つ編みのアクアマリンに触れた。
「‥‥‥また明日も、これを見せてくれるか?」
約束の石が、月明かりの下でかすかに揺れた。
その日はアルバと一緒に手を繋いだまま寝た。
広いベッドはいつも少し寂しかったけど、今夜はアルバの優しい香りに包まれて、私はとても幸せな一夜を過ごせたのだった。
このお話ではアルバのかっこよさ、大人の色気、何より大人の余裕を際立たせてみました!伝わっていると嬉しいです!
※オリガは本当に純粋にアルバと一緒に寝るという事の意味がわかっていません。可愛いですね!笑
ここまでお読みいただきありがとうございました!




